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April 10, 2010

PI値、在庫、自動発注!

   PI値を研究してかれこれ20年になる。この間、一貫してPI値を研究している。特に最近は、IDを活用したPI値に研究領域が移りつつあるが、PI値活用の根幹が顧客1人当たりの指標をベースにしたマーチャンダイジングの改善にあるということに関しては、何ら変わらない。そもそも、PI値は何を改善してきたかであるが、その最大のテーマのひとつが在庫問題にあったといえる。

   在庫問題は古くて新しいテーマであり、小売業を営む以上、必ず解決しなければならないもののひとつである。ちなみに、在庫の何が問題かであるが、特に、食品スーパーマーケットの最重点商品である青果部門などでは、在庫管理ができていない場合、欠品、過剰在庫が起こり、経営に大きな影響をあたえる。

   欠品がおこるとは、朝10時に売場に並べたトマトがひどい場合、お昼には欠品してしまうことがある。あるいは、食品スーパーマーケットにとって、もっとも重要な時間帯、16時から17時頃に品薄となってしまう場合もある。こうなると、トマトを目当てにこられたお客様にとっては最悪であり、トマトを購入できず、しかたなしに、他の野菜を買うか、別の店でトマトを買わざるをえなくなる。お客様をがっかりさせ、いわゆる、顧客満足度を落とすだけでなく、本来、トマトが欠品せずに、売場にあれば、その分の売上げが上がった可能性があり、いわゆる、チャンスロス(機会ロス)が生じ、店の売上げが落ちることにもなる。すなわち、欠品とはお客様にとっても、お店にとっても問題であるといえる。

   一方、過剰在庫も問題である。朝10時に並べたトマトが閉店時にたくさん売れ残っていた場合には当然、その分がロスとなり、在庫処分をせざるをえなくなる。これは、翌日までもつ商品に関しては、朝1番で値下げをし、売り切るか、もたない商品に関しては、廃棄処分にするしかなくなる。お客様にとっては、閉店時間までトマトがあるので、いわゆる顧客満足度は落ちることはないかもしれないが、翌日以降のトマトが同様に管理されるかはわからず、翌日は仕入れを控えすぎ、逆に欠品となることもある。さらに、問題は店舗である。過剰在庫に関しては、売上高はチャンスロスが0になり、最大になる可能性があるが、在庫処分の見切りロスや廃棄ロスが発生し、その分、利益減にダイレクトに響くからである。

   したがって、トマトの欠品も過剰在庫もどちらも店舗にとっては大きな問題であり、この在庫問題を解決できなければ商売はなりたたないといえる。特に、これが大都市の食品スーパーマーケットでは客数が地方都市の2倍、3倍となることにより、欠品の問題や、その客数を見越し、多めに仕入れ過ぎてしまい、過剰在庫になる問題が頻繁に発生し、トマトひとつ販売するにも、莫大な損失を被ることがある。

   そこで、今回のテーマ、PI値であるが、PI値は、この在庫問題に真正面から取り組んだところからスタートしている。PI値とは買上点数÷客数のことであり、トマトの場合でいえば、トマトが100個売れ、客数が1,000人来店した場合のPI値は100個÷1,000人=10%という数字になる。この10%がトマトのPI値であり、このPI値を活用して在庫管理をしようというのが、まさに、PI値の研究そのものである。いまから約15年ぐらい前であるが、当時、青果専門店、八百屋のトマトにPI値を応用したことが、本格的なPI値の在庫管理への活用のスタートであったと思う。

   ポイントはトマトのPI値をしっかり把握するところから始まる。PI値は特に価格に敏感であり、通常価格の場合、10%offの場合、20%offの場合、あるいは50%offの場合で数字が跳ね上がってくる。グラフにすると、ちょうど、需要曲線のようなきれいな双曲線を描くことが多いが、このPI値を把握しておくと、過剰在庫になった時、残りの在庫を欠品させずに、うまく、管理することができるようになる。PI値はこれ以外にも、場所、POPなどによっても変化するので、それらPI値の変化の要因もしっかり把握することがポイントである。

   次に、客数を把握することがポイントとなる。客数は商売の原点であるので、PI値を活用するしないにかかわらず、しっかり把握しておきたいところだ。1日の平均客数、週間客数、月間客数、年間客数、そして、商売にとって最も重要なのが時間帯別客数である。特に、客数は天候、曜日、ちらし、社会行事など、お客様の買い物動機に影響を与えることが起こると大きく変化するので、その読みが重要である。

   この2つの要素、PI値、客数が把握できれば、あとは、この2つを掛け合わせれば、在庫の予想が立つ。明日客数が1,500人、トマトのPI値は10%と予想が立てば、掛けて、150個のトマトが売れる予想となる。そして、この予想がはずれ、突然、雨になれば、客数が1,000人に激減することもある。この時は、150個トマトがあるので、早めに、10%off、あるいは思い切って50%offにし、利益減を最小に食い止める対応が必要となるが、PI値をしっかり把握していればあわてることはなく、対処ができよう。

   最近では、この原理を応用し、青果の自動発注にまで取り組んでいる食品スーパーマーケットもあり、PI値はまさに、在庫問題に真正面から取り組み、結果、顧客満足度を満たし、同時に、店舗の利益を最適に保つ最良の指標として、研究成果が様々な商売に活用されつつある。今後、PI研としても、この在庫問題を含め、その研究をさらに深めてゆきたい。

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