消費者物価指数(CPI)、2010年3月度、-1.1%!
4/30、総務省統計局から2010年3月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。結果は、「(1) 総合指数は平成17 年を100 として99.6 となり,前月比は0.3%の上昇。前年同月比は1.1%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は99.5となり,前月比は0.3%の上昇。前年同月比は1.2%の下落となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.7となり,前月比は0.3%の上昇。前年同月比は1.1%の下落となった。」となった。消費者物価指数は、このように3つに分けて公表されており、(1)が文字通り総合、(2)が相場変動の激しい生鮮食品を除く総合、そして、(3)がさらに、食料(酒類を除く)と国際相場と関係の深いエネルギーを除く総合である。
特に、今月の消費者物価指数で気になるのは、前年同月比がどの段階でも1.0%以上の下落となっており、しかも、前月比0.3%とわずかな上昇にとどまったことである。これまでの数年間の消費者物価指数を月別で見ると、上昇局面では右上がりに動き、逆に下降局面では右下がりに動き、全体としては、いわゆるsinカーブを描き、半円形の動きとなるのが実態である。ところが、ここ数ケ月の動きは、昨年の10月の-2.0近辺の頂点を境に徐々に物価上昇率が上昇してゆき、プラスに近づいてゆく局面に入ったといえるが、1月以降、動きがピタリととまり、-1.0%前後で動かなくなったことである。これまでの数年間の推移を見る限り、3ケ月連続で物価上昇率が横ばいとなったことはなく、明らかに、この3ケ月横ばいは異常な状況といえよう。それだけ、デフレが定着しつつあるといっても良い状況を示しているともいえる。
こうなると、4月以降がどうなるかを予想するのが極めて難しい状況といえ、このまま-1.0%前後で横ばいが続くのか、プラスの方向に動くのか、それとも、一転して、さらにデフレの方向に再び動き始めるのか、読めない局面に入ったといえよう。これまでの動きを見る限り、物価上昇局面に入ってもおかしくない状況であるにも関わらず、横ばいとなったことから、現状はかなりのデフレ圧力が強いと推測されよう。
さて、今月はこの3月度の消費者物価指数(CPI)と同時に、2009年度の年間の消費者物価指数も公表された。その結果であるが、「(1) 総合指数は平成17年を100として100.0となり,前年度比は1.7%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は100.0となり,前年度比は1.6%の下落となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.3となり,前年度比は1.0%の下落となった。」であった。総合で1.7%の下落とのことで、まさに、デフレの1年間であったことがわかる。日経新聞によれば、下落は5年ぶり、下落率は比較可能な1971年度以降、過去最大となったという。したがって、今期の決算はまさに、このデフレ真っただ中での決算であったといえ、食品スーパーマーケットの決算が厳しかったのも、このデフレの影響が強く反映された結果といえよう。
では、今年の3月度、依然としてデフレ圧力が強かった要因を10大費目で見てみたい。総合が同年前月比-1.1%となった要因を寄与度で見ると、食料が最も大きく-0.44ポイントであり、ついで、光熱・水道の-0.31ポイント、教養娯楽の-0.28ポイントである。特に、食料では、生鮮食品-0.02ポイントであるのに対し、生鮮食品を除く食料が-0.41ポイントと圧倒的であり、生鮮食品以外の下落が大きかったといえよう。
そこで、生鮮食品を除く食料で、下落率が大きかった項目を見てみると、食用油-14.8%、ビスケット-12.6%、スパゲティ-12.5%、たらこ-9.3%、マヨネーズ-8.7%、ミネラルウォーター-8.5%、食パン-8.5%、ケチャップ-7.8%、うなぎかば焼-7.7%、小麦粉-7.7%、果実ジュース-6.2%、ししゃも-5.5%、混ぜごはんの素-5.4%、ぶどう酒-5.3%、ちくわ-5.2%等であり、以上が-5.0%以下である。また、食料以外では、電気代-9.0%、都市ガス-10.3%、テレビ(薄型)-35.9%、パソコン(デスクトップ型)-33.7%、パソコン(ノート型)-37.3%、カメラ-31.3%、外国パック旅行-11.0%、高速自動車国道料金-6.6%等が物価の下落が大きかった項目である。
ちなみに、このようなデフレ環境の中で、逆に、10%以上物価が上昇した項目を生鮮食品も含めて見てみると、たまねぎ34.7%、乾燥スープ31.2%、ねぎ 30.4%、キャンデー22.4%、だいこん17.3%、マーガリン16.4%、ガソリン16.4%、ばれいしょ16.0%、れんこん15.8%、灯油14.6%、かぼちゃ14.4%、ピアノ12.9%、女性誌12.1%となる。野菜が多いのが特徴であるが、4月度は野菜がさらに上昇しているので、全体の消費者物価指数へ与える影響は大きいかもしれない。
このように、2010年3月度の消費者物価指数(CPI)は-1.1%と依然として横ばいが続いており、デフレ圧力が強いといえよう。また、同時に公表された2009年度の年間の消費者物価指数も-1.7%の下落であったことがはっきりした。しかも、過去最低の数字であるとのことで、明らかに、昨年から本格的なデフレ局面に入ったといえ、今年に入ってもその影響が続いているといえよう。こう見ると、今後とも、当面デフレが継続する可能性が高いといえ、食品スーパーマーケット業界としても、デフレを前提とした経営戦略を立てることがポイントといえよう。4月以降の消費者物価指数がどう動くか注目である。
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