マルエツ、2010年2月期、減収営業減益、当期増益!
マルエツが4/15、2010年2月期の決算を公表した。結果は、営業収益3,369.39億円(-1.6%)、営業利益78.56億円(-5.4%)、経常利益75.84 億円(-3.4%)、当期純利益69.65億円(12.3%)と、営業、経常利益段階では減収減益と厳しい決算となったが、当期純利益は2桁の増益となる好決算となった。当期純利益が増益となった要因は、「特別利益として14億96百万円、特別損失として39億円、当期より繰延税金資産を計上し、法人税等調整額が20億73百万円となった結果、・・」とのことであり、特に、法人税等調整額が20億73百万円が大きかったといえよう。
営業収益が-1.6%となった要因であるが、新店は今期8店舗を出店して、合計246店舗となったが、既存店の売上高が96.7%(前期98.3%、後期95.3%)となったことが大きく、また、客数97.9%、客単価98.8%と、双方がダウンしたことが大きいといえよう。直近の2010年3月度の数字も、既存店は93.3%と厳しい状況であり、これを見ても昨年後半からの急激な売上減が影響したといえよう。マルエツは、昨年対比割れの店舗数を公表しているが、それを見ると、246店舗中、189店舗(76.8%)がダウンしており、深刻な状況といえよう。昨年は26.7%、一昨年は14.8%であるので、急激に昨対割れ店舗が増加しているといえる。首都圏の昨年後半からの消費環境が極めて厳しい状況にあるといえよう。
一方、営業利益が-5.4%になった要因であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.69%(昨年72.07%)となり、-0.38ポイント減少した。マルエツ自身も、「小売業界では、お客様の生活防衛意識の高まりにより低価格志向が強まり、業種・業態を越えた企業間競争の激化による単価の下落傾向が強まる等、経営環境は依然として厳しいものとなっています。・・」と、コメントしているように、価格下落が厳しい中でも原価を改善しており、結果、売上総利益は28.31%(昨年27.93%)と改善した。
これに対し、経費の方であるが、27.81%(昨年27.37%)と、0.45ポイント上昇が見られる。既存店が96.7%と低迷したことに加え、新店8店舗の経費増もあったものと思われる。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力であるが、0.49%(昨年0.56%)と、-0.07ポイントの下落に留めており、厳しい経営環境の中、経費の上昇を原価の改善で相殺を図った構図である。
そして、これに、不動産収入1.71%(昨年1.73%)、その他の営業収入0.17%(昨年0.18%)が乗り、営業利益が2.38%(昨年2.47%)となり、さらに、売上高の減少があいまって、昨対-5.4%の減益となった。こう見ると、原価は改善しているが、経費の上昇、そして、売上高の減少が営業利益に響いたといえ、今後、まずは、既存店の活性化、そして、それに連動し、経費の削減が課題といえよう。
では、財務面はどうかを見てみたい。まずは、自己資本比率であるが、46.6%(昨年42.2%)と、上昇している。これは、総資産は1,262.11億円(0.35%)とほとんど上昇が見られなかったが、純資産が589.24億円(11.15%)と、大きく上昇したことによる。その要因は先に見たように、当期純利益の増加が大きかったといえよう。気になる負債の主要項目である有利子負債は、299.78億円(昨年302.98億円)と若干減少したが、総資産に占める割合は23.75%であり、やや高いといえ、今後、いかに、有利子負債を削減してゆくが依然として、経営課題であるといえよう。
また、今期、8店舗を新規出店したが、出店余力を見てみると、出店にかかわる資産である土地、建物、敷金保証金等の合計は873.35億円(昨年897.52億円)と、下がっており、総資産に占める割合は69.19%である。したがって、差し引き、自己資本比率から引いた出店余力は-22.59%(昨年-29.16%)と、昨年よりは大きく改善したが、有利子負債分をほぼ負っている出店構造であり、今後、新規出店により、安定成長を目指す上には、もう一段の財務改善が必要といえよう。ちなみに、1店舗当たりの出店にかかわる資産は全店が246店舗であるので、3.55億円と、通常の食品スーパーマーケットよりも低いといえる。これは、マルエツが首都圏というコストのかかる地区に出店しているにも関わらず、小型店が多く、今期もプチマルエツが8店舗中4店舗、さらに、ポロロッカも1店舗出店しており、小型店舗に重点を置いているためといえよう。
これを踏まえ、来期の予想であるが、営業収益3,310.00億円(-1.8%)、営業利益 65.00億円(-17.3%)、経常利益 59.00億円(-22.2%)、当期純利益 23.00億円(-67.0%)と、減収減益予想であり、先にも見たように、直近のこの3月度の既存店が93.3%という現状であり、厳しい予想である。
このように2010年2月期のマルエツの決算は営業、経常段階では減収減益の厳しい決算となった。原価は改善したものの、それ以上に経費のダウンが見られ、既存店の厳しい営業環境が反映されたものといえよう。また、財務面では、当期純利益が増益となったことにより、自己資本比率は上昇しているが、有利子負債は横ばい、出店余力は改善したとはいえ、さらに、高める必要があろう。ただ、問題は来期であり、すでに、はじまっている新年度の状況は極めて厳しい状況にある。通期予想も減収減益予想と厳しい予想であり、今後、マルエツがどのように営業改善をはかるか、その動向に注目である。
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