コンビニ、売上速報、2010年3月度、既存店-4.9%!
コンビニの2010年3月度の売速報が4/20、社団法人日本フランチャイズチェーン協会(JFA)から公表された。結果は全店が-2.6%、既存店が-4.9%となり、全店は9ヶ月連続マイナス、既存店は10ヶ月連続マイナスという厳しい結果となった。この集計は、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの10社、42,815店舗の数字であり、ほぼ、全国の数字を網羅しているといえ、信頼性の高い数字である。
売上高が伸び悩んだ要因を、JFAでは、「当月は低気圧や前線の影響を受け、多雨で日照時間も少なかった。気温の変動も大きく、上~中旬は気温が平年を上回る日が多かったが、行楽需要が増す月末にかけては強い寒気の影響で全国的に顕著な低温となった。・・」とコメントしており、気温の影響が大きかったとのことである。
では、客数、客単価はどうかを見てみると、客数は全体0.4%(既存店-1.6%)であり、客単価は全体-3.0%(既存店-3.4%)、客数よりも客単価の落ち込みが大きいといえる。しかも、客単価は16ケ月連続のマイナスであり、客単価の下落が売上げが伸び悩んだ最大の要因であるといえる。ちなみに、客単価のここ数ケ月の推移であるが、2月度全店-2.1%(既存店-2.6%)、1月度全店-3.4%(-3.8%)、昨年12月度全店-2.5%(-2.9%)、11月度全店-2.8%(-3.0%)、10月度全店-2.4%(-2.8%)であり、-3.0%前後での落ち込みがずっと続いており、一時的な問題ではなく、構造的な落ち込みが続いているといえる。
これは、taspo効果の影響ではなく、別の要因といえる。なぜなら、taspoは一昨年の4月前後からはじまり、昨年の6月頃までの約1年間の特需であり、しかも、売上げに影響を与えたのは客単価ではなく、客数であるからである。このtaspo期間の時も、コンビニの客単価はあまり伸びず、むしろ、減少した月もあった。したがって、この16ケ月連続の客単価の伸び悩みはtaspoの問題ではなく、コンビニの構造的な問題が解決されないまま続いているといえよう。
そこで、部門別の売上げの状況を見てみると、この3月度に関しては、日配食品 -3.7%(構成比33.7%)、加工食品-4.5%(構成比29.6%)、非食品1.2%(構成比32.3%)、サービス -8.8%(構成比4.4%)、そして、全体-2.6%(構成比100.0%)という状況であり、ファストフードを含むコンビニの中核である日配食品と加工食品の落ち込みが大きいといえる。これもそれぞれ、ここ数ケ月の推移を見てみると、2月度(日配食品-2.6%、加工食品-2.8%)、1月度(日配食品-2.7%、加工食品-3.3%)、昨年12月度(日配食品-3.9%、加工食品-3.9%)、11月度(日配食品-4.1%、加工食品-5.6%)、10月度(日配食品-3.5%、加工食品-4.6%)という状況である。こう見ると、この2部門の売上げの落ち込みが、客単価減となっているといえ、taspo効果の恩恵をあまり受けることなく、特に、ここ数ケ月は厳しい状況が続いているといえよう。
では、taspo効果とは何であったかであるが、客数、客単価、そして、この部門別の売上げの推移を見る限り、客数と非食品を伸ばしたことが最大の効果であったといえる。先に上げたtaspo期間、一昨年の4月頃から、昨年の6月頃までに数字が大きく変化したのは、この2つの項目である。しかも、既存店の数字が大きく変化したのが特徴である。客数は7%前後で推移し、非食品は何と25%前後で推移しており、明らかに異常値であったといえる。したがって、taspoとは、非食品、特に、たばこを購入する顧客が全国の既存店で約7%増加し、たばこをしっかり購入し、その他の日配食品、加工食品は他の顧客よりも、むしろ少ない買い物であったと、見ることができよう。ちなみに、7%の顧客とは、3月度の客数が延べ1,125,553人であるので、78,788人であり、年間では945,456人であるので、この10チェーンで延べ約100万人の客数増となる。いかに、インパクトが大きかったかがわかる。
こう見ると、この数ケ月のコンビニの厳しい売上げの推移は、taspo効果の影響は少なく、日配食品、加工食品の客単価の減少にあるといえ、特に、日配部門が深刻といえよう。ちなみに、日配部門とは、「米飯類(寿司、弁当、おにぎり等)、パン、 調理パン、惣菜、漬物、野菜、青果、水物(豆腐等)、調理麺、卵、加工肉(ハム、ウインナー、ベーコン等)、牛乳、乳飲料、乳製品(バター、チーズ等)、練物(ちくわ、かまぼこ等)、生菓子(ケーキなどの和洋菓子)、サラダ、デザート類(プリン、ゼリー、ヨーグルト等)等」である。
このように2010年3月度のコンビニは厳しい売上げ減となり、特に、客単価、部門では日配食品、加工食品がその原因といえよう。特に、日配部門は1年を超え、長期間に渡って売上の減少が続いており、深刻な状況といえる。今後、コンビニの数字が回復するには、この日配部門の改善が必須といえ、各社、どのように、日配部門の改革に取り組むかが課題といえよう。コンビニ各社の決算も終了し、新年度を迎えたが、コンビニ各社の日配部門の今後の営業戦略に注目である。
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