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April 21, 2010

サンエー、2010年2月決算個決算、増収増益!

   沖縄のサンエーが4/14、2010年2月期の決算を公表した。サンエーは今期から連結決算を公表しているが、連結では初年度ということもあり、昨対が出ていないので、ここでは、個別を中心に見てみたい。ただ、連結対個別の営業収益比は99.46%であり、営業利益比も99.22%であるので、現状は個別決算でも十分にサンエー全体を反映しているといえよう。その結果であるが、営業収益1,362.68億円(3.9%)、営業利益87.41億円(7.3%)、経常利益88.94億円(6.1%)、当期純利益49.82億円(1.7%)となり、増収増益となる好決算となった。

   サンエーは沖縄商圏を中心に店舗展開をしているが、その業態は多岐に渡っており、現在、「衣料品・住居関連用品・食料品を全て取り扱う「総合店舗」を21店舗、衣料品・住居関連用品を取り扱う「衣料・住関店舗」を2店舗、食料品・住居関連用品を取り扱う「食品店舗」を37店舗、「ドラッグストア」を1店舗有しております。その他、「外食店舗」を16店舗、ビジネスホテル1軒、ペンション1軒を有しており、・・」と、多岐に渡っている。これに、昨年12月からローソンと合弁のCVS部門が加わり、さらに、業容が拡大した。また、今期は、積極的に業務提携しているマツモトキヨシを既存店に導入、外食でも大阪王将をテナント誘致するなど、沖縄における外食を含めた食品のコングロマリット、総合小売業を目指しているといえよう。

   したがって、サンエーの収益構造も通常の食品スーパーマーケットとは大きく異なり、本業の食品スーパーマーケットに加え、外食、ホテル、そして、テナント収入等が加わり、極めて高収益な企業体を作り上げている。そこで、サンエーの営業利益の状況を原価、経費面から見てみたい。

   まず、原価であるが、69.80%(昨年69.96%)と、0.16ポイント原価を下げており、価格競争の厳しい経営環境の中、原価の改善が進んでいる。結果、売上総利益は30.20%(昨年30.04%)と、通常の食品スーパーマーケットではありあえない粗利率である。これは、先にも言及したように、衣料品、外食、ホテルなどの原価が極めて低いためである。したがって、サンエーの経営戦略は、食品スーパーマーケット以外の原価の低い業態を加え、いかに原価ミックスをはかり、原価を引き下げるかにあり、結果、粗利最大を目指すことが特徴といえる。

   これに対して、経費の方であるが、26.68%(昨年26.63%)と、0.05ポイント上昇しているが、ほぼ昨年並みの結果であったといえよう。これも、食品スーパーマーケット業界としてはやや高めであるが、原価が極めて低い分、相殺できるといえ、独特の経営戦略であるといえよう。通常、食品スーパーマーケットは、経費小、原価大を目指すが、サンエーの場合は経費大、原価小であり、全く発想の違う食品スーパーマーケット、というよりも、GMSに近いビジネスモデルといえる。

   結果、差し引き、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は3.52%(昨年3.41%)となり、0.11ポイントの改善となった。経費の上昇を極力抑え、原価を改善したことが大きかったといえる。これに、サンエー特有の不動産収入が2.39%(昨年2.39%)のり、さらに、その他を加え、その他営業収入3.11%(昨年3.00%)がプラスされ、営業利益は6.63%(昨年6.41%)となり、増益となった。こう見ると、サンエーは独特の収益構造を構築しており、食品スーパーマーケットの利益に衣料品、外食、ホテル等の高収益が乗り、さらに、SC、NSC等の不動産収入が大きく加わり、利益の極大化を目指しているといえる。食品スーパーマーケットを核にしたまさに小売業のコングロマリットであるといえよう。

   一方、財務面であるが、自己資本比率は65.7%(昨年64.8%)であり、連結でも64.3%であるので、極めて安定したバランスである。したがって、負債は約35%であり、その中身も、有利子負債は32.92億円(昨年35.74億円)と、総資産861.16億円に占める割合はわずか3.82%である。負債の最大項目は買掛金の111.05億円(昨年107.33億円)であり、総資産の12.8%であり、現預金も196.92億円と総資産の22.86%あり、健全な財務状況にあるといえる。

   したがって、ここから出店余力を見ると、出店にかかわる資産、土地、建物、敷金保証金等の合計は463.08億円(昨年476.48億円)と、総資産の53.77%であり、自己資本比率から差し引いた出店余力は11.93%と、負債に頼ることなく出店が十分に可能な財務状況といえる。しかも、当期純利益も極めて高い数字であり、キャッシュフローも今期営業段階で98.28億円と100億円近いキャッシュであり、安定的、継続的な出店が十分に可能な財務状況にあるといえよう。

   このように、サンエーの2010年2月期の個別決算は増収増益となり、自己資本比率も65.7%と財務も健全な状況である。また、今期は新たにローソンとの合弁でCVS事業にも本格参入となり、さらに、収益力の高い不動産収入においても、テナント戦略としてマツモトキヨシ、大阪王将を積極的に導入するなど、食品スーパーマーケットを補う収益構造の強化も進んでいる。課題は、中核、食品スーパーマーケットのさらなる強化であるといえ、今後、今期の好決算をもとに、サンエーが本業の強化にどう取り組むか注目である。

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