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April 15, 2010

ヨークベニマル、2010年2月期決算、減収減益!

   ヨークベニマルが4/8、2010年2月期の決算を公表した。結果は売上高3,375.06億円(99.82%)、営業利益94.02億円(80.31%)、経常利益108.74億円(83.23%)、当期純利益60.88億円(75.95%)となり、減収減益、特に利益はすべての段階で2桁の減収となる厳しい結果となった。現在、ヨークベニマルは164店舗を展開しており、今期、新店を8店舗オープンしたが、既存店が96.3%と減収となったことが、伸び悩んだ要因といえよう。ヨークベニマルの親会社、セブン&アイHも、「東北地方を中心とした経済環境は厳しさを増しており、特に夏場以降の売上は弱含みで推移いたしました。・・」と、昨年の夏以降のデフレ環境が厳しかったとのコメントをしており、東北地方の経営環境が急激に悪化したものといえよう。

   ただ、食品の売上高は堅調であり、101.0%となった。全体の31.3%の構成比である生鮮食品は99.9%と若干昨対を割ったが、24.6%の構成比の加工食品は102.5%、18.7%の構成比のデイリー食品は100.8%と昨対をクリアーした。また、5.5%の構成比の住居も100.1%と昨対をクリーしており、ここまでは、売上高は堅調である。問題は衣料品とテナントであり、5.1%の構成比の衣料品が93.5%、14.8%の構成比のテナントが96.5%となったことが売上高に響き、これが全体が99.82%となった減収の要因である。さらに、客数、客単価の数字を見ると、既存店が96.3%となった要因は、客数が97.9%、客単価が98.4%と双方がダウンしており、売上高が伸び悩んだといえよう。

   こう見ると、売上高に関しては、比較的堅調に推移したが、問題は、利益であり、特に、営業利益が80.31%と大きく落ち込んだことの方が深刻であるといえる。その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、75.85%(昨年75.65%)となり、0.20ポイント上昇しており、原価の上昇が見られる。既存店の客単価が落ちていることからも、価格競争による平均単価のダウンが響いているのではないかと思われる。結果、売上総利益は24.15%(昨年24.35%)となった。それにしても、セブンプレミアムのPBが急激に存在感をましつつあるヨークベニマルでさえ、原価の上昇が見られるほど、NBの収益が落ちているということであり、東北地方における価格競争は厳しい局面に入ったといえよう。

   一方、経費の方であるが、24.70%(昨年24.08%)となり、0.62ポイント上昇しており、原価以上の上昇が見られる。新店の経費に加え、既存店のダウンが経費にも響いているものと思われる。結果、原価、経費、双方の上昇が響き、商品売買から得られる差し引きの利益、マーチャンダイジング力は、-0.55%(昨年0.27%)となり、プラスからマイナスへと転じ、厳しい結果となった。

   これに、受取手数料収入2.42%(昨年2.33%)、不動産賃貸収入0.91%(昨年0.86%)等がのり、営業利益は2.78%(昨年3.46%)となり、大きく減収となった。こう見ると、原価、経費双方が上昇し、ダブルで利益を圧迫しており、しかも、マーチャンダイジング力がプラスからマイナスへと転じるという収益構造となり、ヨークベニマルとしては、極めて厳しい決算となったといえよう。

   では、財務面はどうであったかを見てみたい。まずは、純資産比率であるが、80.28%(昨年78.96%)と、極めて高い数字であり、超健全な経営である。純資産が80%を超える食品スーパーマーケットは決算公開企業約50社の中では、昨年の数字を見る限りもちろんトップである。70%台はオオゼキ1社のみであり、それ以外のトップクラスの食品スーパーマーケットは60%台となるので、80%を超える純資産比率は極限に近い数字といえよう。したがって、負債はわずか、20%弱となる。ただ、ちょっと気になるのは、今期、昨年は無借金経営であったが、今期は長短借入金を0.77億円調達していることである。総資産対比では0.05%と、全く問題ない金額ではあるが、決算日と金融機関との関係なのか、何か、一時的なものとは思われるが、今期、結果、無借金ではなくなった。

   これだけ、健全な財務状況にあるので、当然、出店余力もあり、出店に関する資産、土地、建物、保証金等の合計は815.41億円となるが、これは、総資産1,452.58億円の56.13%であり、1店舗当たり、4.97億円となる。したがって、純資産から出店にかかわる資産を差し引いた出店余力は24.15%と極めて高い数字である。ただ、昨年は29.44%とさらに高い数字であったので、やや気になるところだ。ちなみに、昨年の決算公開企業約50社で20%を超える出店余力の企業はヨークベニマルとオオゼキの2社のみであるので、20%という数字がいかに高い数字であるかがわかる。

   このように、2010年2月期のヨークベニマルの決算は減収減益となる厳しい決算となり、原価、経費双方が上昇し、収益をダブルで圧迫し、マーチャンダイジング力がマイナスに転じるという厳しい結果となった。ただ、財務は極めて健全であり、80%という純資産比率となり、食品スーパーマーケット業界でも極限に近い数字である。今後、この堅固な財務をもとに、新規出店は十分に可能であるが、既存店の落ち込みが収益に影響を与えはじめており、今後は、既存店の活性化が優先課題であるといえよう。その意味でヨークベニマルがどのような既存店の活性化策を打ち出すか注目である。

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