売上速報、食品スーパーマーケット3月度、98.9%!
上場食品スーパーマーケット約20数社の2010年3月度の売上速報を集計した。この食品スーパーマーケットの売上速報の集計は2005年6月までさかもどることができるが、この約5年間ではじめて、全体の数字が昨対を下回り、98.9%となった。それだけ、ここへ来て、デフレ環境が深刻さを増しているといえ、消費環境は極めて厳しい状況にあるといえよう。また、既存店については、95.3%であり、集計20数社の中で、昨対を超えた食品スーパーマーケットが1社もないという状況である。
ちなみに、過去約1年間の全体と既存店の数字の推移を見ると、2月度100.5%(既存店95.9%)、1月度 100.4%(95.7%)、2009年12月度 100.1%(95.5%)、11月度 100.0%(94.7%)、10月度 102.0%(96.4%)、9月度 102.2%(97.1%)、8月度101.2%(96.1%)、7月度 100.4%(96.0%)、6月度 101.3%(96.5%)、5月度 104.9%(99.0%)、4月度 102.2%(96.9%)、3月度 101.5%(96.4%)、2月度 102.3%(96.9%)、1月度 104.7%(99.7%)という状況である。
ここ数ケ月、昨対100%ぎりぎりの状況ではあったが、100%を割ることはなかったので、この3月度は厳しい状況であるといえよう。また、昨年3月が極端に高かったわけでもないことから、昨年の反動とも違い、実際に数字が伸び悩んでいる結果といえよう。昨年度4月、5月度の数字が堅調であったことを見ると、今後、数ケ月、食品スーパーマーケット業界は厳しい売上げとなる可能性が高いといえよう。
この集計20数社の食品スーパーマーケットの中では、売上高に加え、客数、客単価まで公表している企業が約半分、さらに、PI値、平均単価まで公表している企業がその半分ぐらいある。その結果を見ると、客数101.1%(既存店96.7%)、客単価97.5%(97.8%)、PI値100.7%(100.5%)、平均単価97.6%(97.3%)であり、売上ダウンの原因は客単価、しかも、平均単価にあることが鮮明であり、まさに、デフレによる価格競争の激化が平均単価に影響を与え、売上減となった要因であるといえよう。また、全体の客数も伸び悩んでいることから、各社新店開発を控え、新店による売上増が期待できなくなったことも大きいといえよう。
さて、このような厳しい状況となった、この3月度の個々の食品スーパーマーケットの売上状況であるが、大きく売上を伸ばした食品スーパーマーケットが2社ある。スーパーバリュー111.8%(既存店99.9%)とマックスバリュ東海111.8%(93.3%)である。いずれも、店舗数が増加しており、スーバーバリューは居抜き出店を含め、順調に新店を増やしている。一方、マックスバリュ東海はM&A、本体のイオンからの店舗移管などもあり、店舗数が増加しており、全体の売上高は好調である。ただ、既存店は93.3%と厳しい状況にあり、客数95.9%、客単価97.3%と双方が下がっており、その中身はPI値100.6%、平均単価96.7%と平均単価が大きく下がっている。今後、既存店の活性化が最重要課題であるといえよう。
ついで、昨対100%を上回った食品スーパーマーケットであるが、オオゼキ105.9%(既存店99.9%)、マックスバリュ西日本105.7%(94.8%)、 ダイイチ104.1%(96.0%)、ユニバース102.8%(95.4%)、ヤオコー101.1%(96.3%)、九九プラス100.9%(94.9%)の6社である。合計8社が昨対をクリアーしたが、残りの食品スーパーマーケットはすべて昨対割れとなった。また、これまで好調であったオオゼキも既存店がわずかに昨対を割っており、3月に入って売上げが一層厳しくなったといえよう。
一方、売上げが昨対を割り、95%以下の厳しい状況となった食品スーパーマーケットを見てみると、CFSコーポレーション:SM 94.5%(既存店95.6%)、PLANT 93.4%、マルエツ93.3%(93.3%)、いなげや92.2%(90.2%)、ヤマザワ91.7%(89.9%)、エコス90.0%(92.5%)、Olympic:フード88.9%(90.7%)という状況である。特に、Olympicは全体が88.9%となり、90%を割り込む深刻さである。また、ヤマザワも既存店が89.9%となる厳しい状況であり、この3月度がいかに厳しい消費環境にあるかがわかる。
そして、これ以外の食品スーパーマーケットの状況であるが、マックスバリュ東北99.6%(既存店98.7%)、カスミ99.4%、マックスバリュ北海道98.8%(96.3%)、トーホー98.1%(98.6%)、マックスバリュ中部97.8%(98.1%)、イズミ(推計)97.8%(94.8%)、アークランドサカモト96.5%(96.3%)という状況である。
このように、2010年3月度の食品スーパーマーケットの上場企業20数社の売上速報であるが、この集計を取りはじめて約5年になるが、はじめて全体が昨対を割るという厳しい結果となった。改めて、この3月度の消費環境が極めて厳しい状況にあるといえ、デフレが深刻な状況にあるといえよう。実際、各社の売上の中身を見ると、客単価のダウンが見られ、しかも、PI値(数量)ではなく、価格ダウンが鮮明であり、価格競争の激しさが数字に反映されているといえよう。今後も昨年の4月、5月の数字が堅調であっただけに、しばらくは厳しい状況が続くと予想されるが、ひとつ気になるのは野菜の相場である。4月度は野菜が異常に高騰しており、食品スーパーマーケットへのプラスの影響は大きいといえる。このような中、各社、今後、どのようなマーチャンダイジング戦略を打ち出すか注目したい。
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