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June 11, 2010

サンドラック、2010年3月期決算、増収増益、好調!

   ドラックストアのサンドラックが5/14、2010年3月期の決算を公表した。サンドラックはドラックストアの中でも食品スーパーマーケットと競合する食品、菓子、日配等を積極的に導入した業態開発が得意であり、今期決算の動向が注目されていた。ちょうど、6/6の日経ヴェリタスでも取り上げられているが、結果は、売上高2,841.12億円(22.2%)、営業利益160.20億円(7.9%)、経常利益164.85億円(9.0%)、当期純利益94.40億円(5.9)となり、増収増益の好決算となった。

   ヴェリタスでは、「業界一の効率経営、さらに磨き」というテーマで取り上げられている。そして、それを示すために、ROEと売上高営業利益率のマトリックスを作り、各ドラックストアをプロットしているが、サンドラックはまさに右上、ドラックストアの中でもROE、売上高営業利益率ともに、極めて高い位置にあり、しかも図抜けているのが鮮明である。ここで取り上げられているドラックスストアは、ツルハHD、マツキヨHD、カワチ薬品、スギHD、ここからHDと、錚々たるドラックストアであるが、それらの企業をはるかに上回るROE、売上高営業利益率である。

   そこで、今期のサンドラックの売上高営業利益率の中身を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、76.84%(昨年76.44%)と、0.40ポイント上昇しており、原価の上昇が見られる。結果、売上総利益は23.16%(昨年23.56%)と減少した。一方、経費であるが、17.52%(昨年17.18%)と、0.34ポイント上昇しており、厳しい状況であったことがわかる。サンドラック自身も、特に、経費に関しては、「連結販売費及び一般管理費は、競合激化によるポイント販促の増加による販売費の増加や新規出店に伴う費用の増加などで、前期比24.6%増、・・」とのことで、競合の厳しさが影響したようである。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、5.64%(昨年6.38%)と、昨年より、0.74ポイント減少し、厳しい結果となった。サンドラックはその他営業収入が0のため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、これを見る限りでは率では、減益であるが、高では、売上高が22.2%と大幅に伸びたために、増益となった。 

   サンドラックは今期、特に、積極的なM&Aをかけており、平成21年9月に全株式を取得し子会社化した株式会社星光堂薬局(51店舗)、平成21年12月に、九州・沖縄地区、中国・四国地区でディスカウントストアを135店舗展開するダイレックス株式会社の全株式を取得し子会社化しており、結果、総店舗数が合計767店舗となったことが大きいといえる。すなわち、原価、経費の率では厳しい状況を、M&Aによる大幅な店舗数増=売上高増によりカバーしており、増益を達成したといえる。ただ、それでも、営業利益率5.64%は極めて高い数字であり、先に見たようにドラックストア業界でも頭一つ抜けた数字の高さである。

   そして、効率経営のもうひとつの指標ROE、自己資本利益率であるが、これは、当期純利益を自己資本、すなわち、純資産で割った数字であり、投資家にとって極めて重要な指標のひとつである。この数字が高ければ高いほど、投資家にとっては、配当への原資が増え、配当が高まる可能性が高くなる。ただ、ROEを高めるには、分子の当期純利益を高めることも重要な政策であるが、一方、分母の純資産を低くすれば、高くなるということも事実であり、自然、レバレッジ、すなわち、負債比率を引き上げ、純資産の価値を減らす動きにつながることもあり、注意が必要である。

   ちなみに、サンドラックの今期のROEは14.4%(昨年15.3%)と若干下がっているのが気になるところである。その要因は、当期純利益は増収増益であり、増加しているが、純資産が1,302.53億円(989.97億円)と、M&Aにより、連結対象企業が増加したため重くなったためである。したがって、分子は上昇したが、それ以上に分母がさらに上昇し、経営効率を昨年と比べ、下げたことがやや気になるところである。この14.4%が高いか低いかであるが、ヴェリタスを見ると、サンドラックがダントツの高さであり、きわめて高い数字であるといえる。

   こう見ると、今期のサンドラックは、積極的なM&Aにより、売上高は大幅に増加したが、経営バランスを若干崩しているともいえる。原価、経費の上昇により、マーチャンダイジング力が減少し、高でカバーしており、同様に、当期純利益は上昇したが、総資産が増加したため、純資産が相対的に下がり、自己資本率を下げている。ただ、それでも、ドラックストア業界の中では断トツの高さであり、ヴェリタスの見出しにもあるように、経営効率が極めて高い数字であるといえる。今後の課題は今期連結した子会社をどう軌道に乗せ、全体のバランスをとるかにあるといえる。高では増益とはなったが、率では減益であり、この数字をどう改善するかが当面取り組むべきテーマといえよう。今後、今期決算を踏まえ、サンドラックがどのような経営戦略を打ち出すか、注目である。

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