九九プラス、V字回復、既存店は減収!
九九プラスが4/14、2010年2月期の決算を公表した。結果は営業総収入1,354.10億円、営業利益17.92億円、経常利益18.60億円、当期純利益16.73億円となった。今期は決算期が変更になり、これまでの3月決算からローソンに合わせ、2月決算に変更したため11ケ月決算という変則決算となった。今後、九九プラスはローソンとの株式交換により、完全子会社となり、上場廃止となるので、今期が最後の決算公開となる。
九九プラスは2007年2月のローソンとの資本業務提携以降、両者の関係を深めてきた。この1年の中でもローソンとの関係は、2009年5月1日にローソンの100%子会社、バリューローソンを吸収合併し、70店舗を吸収し、事業規模を拡大している。これに、独自の新規出店が108店舗加わり、今期は996店舗(昨年856店舗)と、店舗数が大きく増加した。また、ローソングループのPB、バリューラインの開発を加速させ、商品力の強化もはかった。さらに、ローソンのフランチャイズノウハウを導入し、FC展開を本格展開しはじめ、昨年の109店舗から167店舗と順調にFCが増えている。今後は、冒頭でも触れたように、ローソンとの株式交換により、ローソンの完全子会社、上場廃止、資本業務提携から完全子会社へと経営のステージが移ることになる。
そこで、今期の決算内容であるが、最大のポイントは、九九プラスの営業利益がV字回復したことである。昨年の営業利益はわずか2.61億円であり、しかも前期は赤字、下期の黒字でカバーし、プラスにもっていっており、厳しい1年であった。今期は昨年の下期を上回る黒字を達成しており、結果、11ケ月の変則決算であったが、昨年の2.61億円の営業利益から、17.92億円と、まさにV字回復である。
では営業利益がV字回復した要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、75.36%(昨年75.97%)と、0.61ポイント下げており、大きく原価が改善していることがわかる。結果、売上総利益は24.64%(昨年24.03%)と改善した。ちなみに、九九プラスの商品構成比であるが、No.1部門は日配の27.5%、ついで、No.2が一般食品の22.7%であり、この2部門で50.2%と半分を占める。したがって、原価改善はこの2部門が大きく鍵を握っているといえ、ローソングループのPB、バリューラインの貢献が大きかったといえよう。この2部門についで、No.3が9.2%の雑貨であり、食品スーパーマーケットと競合する生鮮は7.9%、惣菜は8.9%であり、構成比は低いといえる。
これに対して経費であるが、25.41%(昨年25.80%)と0.39ポイント改善した。したがって、原価、経費ダブルで利益を改善しており、理想的な改革が進んだといえよう。特に、昨年12月、100%子会社の九九プラス関西を吸収合併し、人的資源の有効活用や間接業務の一元化により、グループの経営資源の集中と経営の効率化を進めたことが大きいといえよう。結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.77%(-1.77%)とマイナス幅が大きく縮まった。ただ、まだ、マイナスであり、今後、さらに、原価、経費の改善が課題であろう。
そして、このマーチャンダイジング力に、その他営業収入が加わり、営業利益となるが、九九プラスはローソンとの資本業務提携以降、FC化を強く進めており、FCから上がる収入が伸びている。現在、その他営業収入の約60%となり、FCからの収入は昨対121.67%と急激に増加している。そのその他営業収入であるが、2.13%(昨年1.97%)と、0.16ポイント増加しており、結果、営業利益は1.35%(昨年0.20%)となった。
今期の営業利益のV字回復は、原価、経費が下がり、さらにFC収入の増加により、その他営業収入も増加するという、トリプルで営業利益を押し上げており、V字回復が絵にかいたような理想的な結果となったといえよう。少し気になるのはV字回復したとはいえ、営業利益率は1.35%と、食品スーパーマーケット業界のトップクラスの5%前後、平均の2.5%前後と比べても低い数字であり、今後、さらに、収益を改善したいところであろう。そして、そのためにも、今期の売上が98.8%となった既存店をいかに活性化するかが課題といえよう。
さて、財務の方であるが、自己資本比率は48.1%(昨年41.6%)と、こちらも改善しており、営業利益のV字回復が自己資本比率を引き上げたといえる。また、有利子負債も16.85億円(昨年27.17億円)、総資産対比でも6.42%(昨年10.48%)と減少しており、財務バランスが改善している。ただ、営業キャッシュフローが7.76億円(22.65億円)と、大きく減少しており、気になるところである。これは、当期純利益は順調に増加したが、今期は仕入れ債務が19.56億円減少したことが大きかった。
このように、九九プラスの2010年2月期の決算が公表されたが、昨対は11ケ月の変則決算であったため、単純な比較はできないが、昨年の12ケ月間の数字と比べ、すべてがプラスであり、増収増益となった。特に、営業利益はV字回復を果たしており、その内容も、原価、経費が下がり、FCからの収入を含む、その他営業収入も増加しており、理想的な利益改善であったといえる。まさに、ローソンとの資本業務提携の成果が表れた結果といえよう。来期は、ローソンの完全子会社となり、上場廃止になり、直接の決算の公表はないと思われるが、今期の好決算を受けて、さらに、どこまで業績が改善するか注目である。
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