オーケー、2010年3月期決算、2,000億円達成!
オーケーが2010年3月期決算を6/18公表した。結果は、増収増益の好決算となり、各食品スーパーマーケットが苦戦する中、好調な決算となった。その結果であるが、売上高2,158.41億円(12.11%)、営業利益111.16億円(15.14%)、経常利益113.40億円(14.63%)、当期純利益66.07億円(24.02%)となり、いずれも2桁の増収増益である。また、既存店も2.5%増となり、新店5店、板橋大原店・川口末広店・幕張店・南大沢店・浦和原山店の増収効果だけでなく、既存店も増収となっており、理想的な決算となったといえよう。
オーケー自身も、「昨年末から売上の伸びが急に悪くなり第4四半期の単体の売上前年比は既存店99.7%、新店を含めても106.7%と誠に厳しい状況で、言い訳は不景気・単価安・相場安・競争激化・自社競合等です。・・」とコメントしており、さすがに、第4四半期はやや厳しい結果であったようであるが、先に見たように通期、増収増益、既存店2.5%は極めて安定した決算である。そして、これを受けて、「不景気という社会的逆風には真っ向から取り組み、如何にして、これを克服するか、そして順風は自らが創り出して、会社の将来を如何に優位に導くか、正に正念場と覚悟しております。「お客様に損をさせない」という基本方針に基づいて、競合他社に負けないよう頑張って参ります。」とのことである。
そこで、オーケーの営業利益が15.14%と2桁の増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、79.87%(昨年80.05%)と、この厳しい経営環境の中、原価を0.18%下げており、原価の改善が進んだ。結果、売上総利益は20.13%(昨年19.95%)と上昇しており、粗利が改善した。オーケーは、「基本方針の『高品質・Everyday Low Price』を更に徹底して推進、・・」とのスローガンを掲げ、いかに、顧客に損をさせないか、すなわち、いかに安く売るかを徹底している。したがって、売価を上げた訳ではないと思われ、今期は原価が下がったものといえよう。それだけ、仕入れを徹底したのではないかと思われる。
実際、オーケーの売場を見ると、しょうゆはキッコーマン、牛乳は明治乳業がなかったりと、有力メーカーのナショナルブランドがない品揃えが見受けられる。その分、他のメーカーを大量に仕入れ、原価を下げる努力をしているといえよう。特に、今期ははじめて年商が2,000億円を超え、販売力も、より増したことに加え、新店も5店舗、来期は6店舗の新規出店の予定である。したがって、規模が大きくなっただけでなく、伸び率も極めて高い状況であり、メーカーとしても可能な限り、原価交渉に応じているものと思われる。
ただ、オーケーは、この売上高の伸び率12.11%には全く満足していないようで、「既成の概念にとらわれず、権力に屈せず、新たな道を切り開いてゆけば、今まで見たこともない世界が見えてきます。借入無しで年率30%成長の世界です。絶大な顧客満足度が存在する世界です。この世界に到達するために、オーケーは様々な仕組みを創り続けて参りました。まだ手を付けていない仕組み、更に手直しが必要な仕組み等、やるべき課題は山積しています。鮮度が良い、品質が良い、値段も安い、品揃えも良い、接客姿勢も良い、買いやすい、施設も清潔で気持ちが良い、等々、熱烈なオーケーファンを爆発的に増やすためには、絶大な顧客満足度の創造が不可欠です。こんな思いで、目標の『借入無しで年率30%成長達成』の実現を目指しています。」とのことである。
仮に、現在の約2,000億円を130%成長させた場合は、2,600億円、3,380億円、4,394億円、5,712億円、7,425億円、9,653億円となり、7年目1兆2,509億円と年商1兆円突破が見えてくることになる。そして、10年で約3兆円、15年目で約10兆円、20年目で約40兆円と、この時点で、現在のウォルマートの規模においつくことになる。これが130%にこだわるオーケーの真意であろう。
では、経費はどうであろうか。14.98%(昨年14.93%)と、わずか、0.05%であるが、上昇たが、依然として、15%を下回っており、恐らく、食品スーパーマーケット決算公開企業約50社の中ではNo.1の低い経費比率であろう。これがオーケーの最大の武器であるといえ、Everyday Low Priceを推進できる原動力であるといえる。オーケーはその他営業収入が0であるので、結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力、オーケーの場合は=営業利益は5.15%(昨年5.02%)となり、原価改善が功を奏し、極めて高い営業利益率を確保した。
このように、オーケーの2010年3月期の決算は大幅な増収増益、特に、利益はどの段階でも高い収益率を確保し、好決算となった。ただ、さすがに、第4四半期はやや厳しいものがあったとのことであるが、原価、経費比率ともに、抜群の低さであり、収益性は極めて高い経営状況を維持している。また、いずれ、別途、財務面、キャッシュフロー等については取り上げたいと思うが、財務面の改善も見られ、特に、有利子負債の削減が急激に進んでおり、自己資本比率も改善している。オーケーがこの数年、急激に変化というよりも、進化しており、今後、どこまでこの経営改革が進むのか注目である。
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