ヤマザワ、2010年3月期決算、減収増益!
ヤマザワが2010年3月期の決算を5/14に公開した。その結果であるが、売上高896.21億円(-1.7%)、営業利益22.72億円( 1.9%)、経常利益23.07億円(1.7%)、当期純利益12.08億円(53.0%)と減収増益となる決算となった。ヤマザワ自身は、売上高については、「売上面におきましては厳しい経営環境の下、お客様一人当たりの買上点数は増加したものの、商品単価の低下により低迷いたしました。・・」とコメントしており、価格の下落が大きかったとのことである。実際、今期の客数、客単価の数字を見ると、客数は99.5%と健闘しているが、客単価が97.8%と厳しい結果となり、売上げダウンにつながったことがわかる。その客単価の要因がPI値ではなく、平均単価にあったとのことである。ただ、既存店は客数95.8%、客単価97.9%であるので、既存店についてはむしろ客数が下がっており、客数に関しても苦戦したといえよう。
一方、営業利益の方であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.68%(昨年71.75%)と、わずかであるが、原価が下がっており、原価の改善が進んだ。結果、売上総利益は28.32%(昨年28.25%)と、改善した。特に、今期は、「当社が加盟するニチリウグループ(日本流通産業株式会社)のプライベートブランド商品である「くらしモア」の各商品や当社オリジナル商品の拡販を積極的に行なってまいりました。」とのことで、原価の低いPBに注力したことも大きかったといえよう。これに対して、経費の方であるが、25.78%(昨年25.80%)と、こちらも、わずかではあるが、下がっている。これについては、「販売費及び一般管理費につきましては、販売費や光熱費の削減などの取り組みにより減少いたしました。・・」とのことで、経費削減に取り組んだ効果がわずかではあるが、あらわれたといえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は2.54%(昨年2.45%)となり、改善した。今期は、原価、経費双方の改善がなされ、利益に貢献したたといえる。ヤマザワは、その他営業収入の計上が0であるので、マーチャンダイジング力=営業利益となるため、営業利益も改善しており、これが、売上減をカバーし、営業増益となった要因といえる。
これを受けて、ヤマザワのキャッシュフローであるが、営業キャッシュフローは24.84億円(昨年18.53億円)と増加した。最も違いの大きな項目は法人税であり、-9.39億円(昨年-14.08億円)と約5億円弱減少したことが大きい。ついで、投資キャッシュフローであるが、-18.42億円(昨年-23.45億円)と、今期は投資を抑制している。これは、有形固定資産の取得による支出が-22.41億円(昨年-26.80億円)と減少したことが大きく、新店関連への投資を控えたものといえよう。結果、フリーキャッシュフローは、6.42億円(昨年-4.92億円)と、マイナスの逆流から、プラスの順流へと変わった。
一般に、キャッシュフローの流れはフリーキャッシュフローのプラスが大きければ大きいほど、財務改善への原資で財務改善が可能となるが、投資を抑制しがちとなり、成長性が抑制されることになりかねない。その意味ではバランスが重要である。逆にマイナスとなると、財務改善の原資がなくなり、現金を取りくずすか、新たに借入を増やさざるをえなくなり、財務がいずれの場合も悪化する。したがって、キャッシュフローは、投資バランスをとりながら、フリーキャッシュフローをプラスにもってゆくことが理想といえよう。
そして、財務キャッシュフローであるが、-8.09億円(昨年-5.82億円)である。その中身は、借入金の返済-3.30億円(昨年-2.28億円)、配当-2.93億円(昨年-2.93億円)、ファイナンス・リース返済-1.85億円(昨年-0.59億円)であり、バランスの良い財務キャッシュフローである。ただ、若干、フリーキャッシュフローを上回っており、結果、トータルでは、-1.67億円(昨年-10.73億円)と昨年同様、現金を取り崩している。理想的には、フリーキャッシュフローの範囲内で財務キャッシュフローをまかない、現金を増加させていきたいところであるが、今期は昨年ほどではないが、若干現金が減少しており、やや気になるところである。
これを踏まえて自己資本比率であるが、有利子負債の大きな変化はなかったが、手形関連が減少し、負債が削減されたことに加え、純資産が増益により増加したため、ダブルで数字が改善し、65.2%(昨年62.7%)と上昇した。
このように、2010年3月度のヤマザワの決算は、減収増益となり、売上面は減少したが、原価、経費ともに改善し、営業利益をダブルで押し上げ、営業増益となった。その結果、キャッシュフローも改善し、昨年のフリーキャッシュフローがマイナスとなる逆流から、順流となり、キャッシュの流れもよくなり、自己資本比率も上昇した。今後は売上げをいかに改善するか、特に既存店の客数、客単価の同時改善、その中でも、平均単価の下落をいかに改善するかが課題といえよう。来期、ヤマザワがどのようなマーチャンダイジング戦略を打ち出すか注目である。
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