コンビニ売上速報、2010年4月度、-1.4%!
コンビニの2010年4月度の売上速報が5/20、(社)日本フランチャイズチェーン協会から公表された。このコンビニの売上速報は主要コンビニ10社、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの売上速報であり、合計店舗数は42,865店舗(昨対1.9%増)の集計数字である。
その結果であるが、全体の売上高は6,357.91億円となり、昨対-1.4%、既存店は-3.7%となった。全店の数字は10ヶ月連続マイナス、既存店は11ヶ月連続マイナスという厳しい結果である。(社)日本フランチャイズ協会は、この結果を「当月は前線を伴った低気圧が日本付近を頻繁に通過したため、曇りや雨の日が多く全国的に日照時間が少なかった。その影響もあり、・・」と、天候問題が大きかったと分析しており、これが客数に響いたとのことである。そこで、客数の動向を見てみると、11.17億人(-0.5%)、既存店は10.44億人(-1.8%)と、下がっており、特に、既存店の客数減が影響しているといえよう。
ちなみに、コンビニの平均客数であるが、この4月度の全店の店舗数が42,865店舗、その客数が11.17億人であるので、868.80人/店舗/日となる。食品スーパーマーケットの平均が約2,000人であるので、その半分といえる。また、売上高を同様に計算すると、49.44万円となる。
一方、客単価であるが、569.1円(-1.0%)、既存店は562.9円(-1.9%)と、客数以上に下がっており、厳しい結果である。したがって、この4月度の売上高のダウンは客数、客単価ともにダウン、しかも、既存店は客数-1.8%、客単価-1.9%と、どちらも、約2%下がっており、既存店の伸び悩みが大きかったといえる。さらに、この既存店の落ち込みは11ケ月連続で下がっており、特に客単価に限っては17ケ月連続でのダウンであり、深刻な状況が続いているといえよう。
では、商品で見ると、この状況はどうであるかを見てみたい。コンビニの商品群は大きく4つに分かれる。日配食品(米飯類(寿司、弁当、おにぎり等)、パン、 調理パン、惣菜、・・)、売上構成比33.7%、加工食品(菓子類(生菓子を除く)、ソフトドリンク(乳飲料を除く)、アルコール飲料(日本酒、ウイスキー、ワイン等)、・・)、売上構成比29.1%、非食品(雑誌、書籍、新聞、衣料品、袋物類、文房具、ブラシ、玩具、雑貨、たばこ、ペットフード、・・)、売上構成比32.2%、そして、サービス(コピー、ファクシミリ、宅配便、商品券、ギフト券、乗車券、各種チケット、・・)、売上構成比5.0%である。
それぞれの、この4月度の売上高を昨年と比べてみると、日配食品-2.6%、加工食品-4.5%、非食品0.5%、サービス13.3%であり、コンビニの中核、日配と加工食品の数字が深刻であり、全体の売上げを下げているといえる。本来であれば、taspo効果がなくなり、たばこを扱っている非食品の落ち込みが全体に影響を与えるのではないかと思われるが、事実は逆であり、非食品は微増、日配食品、加工食品の落ち込みが大きい。これは、明らかにデフレの影響が大きいのではないかと思われ、食品全体の価格ダウンが既存店の客単価を下げているものといえよう。
したがって、当面、コンビニのこの厳しい状況は継続する可能性が高く、コンビニは極めて厳しい経営環境に入ったといえよう。実際、昨年度の商品群別の月別推移を見てみると、コンビニの柱であるファストフードを含む日配食品がtaspo効果が継続していた昨年の2月以降数字の落ち込みが見られる。taspoは昨年の6月頃まで継続しているので、日配食品の2月以降は4ケ月も早い時期であり、taspoの反動ではなく、日配食品自身に問題があるといえよう。
こう見ると、コンビニの業績を上昇させるためには、日配食品が鍵を握っているといえ、この部門の復活が課題であるといえよう。しかも、全体の動向は客数よりも客単価の落ち込みが大きいことから、日配食品の客単価をいかに引き上げられるかが課題といえよう。一般に客単価はPI値と平均単価の掛け算であり、この統計ではPI値、平均単価は公表されていないが、客単価の落ち込みは、デフレ環境による、平均単価のダウンが大きいのではないかと思われる。したがって、日配食品の活性化は、平均単価のアップをどこまで図れるがポイントであるといえ、ボリューム、付加価値の追求により、平均単価のダウンをどこまでくい止められるかにあるといえよう。
このように、2010年4月度のコンビニの売上速報が公表されたが、この4月度も依然として厳しい売上であるといえ、客数、客単価双方がダウンし、商品では日配食品、加工食品のダウンが深刻である。特に、日配食品はコンビニの中核商品でもあることから、まずは、この日配食品をどう活性化するかが、最大のポイントであり、この日配食品の復活なしに、コンビニの復活はないといえよう。今後、このような厳しい状況を踏まえ、コンビニ各社がどのような日配食品の新商品を打ち出すか注目である。
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