アオキスーパー、2010年2月期、減収減益!
アオキスーパーが4/2、2010年2月期の決算を公表した。結果は営業収益893.95億円(-2.2 %)、営業利益18.72億円(-31.0%)、経常利益19.37億円(-30.9%)、当期純利益10.90億円(-26.0%)、減収減益となり、厳しい決算となった。これまで公表された食品スーパーマーケットの2010年1月期、2月期の決算も減益決算があいついでおり、ここへ来て、食品スーパーマーケット業界は厳しい経営環境に入ったといえよう。
今期、アオキスーパーは新設店として7月に日進岩藤店、11月に鳴海店を新規オープンする一方、4月に一色新町店、6月に鳴子店をリニューアルオープンしたが、減収となり、既存店の落ち込みが大きかったという。アオキスーパー自身も、「低価格販売の実施や、店舗の新設や改装を行い販売促進に努めましたが、物価下落や個人消費の低迷等により厳しい経営環境となり、・・」とコメントしているように、デフレの影響が予想以上に大きかったといえよう。
一方、営業利益の方であるが、-31.0%と大きく減少したが、その要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、83.92%(昨年83.38%)と、0.54ポイント上昇しており、デフレによる価格のダウンが大きかったものといえよう。結果、売上総利益は16.08%(昨年16.62%)と、下がっており、16.62%も十分に低い数字であるが、それ以上に下げざるをえないほど、厳しい経営環境にあったといえよう。ちなみに、昨年、2009年度の決算公開企業約50社の中で、売上総利益の低い食品スーパーマーケットベスト3は、トライアルカンパニー15.6%、アオキスーパー16.6%、PLANT19.3%であるので、今期のアオキスーパーの16.08%という数字がいかに衝撃的に低い数字かがわかる。
これだけ食品スーパーマーケットとして、原価が低いにも関わらず、営業収益が減少するのは、ディスカウント戦略が顧客に十分に支持されていないともとれ、アオキスーパーとしても、今後、どのような営業戦略を打ち出すか、極めて厳しい局面にはいったといえよう。
これに対して経費の方であるが、17.20%(昨年16.76%)と、経費の方も0.44ポイント上昇した。やはり、既存店の数字が伸び悩んだことが大きいといえ、結果、相対的に固定費が上昇したものといえよう。ただ、経費比率17.20%は、これも昨年、2009年度の決算公開企業約50社のベスト3の経費比率の低い食品スーパーマーケットを見ると、オーケー14.9%、トライアルカンパニー16.3%、アオキスーパー16.8%であるので、食品スーパーマーケットとしては限界に近い経費比率ともいえ、17.20%は十分に低い数字である。
また、アオキスーパーはこの経費比率には強いこだわりがあり、「当社グループは、売上総利益率と販管費率を重要な経営指標とし、適正な利益確保に努めております。ローコスト経営に徹し、同業他社に勝る競争力を維持するため、特に販管費率に注目し、その進捗状況に注意をはらっております。」とのことで、特に販管比率を重視した経営を目指している。ところが、今期の経費比率は残念ながら上昇が見られ、アオキスーパーにとっても、予想外の厳しい経営環境であったものと推察される。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-1.12%(昨年-0.14%)と、大きくマイナスとなり、厳しい結果となった。本来、これだけ経費比率を低く抑える経営システムができているので、原価は経費比率以上に引きあげても十分に価格訴求ができると思われるが、アオキスーパーは、敢えて、原価にもこだわっており、マーチャンダイジング力がマイナスになっても、価格競争を押し進めるという決意であろう。
そして、営業利益であるが、これに、不動産収入1.00%(昨年0.99%)、その他営業収入2.27%(昨年2.21%)がのり、2.15%(昨年3.06%)と、大きく減益となった。この状況を見る限り、原価、経費ともに上昇、双方で利益を圧迫しており、極めて厳しい営業状況であったことがわかる。
ただ、自己資本比率は63.3%(昨年59.6%)と上昇しており、財務基盤はむしろ強化されている。特に、負債の有利子負債が1.50億円(昨年2.00億円)と、減少しており、総資産232.72億円に占める割合はわずか0.64%であり、健全な財務状況である。しかも、アオキスーパーの出店にかかわる資産、土地、建物、敷金保証金の合計は125.49億円と、1店舗当たり2.78億円と極めて低い資産での出店が可能であり、総資産に占める割合も53.92%である。したがって、差し引き、出店余力を見ると、+9.38%とプラスであり、自己資本で出店が十分に賄われている出店構造であり、堅固な財務状況にあるといえよう。
このように、今期、2010年2月期のアオキスーパーの本決算は減収減益と、極めて厳しい結果となった。日本の食品スーパーマーケットの中でも、ディスカウント戦略を本格的に志向しているだけに、原価、経費が上昇、特に、アオキスーパーが強くこだわっている経費が上昇したことは、アオキスーパーにとっても、予想外の事態であるといえよう。それだけ、デフレ環境が厳しく、価格が下落しているといえよう。当面、このデフレ環境は続くものと予想される中、アオキスーパーが、今期決算を踏まえ、どのような新年度の経営戦略を打ち出すか注目である。
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