マックスバリュ西日本、2010年2月期決算、増収減益!
マックスバリュ西日本が2010年2月期の本決算を4/6、公表した。結果は、営業収益2,234.77億円(3.3%)、営業利益68.76億円(-18.0%)、経常利益72.32億円(-16.2%)、当期純利益42.35億円(-1.2%)と、増収とはなったが、利益はいずれの段階でも減益となり、厳しい決算となった。ただ、増収に関しても、新店13店舗の効果によるところが大きく、既存店は94.8%と苦戦しており、今期は、厳しい決算であったといえよう。
マックスバリュ西日本は販売業態が4つに分かれている。SSM、SM、CSM、ザ・ビックであるが、それぞれの店舗数、売上構成比、全体の昨対、既存店の昨対を見てみると、SSM(92店舗、60.6%、107.3%、95.3%)、SM(36店舗、16.5%、85.3%、91.9%)、CSM(7店舗、1.4%、81.1%、88.9%)、ザ・ビック(19店舗、21.5%、111.2%、96.9%)という結果である。いずれの業態も既存店は昨対を割っているが、全体はSSM、ザ・ビックが新店効果により、大きく数字を伸ばしており、今後、この2業態がマックスバリュ西日本の成長の鍵を握ることになろう。
一方、営業利益が減益となった要因であるが、原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、75.23%(昨年74.98%)となり、0.25ポイント上昇した。デフレによる価格競争が激しかったことが予想されるが、実際、マックスバリュ西日本の既存店の客単価は、97.6%と下がっている。客単価=PI値×平均単価となるが、PI値は、「売上の底上げに向けては「強い単品づくり」を柱に、重点アイテムを中心とした買上点数アップの取組効果が表れ、買上点数は前期の9.6点から10.1点へと増加いたしました。・・」とのことで、上昇しているので、明らかに平均単価が下がったものといえよう。結果、売上総利益は、24.77%(昨年25.02%)と下がった。
これに対して、経費の方であるが、23.84%(昨年23.15%)と0.69ポイント上昇しており、既存店が厳しかったがゆえに、固定費が相対的に上昇し、経費率増となったといえよう。結果、原価、経費双方が上昇するという状況であり、営業利益をダブルで圧迫するという厳しい利益構造となった。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、すなわち、マーチャンダイジング力は0.93%(昨年1.87%)と、半減しており、極めて厳しい数字である。
これに、不動産収入、販売手数料等がのるが、特に、今期のマックスバリュ西日本は、「当期新たに13店舗を開設、うち9店舗はNSC(ネバーフッド・ショッピング・センター)であり、より集客力のある商業施設を目指してテナント誘致を進めた結果、不動産賃貸収入は対前期比113.2%と増加し、・・」とのことで、好調な数字となった。実際のその他営業収入は、2.23%(昨年2.10%)と、0.13ポイント上昇しており、結果、営業利益は、3.16%(昨年3.97%)となり、マーチャンダイジング力の落ち込みを、不動産収入等でカバし、マイナス幅を縮めたといえよう。それにしても、原価、経費の上昇が営業利益を大きく圧迫しており、営業利益が減益という厳しい結果となった。
では、財務面はどうか、まずは、自己資本比率を見てみると、43.3%(昨年45.0%)となり、若干、下がっているのが気になるところである。その要因を見てみると、今期は純資産、総資産双方の上昇が見られるが、特に、総資産の上昇率が115.19%と、純資産の上昇率110.90%を上回ったことが要因である。その総資産の増加であるが、現金が30億円強、建物が25億円弱増加したことが大きく、それにともない、負債の方も、有利子負債が50.89億円(昨年2.10億円)と、総資産の6.39%となり、大きな比率ではないが、増加している。
実際、財務キャッシュフローで長期借入金を50.00億円調達している。営業キャッシュフロー+投資キャッシュフローのフリーキャッシュフローは-3.15億円とマイナスであるので、これを財務キャッシュフローで補い、さらに、有利子負債の返済、配当金の支払い等にあて、キャッシュの確保のためにも必要であった資金調達といえよう。
ではなぜ、これほど、キャッシュが必要であったのかであるが、今期、負債の買掛金が217.49億円(昨年169.58億円)と47.91億円と大幅に増加したためであり、この分の資金確保が必要であったためであろう。これは、「年度末が金融機関休業日により、・・」とのことで、決算日と金融機関の休日との関係で生じたイレギュラーな数字といえよう。それにしても、結果、50.00億円の長期借入金での資金調達を実施しており、その大半を、一時的にではあるが現金でもたざるをえず、自己資本比率にまで影響を与えるということであり、経営にとっては、けっして良いとはいえず、困ったものである。これらを考慮すれば、実質、財務面は昨年とほぼ同様な状況といえよう。
このように、2010年2月期のマックスバリュ西日本の決算は、財務面ではやや積極的な新店により、資産面の増加、そして、金融機関の休日の関係で、一時的なキャッシュの増加が見られるが、実質、昨年とほぼ同様の状況といえよう。問題は原価、経費面であり、どちらも、上昇し、利益を圧迫しており、これは明らかにデフレの影響による、平均単価の下落、そして、競合状況の厳しさにより、既存店の数字の落ち込みが響いたものといえよう。このような厳しい収益構造の中、次年度、マックスバリュ西日本がどのような営業方針を打ち出すか注目したい。
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