« ザクリッチ販売休止、日経MJ新製品週間ランキング! | Main | ライフコーポレーション、2010年2月決算、増収減益! »

April 19, 2010

食品商業、最新、2010年5月号で、PI値を特集!

   食品商業、最新号、2010年5月号の表紙がバナナとなった。その下に、「PI値」活用の大正解(点数増を売上増に結び付ける)との見出しがある。久しぶりに、食品商業でPI値の特集が組まれ、私の小論も掲載された。その中でバナナを事例に取り上げたので、恐らく表紙がバナナになったものと思われる。私のテーマはセオリー編と題し、「ブランドスイッチ、ロイヤルカスタマーづくり理論」(レシート分析から品揃え、ゾーニング、インプロを解説する)というタイトルである。

   通常、PI値は点数PI値(数量PI値)のことを指し、これがあまりにもメジャーとなり、点数PI値が独り歩きしているといえる。今回の小論では、点数PI値偏重に警鐘を鳴らし、まずは、点数PI値を活用する場合でも、その本質をしっかり理解し、価格訴求のみに頼らない方法を優先すべきであるとし、新たに、レシートPI値という概念を提唱した。

   これは、点数÷レシートではなく、レシート÷レシートのPI値である。通常PI値は総客数=総レシート枚数を分母に計算される。ところが、このレシートには、今回バナナで解説したが、バナナの購入レシートもバナナの未購入レシートも全部含まれた、まさに総レシートを分母にしている。したがって、PI値アップを考える場合、客数には踏み込むことができず、結果、価格訴求に走らざるをえなくなり、平均単価が下がり、利益ダウン、売上げダウンとなることが多い。特に、昨今のデフレ環境では、点数PI値偏重は命取りになることもある。そこで、点数PI値の客数=レシートに着目し、価格に頼らない点数PI値アップをまずは説いたものである。

   これをバナナで解説すると、バナナの点数PI値=バナナの購入PI値×バナナのレシートPI値となる。バナナの点数PI値がバナナの買上点数÷全レシートであり、バナナの購入PI値がバナナの買上点数÷バナナの購入レシート、バナナのレシートPI値がバナナの購入レシート÷全レシートである。このレシートPI値に焦点を当てることによって、価格に頼らず、バナナの点数PI値を引き上げることが可能であり、その方法がゾーニング、インプロにあることを解説したものである。

   そして、2つ目のポイントがそもそも点数PI値は価格とともにあり、その融合指標が金額PI値であることを改めて解説した。金額PI値=点数PI値×価格であり、点数PI値も価格も金額PI値アップの手段でしかなく、どちらも、同等な価値がある。ちょうど、この2つは振り子のようであり、どちらを強化するかは、状況により変わる。特に、ここ最近のデフレ環境では、どうしても、点数PI値偏重になり、価格が下がることになるが、ここではあえて、価格に振り子を振ることが、金額PI値アップにとっては決め手になることを解説した。

   点数PI値のレシートPI値の重要性と合わせて考えると、デフレの時は、敢えて価格に重点を置き、なおかつ、レシートPI値に重点をおくことがポイントであり、特に、付加価値の高い商品を重点的に売り込むことが利益、売上げを維持、増加させる決め手になると解説した。当然、デフレがインフレに転じれば、今度は振り子が点数PI値に振れるので、どんどん販売点数増に重点を置いた政策に切り替えればよい。まさに、振り子のように、点数PI値と価格は同等の価値として捉え、バランスよく金額PI値を引き上げてゆくことが重要といえる。したがって、食品商業でも見出しのひとつとなった「ブランドスイッチ」がPI値活用のまさに大正解となる。

   そして、今回は、もうひとつ、最新のPI値の研究テーマであるID-POS分析についても触れた。ポイントは顧客が見えるPI値である。これまでのPI値は分母が原則レシートであり、しかも、総レシートであることが多く、そこから顧客を見ることは不可能であった。顧客の購入状況がバラバラにばらされ、ひとつにまとめられ、それはもはや顧客ではなく、巨大な顧客の平均像を見ているに過ぎない。したがって、マーチャンダイジングもその平均像をもとに、平均値を上げる政策しか打つ手がなかったといえる。

   そこで、ID-POS分析、すなわち、ID-PI値はまさに、顧客1人1人をしっかり見るために生まれたPI値であり、ここから、バナナのロイヤルカスタマー、レギュラーカスタマー、未購入カスタマーを分け、PI値を駆使して、顧客1人1人へのマーチャンダイジングを検討しようという試みである。これまでの、実際には存在しない平均的な顧客増から、真の顧客のまさに購入イメージそのものを前提にマーチャンダイジングを考えようという試みであり、まさに、顧客のイメージ化といえる。

   このように、今回の食品商業の小論は、「PI値」活用の大正解をテーマに、盛りだくさんの内容をコンパクトにまとめたものであり、現状のPI値活用の課題から、今後のPI値の研究テーマまで網羅した内容である。PI値はまさに、日々進化しており、ここ最近ではID-POS分析によるPI値が主流となりつつある。次回、機会があれば、実証データを踏まえ、バナナの真の実態に迫ってみたいと思う。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

« ザクリッチ販売休止、日経MJ新製品週間ランキング! | Main | ライフコーポレーション、2010年2月決算、増収減益! »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 食品商業、最新、2010年5月号で、PI値を特集!:

« ザクリッチ販売休止、日経MJ新製品週間ランキング! | Main | ライフコーポレーション、2010年2月決算、増収減益! »