スーパーバリュー、2010年2月期決算、増収営業増益!
スーパーバリューが4/14、2010年2月期の決算を公表した。結果は、売上高433.34億円(16.1%)、営業利益11.35億円(1.5%)、経常利益 9.70億円(1.8 %)、当期純利益5.54億円(-1.5%)と、営業、経常段階では増収増益、当期純利益は減益となるやや厳しい決算となった。
今期のスーパーバリューは売上高16.1%という数字が示しているように、積極的な新店を出店したことが大きい。スーパーバリュー自身も、「平成21年10月に荒川一丁目店(東京都荒川区)、居抜き出店として、7月に東所沢店(埼玉県所沢市)、11月に大宮天沼店(さいたま市大宮区)及び見沼南中野店(さいたま市見沼区)の計4店舗を出店し、当連結会計年度末の店舗数は14店舗、・・」とコメントしているように、全14店舗中、4店舗が今期の新規出店であり、その売上貢献度が極めて大きかったといえよう。
そこで、これだけ、積極的な新規出店を果たす基盤となった財務面を先に見てみたい。まず、自己資本比率であるが、20.8%(昨年18.9%)と、昨年よりは改善しているが、20%台という厳しい状況である。したがって、約80%弱が負債となっており、その主要項目を見てみると、有利子負債が110.28億円と、総資産210.77億円の52.32%とかなりの比率となっており、負債、特に、有利子負債に大きく依存する財務構造となっている。
では、出店にかかわる資産はどうであるかであるが、土地、建物、差入保証金等の合計は149.74億円であり、総資産の71.04%となる。これは、1店舗当たりでは10.69億円であり、通常の食品スーパーマーケットと比べ、2倍以上となる。スーパーバリューは食品スーパーマーケットとホームセンターを融合した新業態であるため、店舗、土地ともに、大きなスペースが必要なため、巨大な資産が必要となるためである。
結果、自己資本比率から差し引いた、出店余力を見ると、-50.24%となり、ほぼ、有利子負債分、そっくり、依存する出店構造といえる。したがって、これまでの成長を支えたのは、この有利子負債に負うところが極めて大きかったといえ、今後、さらに、安定的な新規出店をしてゆくには、財務構造を大きく見直し、負債にできるだけ、依存しない出店構造をつくる必要があろう。スーパーバリューも、先の新規出店のコメントの中でも、「居抜き出店」という言葉を使っているが、現状、平均約10億円かかる資産をいかに少なくし、負債の負担を減らせるかも課題といえよう。
ちなみに、今後の出店を占う投資キャッシュフローの状況を見ると、有形固定資産の取得は-5.59億円、敷金及び保証金の差入による支出-1.14億円であるので、ほぼ1店舗弱の出店関連の資産の取得であるといえる。これに加え、居抜きで数店舗となるのではと思われる。実際、スーパーバリュー自身も、「新規出店につきましては、3月26日に開店しました志茂店(東京都北区)のほか、東京都世田谷区に1店舗(平成22年10月開店予定)を計画しております。また、居抜き出店についても、年間2~3店舗の出店を目標とし、・・」とのことである。
これに対し、営業利益が増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。今期の営業利益1.5%増であるが、売上高が16.1%と大幅に伸びた割には、その伸び率は低く、気になるところである。まず、原価面であるが、79.69%(昨年79.09%)となり、0.60ポイント上昇している。スーパーバリュー自身も、「当社グループの所属する食品スーパー業界におきましても、生活防衛意識の高まりによるお客様の低価格志向がさらに強まる中、企業間の低価格競争が一段と激化し、業界全体で客単価の低下が見受けられ、厳しい経営環境で推移いたしました。・・」との、厳しい認識をしており、原価への影響が大きかったといえよう。結果、売上総利益は20.31%(昨年20.91%)となった。
一方、経費の方であるが、18.38%(昨年18.80%)となり、0.42ポイント削減しており、経費の削減が進んだ。それにしても、18%台の経費比率は食品スーパーマーケット業界では極めて低い数字といえ、昨年の決算公開企業約50社の中でもベスト10に入る低さである。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は1.93%(昨年2.11%)と、若干下がった。やはり、原価の上昇が響いたといえよう。これに、その他営業収入が0.69%(昨年0.89%)のり、営業利益は2.62%(昨年3.00%)となり、率では減益となったが、売上高が大きく伸びたことにより、額では増益となった。
このように、スーパーバリューの2010年2月期決算は営業段階では増収増益とはなったが、率で見る限り、原価の上昇、その他営業収入の減少があり、経費の削減では相殺できず、減益となっており、厳しい結果であったことがわかる。また、有利子負債が総資産の50%を超え、自己資本比率がわずか20%強であり、負債、特に有利子負債に負う財務構造となっており、財務の改善が大きな経営課題といえよう。そのような中で、新規出店を積極的に行い、急成長を遂げているが、今後、安定的、継続的な成長を維持してゆくためには、財務の改善は急務といえる。今後、スーパーバリューがどのように財務改善に取り組み、さらなる成長を図ってゆくか、注目である。
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