神戸物産、2010年10月期、中間決算、絶好調!
神戸物産が5/28、2010年10月期の中間決算を公表した。結果は、売上高679.33億円(9.8%)、営業利益 13.06億円(414.0%)、経常利益 13.72億円(518.0%)、当期純利益 5.36億円(342.3%)と、増収増益の好決算となった。売上高、利益ともに大幅な上昇となり、絶好調といえよう。ここ最近、この好調さを活かし、神戸物産は、経営戦略も積極策に打って出ており、6/14にはミネラル麦茶の石垣食品との資本業務提携、5/28には食品スーパーマーケットのオークワとの合弁会社の設立をも公表している。
そこで、この好調な要因を見てみてみたい。まずは、売上高が9.8%増となった要因であるが、神戸物産自身も、「当第2四半期連結累計期間における業務スーパー事業の出店状況は、23店舗の新規出店(退店7店舗)があり、直轄エリア(関東1都3県、関西2府4県)300店舗の展開を達成し、総店舗数は523店舗と着実に販売網を拡大し、・・」とコメントしており、果敢な新規出店が功を奏したといえよう。特に、大市場である関東、関西の直轄エリアへの出店が大きいといえよう。
これに対して、利益の方であるが、神戸物産も「国内企業の多くが前年実績を割り込む中、当社グループは3月及び4月において過去同月での最高利益を達成するなど好調に推移しました。・・」とコメントしているように、利益面はさらに絶好調であったといえよう。そこで、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、94.31%(昨年95.93%)と、1.62ポイント下がっており、大幅に改善されていることがわかる。この厳しいデフレの経営環境の中、原価の上昇を招くことなく、下げられたことが利益貢献には大きかったといえよう。
特に、今期は、「「安価でクオリティーの高い商品」という消費者ニーズへの迅速な対応をすべく、強みである自社グループ内において商品の製造から販売まで手掛ける「製販一体」の仕組により、安全安心かつ利益率の高い商品を扱った「食卓応援&爆弾価格」や「挑戦します!日本最安値」といった施策を展開しており、・・」とのことで、積極的な価格政策を仕掛けている。さらに、「2000年3月に三木店をオープンしてから「業務スーパー」が生誕10周年を迎えた事を記念して2月より「生誕10周年セール」を新たに開催し、・・」と、積極的な拡販に打って出たことも大きいといえよう。結果、売上総利益は、5.69%(昨年4.07%)と上昇した。
一方、経費の方であるが、3.77%(昨年3.66%)と、0.11ポイント上昇しており、経費面では、先に上げた積極策、新規出店と強力な販促等が影響してか、上昇が見られる。結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力、神戸物産の場合は、その他営業収入が0であるので、営業利益は1.92%(昨年0.41%)と、大幅な改善となった。経費面はやや上昇が見られたが、それを大きくカバーする原価の改善が功を奏し、大幅な利益改善につながったといえよう。
ただ、気になるのはキャッシュフローである。今期の営業キャッシュフローは、-6.56億円(昨年10.50億円)とマイナスとなった。本来、利益が好調な状況であるので、営業キャッシュフローはプラスになってもよさそうであるが、結果はマイナスとなった。その要因は、仕入債務が-19.46億円(昨年7.51億円)と反転、昨年の増加から今期は減少に転じたことが大きいといえる。ついで、投資キャッシュフローであるが、-6.06億円(昨年-19.78億円)と、昨年よりは投資、特に、新規出店関連を控えてはいるが、マイナスであり、結果、フリーキャッシュフローは、-12.62億円(昨年-9.28億円)と昨年同様、マイナスとなった。
したがって、借入を起こすか、現金を取り崩すことになるが、今期の財務キャッシュフローは、-15.88億円(昨年17.08億円)と、さらにマイナス、昨年の短期借入-20.00を返済している。結果、現金を取り崩すことになった。本来であれば、すべてのキャッシュフローがマイナスであり、厳しい財務状況となるはずであるが、今期の現金は91.06億円(昨年95.41億円)と、さほど、減少しておらず、財務の健全性は維持できたといえよう。
こう見ると、神戸物産は、フリーキャッシュフローのマイナス、すなわち、営業キャッシュフローのマイナス、投資キャッシュフローのマイナスを、借り入れをせずに、現金でカバーするという財務改善を目指したキャッシュフロー戦略を採用したといえる。結果、有利子負債は36.87億円(昨年49.92億円:総資産の12.52%)と減少しており、自己資本比率も42.2%(昨年38.6%)と改善した。
このように、2010年10月期の神戸物産の中間決算は、食品スーパーマーケット各社が売上げ、利益ともに厳しい経営状況にある中、大幅な増収増益となる好決算となり、改めてデフレの中、業務スーパーのマーチャンダイジングの強さが実証された結果となったといえよう。しかも、この好調さを追い風に、ここへ来て、積極的な経営戦略を発動しており、ミネラル麦茶の石垣食品との資本業務提携、食品スーパーマーケットのオークワとの合弁会社設立などを新たに打ち出しており、攻めの姿勢が鮮明である。当面、このデフレ環境は継続することが予想される中、後半、神戸物産が、さらにどのような積極的な経営戦略を打ち出すのか注目である。
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