家計調査データ、2010年3月度、食品98.3%!
総務省統計局から、4/30、家計調査データ月報の最新、2010年3月度が公表された。家計調査データの月報は翌月の月末に公開されるため、現在、5月ではあるが、最新はこの3月度である。結果は、何と、全体の消費額が1世帯1日当たり10,322.29円(103.0%)と、ここ数年で最高の数字となった。一見、デフレ環境の中ではあるが、消費が回復しているように見える。ただ、外食を除く食品は1,927.32円(98.3%)と逆に下がっており、こと、食品に関しては依然として厳しい数字で推移している結果となった。
では、この3月度は何が全体の消費を押し上げたかであるが、大分類で見てみると、住居596.97円(118.0%)、交通・通信1,519.94円(114.7%)、教育523.52円(111.3%)、教養娯楽1,167.13円(108.3%)家具・家事用品328.16円(107.7%)の5部門が大きく消費を伸ばしたことがその要因である。ちなみに、被服及び履物は、446.87円(97.8%)と食品以上に下げ幅が大きく、厳しい状況であった。また、外食も432.97円(101.0%)と微増に留まった。したがって、この3月度は食品、衣料品が厳しい状況であり、住関連、その他が大きく増加し、全体の消費を押し上げた結果であったといえる。
そこで、この3月度、消費が力強く伸びた5つの大分類で特に120%以上伸びた項目を見てみたい。住居であるが、設備修繕・維持全体が263.45円(154.5%)と大きく伸びており、その中でも、給排水関係工事費51.26円(676.2%)、畳替え0.55円(425.0%)、外壁・塀等工事費 65.87円(246.0%)が異常値である。ここへ来て、修繕に消費が振り向けられた状況が鮮明である。交通通信では、何といっても、自動車購入324.39円(164.0%)が大きく、ついで、バス通学が増えたのか、バス通学定期代が3.48円(142.1%)と伸びた。
ついで、教育では、国公立大学17.94円(154.0%)、私立小学校 2.71円(200.0%)、中学校補習教育42.81円(134.0%)、私立高校42.35円(128.6%)、私立大学145.71円(122.5%)と軒並み上昇している。教養娯楽では、テレビ110.65円(181.0%)、教養娯楽用耐久財修理代3.39円(172.1%)、ビデオデッキ13.55円(159.1%)、他の教養娯楽用耐久財19.74円(122.9%)と、エコポイント関連が高い伸びを示している。そして、家具・家事用品であるが、エアコンディショナ17.61円(718.4%)、ベッド11.94円(359.2%)、家事使用人給料3.61円(228.6%)、他の室内装備品3.77円(142.7%)、カーテン 7.19円(139.4%)、応接セット6.23円(138.8%)、清掃代16.61円(121.2%)が良く伸びている。
以上の項目がこの3月度、120%以上消費が伸びた項目であり、デフレとは反比例に伸びている消費といえ、デフレに強い項目といえよう。自動車、家電等は政府支援のエコポイントが効いているといえ、これ以外では家の修繕関連、教育関連の伸びが顕著であるといえよう。
さて、では、このような好調部門とは打って変わり、デフレの影響を強く受けた食品について見てみたい。まずは、この3月度の食品の大分類の状況であるが、伸びた部門は野菜・海藻272.39円(101.4%)、調理食品255.65円(101.5%)の2部門のみであり、しかも、微増である。そこで、野菜の中で特に伸びている部門を見ると、たけのこ3.77円(128.6%)、たまねぎ10.81円(126.9%)、ねぎ7.90円(116.1%)、かぼちゃ3.74円(108.4%)、ほうれんそう6.71円(107.2%)等であり、やはり、相場との関係が強いといえよう。この傾向は4月度も続くといえ、食品では、野菜が全体を牽引する状況である。また、調理食品では、うなぎのかば焼き5.06円(118.0%)、やきとり4.90円(111.8%)、ぎょうざ5.94円(108.2%)、しゅうまい2.87円(107.2%)等の伸びが顕著であり、これは中国餃子の問題が解決に向かっていることも好影響を与えているといえよう。
一方、消費が特に厳しかった食品の部門であるが、酒類が101.71円(92.1%)と大きく下がっており、厳しい状況である。特に、これまで好調であったウイスキー3.29円(84.3%)が大きく落ち込み、主力のビール29.26円(86.7%)、焼ちゅう19.00円(94.1%)が伸び悩んだ。一方、低価格の発泡酒・ビール風アルコール飲料21.35円(124.4%)は絶好調であり、ついで、ワイン5.94円(110.8%)も好調であった。
酒類についで、落ち込みが大きかった部門は、肉類199.35円(95.1%)、穀類212.19円(96.7%)である。肉類では、合いびき肉5.42円(91.8%)、牛肉48.94円(93.6%)、豚肉64.81円(93.6%)に加え、加工肉のハムも10.94円(95.8%)と落ち込みが大きかった。穀類では、米72.52円(93.8%)が最も落ち込みが大きく、ついで、スパゲッティ4.00円(88.6%)、生うどん・そば10.39円(96.4%)等が厳しかったといえる。
このように、2010年3月度の消費はデフレの影響を強く受けた結果となったといえる。消費が大きく伸びたところは政府のエコポイントで実質価格が下がった自動車、家電が大きく、ついで、修繕関連、教育関連の消費が顕著であった。一方、デフレの影響をもろに受けているのが食品、衣料品等であるといえ、特に食品では、野菜と一部惣菜を除きほぼ全滅という厳しい状況であった。野菜も相場の影響が大きく、惣菜も中国餃子問題が解決に向けて動きだしたことが大きいといえる。今後、当面、デフレは継続する可能性が高く、この3月度の消費環境がしばらく続くものといえよう。食品スーパーマーケットにとっては、当面、厳しい経営を余儀なくされるといえ、原価、経費を改善し、キャッシュをいかに確保するかが最大の経営課題といえよう。
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