食品商業、最新、2010年5月号で、PI値を特集!
食品商業、最新号、2010年5月号の表紙がバナナとなった。その下に、「PI値」活用の大正解(点数増を売上増に結び付ける)との見出しがある。久しぶりに、食品商業でPI値の特集が組まれ、私の小論も掲載された。その中でバナナを事例に取り上げたので、恐らく表紙がバナナになったものと思われる。私のテーマはセオリー編と題し、「ブランドスイッチ、ロイヤルカスタマーづくり理論」(レシート分析から品揃え、ゾーニング、インプロを解説する)というタイトルである。
通常、PI値は点数PI値(数量PI値)のことを指し、これがあまりにもメジャーとなり、点数PI値が独り歩きしているといえる。今回の小論では、点数PI値偏重に警鐘を鳴らし、まずは、点数PI値を活用する場合でも、その本質をしっかり理解し、価格訴求のみに頼らない方法を優先すべきであるとし、新たに、レシートPI値という概念を提唱した。
これは、点数÷レシートではなく、レシート÷レシートのPI値である。通常PI値は総客数=総レシート枚数を分母に計算される。ところが、このレシートには、今回バナナで解説したが、バナナの購入レシートもバナナの未購入レシートも全部含まれた、まさに総レシートを分母にしている。したがって、PI値アップを考える場合、客数には踏み込むことができず、結果、価格訴求に走らざるをえなくなり、平均単価が下がり、利益ダウン、売上げダウンとなることが多い。特に、昨今のデフレ環境では、点数PI値偏重は命取りになることもある。そこで、点数PI値の客数=レシートに着目し、価格に頼らない点数PI値アップをまずは説いたものである。
これをバナナで解説すると、バナナの点数PI値=バナナの購入PI値×バナナのレシートPI値となる。バナナの点数PI値がバナナの買上点数÷全レシートであり、バナナの購入PI値がバナナの買上点数÷バナナの購入レシート、バナナのレシートPI値がバナナの購入レシート÷全レシートである。このレシートPI値に焦点を当てることによって、価格に頼らず、バナナの点数PI値を引き上げることが可能であり、その方法がゾーニング、インプロにあることを解説したものである。
そして、2つ目のポイントがそもそも点数PI値は価格とともにあり、その融合指標が金額PI値であることを改めて解説した。金額PI値=点数PI値×価格であり、点数PI値も価格も金額PI値アップの手段でしかなく、どちらも、同等な価値がある。ちょうど、この2つは振り子のようであり、どちらを強化するかは、状況により変わる。特に、ここ最近のデフレ環境では、どうしても、点数PI値偏重になり、価格が下がることになるが、ここではあえて、価格に振り子を振ることが、金額PI値アップにとっては決め手になることを解説した。
点数PI値のレシートPI値の重要性と合わせて考えると、デフレの時は、敢えて価格に重点を置き、なおかつ、レシートPI値に重点をおくことがポイントであり、特に、付加価値の高い商品を重点的に売り込むことが利益、売上げを維持、増加させる決め手になると解説した。当然、デフレがインフレに転じれば、今度は振り子が点数PI値に振れるので、どんどん販売点数増に重点を置いた政策に切り替えればよい。まさに、振り子のように、点数PI値と価格は同等の価値として捉え、バランスよく金額PI値を引き上げてゆくことが重要といえる。したがって、食品商業でも見出しのひとつとなった「ブランドスイッチ」がPI値活用のまさに大正解となる。
そして、今回は、もうひとつ、最新のPI値の研究テーマであるID-POS分析についても触れた。ポイントは顧客が見えるPI値である。これまでのPI値は分母が原則レシートであり、しかも、総レシートであることが多く、そこから顧客を見ることは不可能であった。顧客の購入状況がバラバラにばらされ、ひとつにまとめられ、それはもはや顧客ではなく、巨大な顧客の平均像を見ているに過ぎない。したがって、マーチャンダイジングもその平均像をもとに、平均値を上げる政策しか打つ手がなかったといえる。
そこで、ID-POS分析、すなわち、ID-PI値はまさに、顧客1人1人をしっかり見るために生まれたPI値であり、ここから、バナナのロイヤルカスタマー、レギュラーカスタマー、未購入カスタマーを分け、PI値を駆使して、顧客1人1人へのマーチャンダイジングを検討しようという試みである。これまでの、実際には存在しない平均的な顧客増から、真の顧客のまさに購入イメージそのものを前提にマーチャンダイジングを考えようという試みであり、まさに、顧客のイメージ化といえる。
このように、今回の食品商業の小論は、「PI値」活用の大正解をテーマに、盛りだくさんの内容をコンパクトにまとめたものであり、現状のPI値活用の課題から、今後のPI値の研究テーマまで網羅した内容である。PI値はまさに、日々進化しており、ここ最近ではID-POS分析によるPI値が主流となりつつある。次回、機会があれば、実証データを踏まえ、バナナの真の実態に迫ってみたいと思う。
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