ハローズ、2010年2月期決算、増収増益!
ハローズが、4/9、2010年2月期の決算を公表した。結果は、売上高681.07億円(8.1%)、営業利益22.94億円(10.3%)、経常利益22.05億円(6.5%)、当期純利益12.11億円(6.3%)と、増収増益の好決算となった。ただ、気になる面もある。自己資本比率が30.9%(昨年33.9%)となり、負債が増加していることである。昨年度の食品スーパーマーケット決算公開企業約50社の平均が40.7%であるので、かなり低い水準であり、今後、特に、安定的な新規出店をしてゆくには、財務基盤の安定が課題といえよう。
さて、まず、今期、増収増益と好決算となった要因であるが、新規出店に関しては、「いずれも24時間営業の店舗として、平成21年4月に岡南店(岡山県岡山市 450坪型)、6月に花尻店(同 600坪型)、11月に仏生山店(香川県高松市 600坪型)、平成22年2月に丸亀中府店(香川県丸亀市 600坪型)を開店し、・・」とのことで、4店舗増加したことが大きい。特に、岡山エリアに加え、四国エリアへも積極的な出店をしているのが特徴である。現在、ハローズは45店舗であるが、出店地区は、広島県19店舗、岡山県22店舗、香川県4店舗という状況であり、四国、香川県が第3のドミナト地区として、今期も2店舗出店しており、今後、さらに、増加するものと予想される。
一方、営業利益が大きく増加した要因であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが76.75%(昨年76.71%)と、0.04ポイントと、わずかに上昇しているが、ほぼ、昨年並みの数字を確保している。これはハローズ自身も「プライベートブランド商品の「ハローズセレクション」の開発を引き続き進め、売上高構成比は前事業年度末の6.7%から0.9ポイント上昇し7.6%となり、・・」とコメントしているように、NBの価格競争が激しい中、PBの強化により、原価上昇を抑えたことが大きかったといえよう。結果、売上総利益は23.25%(昨年23.29%)となった。
これに対して、経費であるが、22.70%(昨年22.56%)と、0.14ポイント上昇している。これに対し、ハローズは、「経費面では、チラシ回数の見直しによる広告宣伝費の抑制、使用量の削減策による電気代の抑制など全社的な経費削減に取り組みました。・・」と、コメントしているが、ハローズの最大の経費項目である人件費、地代家賃等が上昇しており、やや厳しい結果となった。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.55%(昨年0.73%)と、-0.18%となり、やや厳しい結果となった。これに、賃貸収入等のその他の営業収入が2.82%(昨年2.57%)のり、営業利益は3.37%(昨年3.30%)となり、増益となった。マーチャンダイジング力は昨対を割ったが、その他営業利益が増加したため、営業利益は増益となり、これに好調な売上げと相まって、大きく増益となった構図である。
こう見ると、営業利益は大きく増益になっているが、その中身は原価、経費ともに上昇し、マーチャンダイジング力が減益となっており、これをその他営業収入、売上げでカバーした形であり、やや気になる収益構造であるといえる。今後、ハローズとしては、まずは、マーチャンダイジング力をいかに増益にもってゆくかが当面の営業課題といえよう。
では、さらに、気になる財務面を見てみたい。ハローズの財務面での最大の特徴は、経営目標として、明確にROA(総資産経常利益率)を掲げていることである。特に、ROA(経常利益/総資本)=経常利益率(経常利益/売上高)×総資本回転率(売上/総資本高)とし、経常利益率4%以上、総資本回転率2.5回転を目標にし、結果、ROA10.0%を目指していることである。今期は、経常利益率3.23%、総資本回転率1.92回転であるので、ROAは6.20%であり、まだ、目標には達していない。
ただ、ROA=ROE(経常利益/純資産)×自己資本比率(純資産/総資産)とも分解でき、今期のハローズの数字は、ROE20.16%、自己資本比率30.89%となる。したがって、ROEは高いが、自己資本比率がかなり低いといえ、今後、自己資本比率を高めることも、重要な経営目標といえよう。もちろん、このまま、自己資本比率を低く抑え、ROEの極限を目指す方向もあるが、負債が重く経営にのしかかり、不安定な財務基盤となり、いかに、バランスをとるかが今後の課題といえよう。
ちなみに、今期のハローズの負債約70%の中身であるが、有利子負債が112.10億円(昨年72.77億円)と増加し、総資産354.03億円に占める割合は31.66%と、重くなりつつある。これ以外では、買掛金18.08%、預り建設協力金と長期預り敷金保証金の合計が7.55%と続く。まずは、今期も増加した有利子負債の削減による自己資本比率の改善が課題といえよう。
このようにハローズの決算は増収増益と好決算とはなったが、その中身を見ると、原価、経費の上昇が見られ、マーチャンダイジング力が減益となっており、その他営業収入と売上高で大きく増益となる構図であり、気になるところである。また、財務面でも、自己資本比率が有利子負債の増加等により、下がっており、こちらも気になるところである。今後、ハローズとしては、安定的な新規出店を果たし、成長してゆくためにも、財務改善は重要な経営課題であるといえよう。そのためにも、まずは、マーチャンダイジング力をいかに高めるかが課題といえよう。このような結果を踏まえ、今期、ハローズがどのようなマーチャンダイジング戦略を打ち出すか注目したい。
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