ベルク、2010年2月期決算、増収増益!
ベルクが4/9、2010年2月期の第3四半期決算を公表した。結果は売上高1,024.94億円(3.3%)、営業利益43.93億円(6.3%)、経常利益46.30億円(7.8%)、当期純利益24.42 億円(8.0%)となり、増収増益となる好決算となった。食品スーパーマーケット業界においては、消費環境がデフレとなり、価格競争が厳しい中、業績が厳しい決算が続いているが、ベルクは安定した収益を確保したといえよう。
今期ベルクは、昨年3月に埼玉県川口市に「川口差間店」、7月に群馬県邑楽郡大泉町に「ベスタ大泉店」、9月に埼玉県所沢市に「東所沢店」、11月に埼玉県さいたま市に「さいたま宮原店」の4店舗を新規出店し、店舗数は62店舗となり、これら4店舗の新規出店が増収に寄与したといえよう。
一方、価格競争に対する対策も徹底し、「「恒例99円均一企画」を週1日から週2日へ、平成21年9月までに実施店舗を順次全店へ拡大」、さらに、「平成21年4月からは、消費頻度が高い商品を期間限定ならではのお買得価格で提供する「月間得値」を約1,000品目に拡大し、」、「イオングループのプライベートブランド商品である「トップバリュ」、納得品質・低価格でご提供する「ベストプライスbyトップバリュ」の積極的な拡販を推進し、・・」と矢継ぎ早に価格訴求を実施している。
そこで、営業利益が増益になった理由を、これら価格政策を含め、原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、74.18%(昨年74.24%)と、上記に上げたような強力な価格訴求をかけたにも関わらず、原価は減少しており、原価改善が進んだ。結果、売上総利益は25.82%(昨年25.76%)と、粗利が0.6ポイント上昇した。一方、経費の方であるが、25.65%(昨年25.47%)と、経費の方は0.18ポイントと、若干上昇が見られる。結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.17%(昨年0.29%)と、やや減少しており、経費の上昇が響いたといえよう。
ただ、営業利益は上昇しているので、このマーチャンダイジング力に加わる不動産収入等のその他営業収入が伸びたものと思われるが、その数字は、4.12%(昨年3.88%)と0.24ポイント上昇している。ちなみに、ベルクのその他営業収入は3つに大きく分かれており、物流収入2.53%、賃貸収入(不動産収入)1.41%、その他の営業収入0.17%となる。営業利益の中でもかなりの割合を占めており、特に、物流収入の重みが増しているといえよう。
結果、営業利益は4.29%(昨年4.17%)となり、増益となった。これに、売上増加分3.3%と相まって、営業利益は6.3%の増益という結果である。それにしても、その他営業収入の増益への貢献は大きく、マーチャンダイジング力自体は0.17%とわずかなプラスであり、今後、さらに、マーチャンダイジング力の改善をどうはかってゆくかが課題であるといえよう。
これに対して財務の方であるが、まずは、自己比率は53.7%(昨年53.1%)と、自己資本比率はわずかではあるが、上昇している。したがって、負債も約50%弱であるが、その負債の主要項目である有利子負債の状況を見てみると、114.68億円(昨年114.56億円)となり、総資産544.52億円に占める割合は21.06%である。これは、昨年度の決算公開企業約50社の平均が約25%強であるので、ほぼ、平均に近い比率といえよう。
食品スーパーマーケットの財務戦略の重要課題は最大の資産、出店にかかわる資産である土地、建物、敷金保証金等をどこまで自己資本で賄え、安定、継続的な成長をしてゆけるかにある。そこで、ベルクの場合を見てみると、出店関連の資産は408.96億円(昨年386.51億円)と、今期は新店が4店舗であり、その分が増加したものと思われる。総資産に占める割合は75.10%となった。ちなみに、ベルクは現在62店舗であるので、1店舗当たり6.59億円と、食品スーパーマーケット業界の中でもかなり高い出店にかかわる資産である。ちなみに、昨年の決算公開企業約50社の中では、出店にかかわる資産が75%を超えたのは丸和77.3%、ダイイチ75.0%の2社のみであり、ベルクは食品スーパーマーケット業界の中でも、出店にかかわる資産がかなり高いという課題があるといえよう。
結果、自己資本比率から出店にかかわる資産を差し引いた出店余力は-21.40%となり、その分を負債、すなわち、有利子負債21.06%で相殺している財務構造であり、負債に頼らざるをえない出店構造であるといえよう。今後、ベルクが安定、継続的な新規出店を果たしてゆくには、さらに、マーチャンダイジング力を高め、キャッシュを増やしてゆく一方、出店にかかわる資産をいかに圧縮するか、さらに、自己資本比率をいかに引き上げるかが課題であるといえよう。
このように、2010年2月期のベルクの決算は増収増益の好決算とはなったが、マーチャンダイジング力よりも、物流収入等のその他営業収入の貢献度が大きいといえ、さらに、マーチャンダイジング力の改善が課題といえよう。また、新規出店を積極的に行い、増収とはなったが、出店余力は低く、出店にかかわる資産が財務に重くのしかかっているといえよう。したがって、この財務面の改善も今後の経営課題といえよう。ベルクが今後、マーチャンダイジング、出店に関し、どのような中長期的な経営戦略を打ち出すか注目である。
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