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May 09, 2010

レイアウトと尺効率について

   PI値は顧客1人当たりの販売金額、販売数量の指標であるが、この指標の食品スーパーマーケットでの実践的な活用方法には様々なものがある。基本はマーチャンダイジングへの活用が主であるが、それ以外では、発注への活用、レイアウトへの活用等がある。そこで、ここでは、レイアウトへの実践的な活用方法について解説してみたい。

   レイアウト、いわゆる、商品群のゾーニングであるが、ポイントは2点ある。1点目は商品群の配置、まさにゾーニングであり、もう1点はその商品群のスペース配分、いわゆる尺数配分である。これらは、食品スーパーマーケット業界において確固たる理論が確立されているわけではなく、様々な考え方があり、独特なノウハウが乱立しているという状況といえよう。

   そこで、PI値を活用した1点目のゾーニングであるが、これは、原則、客動線に沿って、金額PI値(PI値)の高い商品を配置することがポイントとなる。ただ、良くあることだが、客動線がしっかりしていない場合が往々にしてあり、商品のゾーニング以前の問題として、客動線の見直しが前提となる場合が多い。そもそも客動線がおかしければ、どんなに商品のゾーニングを完璧にしても、全体の売上、利益は上がらず、それ以上にお客様が買いにくい売り場となってしまいかねない。

   客動線がおかしいとどのようなことが起こるかであるが、たとえば、金額PI値1円の商品があった場合、入店客数が1,000人であれば、1,000円の売上げとなるが、ある場所では入店客数の1/2、すなわち、500人しか通らない客動線があった場合、売上げは500円しか上がらないことになる。したがって、良い客動線とは、この客数比率、すなわち、客数PI値が100%の客動線が望ましく、120%、150%、200%の客動線を作れればさらに良いということになる。ちなみに、重点商品の2か所陳列は、客数PI値200%を客動線を変えずに実現する方法であり、顧客が同じ場所を2回通ることと同値、理に適った方法である。まさに、相対性理論の世界であり、客動線に注目することも、商品に注目することも顧客にとっては同じ原理となる。

   ちなみに、食品スーパーマーケットの最高の客動線はワンウェイコントロールであり、ツーウェイ、いわゆる2重動線を作らないレイアウトである。しかも、商品のゾーニングとも絡んでくるが、5分で欲しい商品約10品の買い物ができるレイアウトがベストである。あとは、商品群のゾーンニングであるが、これは、原則、客動線に沿って、金額PI値(数量PI値)の高い順に並べれば良い。また、重点商品は主動線から見えることと、可能な限り、手が届くことが望ましい。

   次に、2点目、商品群のスペース配分であるが、これは、経験と勘の世界が横行しており、理論的にスペース配分を決めるケースは以外に少ない。では、スペース配分に理論がないのかといえば、ある。ポイントは鮮度と欠品、コストである。食品スーパーマーケットで鮮度が劣化する場合のほとんどは商品管理の問題ではなく、スペース配分にある場合が多い。同様に、欠品の問題も担当者の発注、品出しの問題以前に、スペース配分の問題である場合が多い。スペースが広いと、当然、在庫を多く投入しがちとなる。1日に10個売れる商品を3フェースとれば、奥行き3個強で良いところを5個入れてしまえば、15個となって5個余る。逆に1フェースにすると、5個入れて、いっぱいになり、補充を忘れた場合、欠品となる。したがって、この場合は2フェース管理が望ましいといえよう。鮮度劣化せずに、欠品を防ぐバランスを探すことがスペース配分の基本である。

   そして、もう1点、コストであるが、特に、生鮮、日配は減価償却費、光熱水道費、家賃、人件費等のコストがかかっており、一定以上の売上金額、粗利が取れないと費用対効果が合わなくなる。この問題を解くのが売上(粗利)である。したがって、一定以上の売上(粗利)が必要であり、それらを計算して商品群のスペース配分をする必要がある。

   では、これらの鮮度と欠品、コストのバランスをとるスペース配分とはどう考えたら良いかであるが、これが、ベストバランスの尺効率を決めることが大前提となる。結論から言うと、鮮度と欠品には尺数量、コストには尺売上が決め手となる。食品スーパーマーケットで実践的に使われる尺数量と尺売上は、生鮮食品の尺数量30から40個、尺売上8,000円から10,000円ぐらい、日配の尺数量40個から50個、尺売上4,000円から5,000円、グロサリーの尺数量5個から10個、尺売上1,000円から2,000円である。

   この尺効率が決まれば、あとは、金額PI値(数量PI値)×客数/尺売上(尺数量)でスペース配分が理論的に決まり、その後、微調整をすれば良いだけとなる。よく、大型店、中型店、小型店のレイアウトを作る場合があるが、本来は客数1,000人、2,000人、3,000人のレイアウトを作るべきである。ただ、実際の食品スーパーマーケットでは、小型店で3,000人、大型店で2,000人の場合もあり、双方が一致しない場合が多く、このような場合は、小型店でオペレーションに負荷がかかり、大型店では、スペースが余るということが起こる。ただ、このような場合でも、理論的に数字を出してみて、何が問題なのかを理解した上で、商品群のゾーニングをする必要があろう。

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