POS関連の日本、米国、欧州の特許を見る!
特許庁が公表している資料には興味深い内容のものが多い。少し、古いが平成15年度(平成16年3月公表)の公開資料であるが、「特許出願技術動向調査報告書」というレポートがある。特にネットワーク関連のPOSを取り上げたものであり、日本だけでなく、北米、ヨーロッパの動向も網羅しており、POSが何を目指しているか、日本のPOS関連メーカーの世界での位置付けがわかる極めて貴重なレポートである。
この中で、注目される技術として、特に5つを取り上げている。1.決済関連のICカード、電子マネー携帯電話利用決算、2.販促/顧客関連のCRM、FSP、顧客別サービス、ポイントシステム、3.本体、周辺端末関連の各種省力化端末、無線の利用、4.認識技術関連として、無線タグの利用、そして、5.発注在庫管理関連として、SCM、CPFR、グローバルな情報共有である。これを見る限り、いまでも十分最新のテーマであるといえ、依然として現在のPOSの研究課題であるといえよう。
では、これら主要なテーマの解決を目指し、世界のPOSメーカーがどのような特許をどのくらい出願しているかを見てみたい。まず、この当時の特許出願件数であるが、日本、アメリカ、ヨーロッパで4,660件の特許の出願があった。この内、日本が3,418件73.34%であり、何と7割が日本での特許出願であり、POSでは日本の技術開発が最先端をいっているといえよう。ついで、アメリカの714件、ヨーロッパの528件である。
次に、日本での特許出願の主要企業を見ると、東芝テック502件、日立製作所177件、富士通156件、日本電気124件、NECインフロンティア110件、大日本印刷83件、オムロン83件、東芝73件、NCR INTERN INC70件、カシオ57件である。東芝テックが断トツの数字であり、現在、日本のPOS市場の約50%であることからも、それを裏付ける研究開発力であるといえよう。アメリカではどうであるかであるが、FUJITSU LTD61件と何と富士通がトップである。ついで、NCR CORP53件、IBM CORP34件、HITACHI LTD25件、CATALINA MARKETING INT18件、NEC CORP14件、HEWLETT-PACKARD14件、WALKER DIGITAL14件、TOSHIBA TEC KK12件、SONY CORP10件と続く。何と日本の企業が富士通を含め、5社、半分を占めており、アメリカでも日本のPOSメーカーが強いといえよう。
そして、ヨーロッパであるが、NCR CORP60件、FUJITSU LTD39件と、ここでも富士通が強く、こう見ると、富士通は世界にバランスよく特許を出願しており、世界市場でトップクラスのPOSメーカーであることがわかる。ついで、CATALINA MARKETING INT20件と、カタリナマーケティングがアメリカでもヨーロッパでも上位に食い込んでおり、POSメーカーというよりも、販促であるが、POS関連の特許を数多く出願していることがわかる。そして、HITACHI LTD14件、IBM CORP12件、SIMENS AG10件、HEWLETT-PACKARD9件、WALKER DIGITAL9件、TOSHIBA TEC KK8件と続く。ヨーロッパでも日本のPOSメーカーは強く、4社入っており、しかも富士通はトップクラスの特許出願率である。
そこで、世界でもトップクラスの日本のPOSメーカーがどのような特許を出願しているかであるが、最も多い分野が店舗内ネットワーク関連であり、608件である。この内、東芝テックが265件の特許を出願しており、ネットワークがらみが熱いといえよう。ついで、店舗センター間関連であり、販促・顧客関連であり、無線通信利用関連となる。いずれも東芝テックがNo.1であり、まんべんなく、東芝テックは様々な分野で特許を出願しているといえる。これ以外では、カード処理、発注在庫管理、企業間ネットワーク、インターネット利用などが多い。
次にアメリカでの特許出願状況を見てみたい。日本と違うところは、イネターネット関連、カード処理関連、決済、セキュリティ対策関連、販促・顧客管理関連が多いといえる。そして、このいずれの分野でも富士通の強さが光っており、富士通がアメリカのPOSの研究開発をリードしているといえよう。ちなみに、NCR CORPは店舗内ネットワーク、セキュリティ対策関連、無線通信利用関連の特許が多いといえる。そして、ヨーロッパであるが、店舗内ネットワーク関連が大きく、ついで、販促・顧客管理関連、カード処理関連、セキュリティ対策関連、決済関連が多いのが特徴といえる。No.1のNCRが店舗内ネットワークが強く、富士通は日本同様、各種関連分野への特許出願が強いのが特徴である。
それにしても、日本のPOSメーカーの特許出願の強さが光るといえ、ここまで、日本のPOSメーカーが世界の市場をリードしているとはびっくりである。特に、日本のメーカーは主要テーマのほとんどにおいて、積極的に特許出願をしており、欧米が絞り込んだテーマへの投資である点と際だった違いがあるといえよう。今後、POSはますますネットワーク化され、商品管理だけでなく、顧客管理、物流管理等との融合も大きな課題となろう。
レポートの最後では日本が取り組むべき研究開発の方向性が示されているが、3つポイントをあげている。日本の強みの技術を生かした応用システムへの注力、特に、携帯電話応用システムの開発、無線タグ応用システムの開発である。2つ目がデータのグローバル標準への取組みであり、そして、3つ目が、現場に密着したきめ細かい応用技術の開発、人材の育成である。すでに、現在、実用化されつつある技術もあるが、今後、日本のPOSメーカーが日本はもちろん、世界を含めたどのようなマーケティング戦略を打ち出すか注目である。
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