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June 01, 2010

ユニバース、2010年4月期決算、増収増益!

   ユニバースが5/25、2010年4月期の決算を公表した。結果は、売上高982.11億円(2.8%)、営業利益34.18億円(0.9%)、経常利益35.32億円(1.5%)、当期純利益19.29億円(2.8%)と増収増益の決算となった。ただ、ユニバース自身は、「本格的な景気回復には至らず、デフレが緩やかに進行するとともに、依然として厳しい雇用・所得環境が続くなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。」とコメントしており、消費を取り巻く環境は厳しさを増している状況といえよう。

   そこで、今期のユニバースの売上の状況であるが、全体は102.8%と堅調な数字となったが、既存店は96.7%と昨対を割り込み、苦戦している。その要因は、客数が97.1%、客単価が99.6%と、客数が下がったことが要因である。また、客単価についても、PI値は102.4%と堅調な数字であったが、平均単価が97.3%と下がっており、価格競争が厳しかったものといえよう。ユニバースも、「個人消費の低迷を受けて既存店ベースの客数が前期比97.1%と減少したことに加え、単価が一段階下の商品への志向が強まったことから、・・」とコメントしており、客数と単価の減少が既存店の売上げに響いたとのことである。

   ちなみに、ユニバースの全47店舗の平均的な店舗の状況であるが、店舗面積641坪、売上高20.52億円/年(坪売上320万円)、客数2,600人/日、客単価2,162円、PI値1,190%(11.9点/レシート当たり)、平均単価182円である。ごく平均的な日本の食品スーパーマーケットと比べ、一回りスケールが大きく、このタイプを47店舗、北東北、青森30店舗、岩手17店へ展開しており、存在感のある数字である。

   では、利益の方はどのような結果であったかを営業利益の中身を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、74.57%(昨年74.47%)と0.1ポイントであるが、わずかな上昇が見られる。今期は、先に見たように平均単価が下がっており、厳しい価格競争であった中では原価を大きく下げることなく、ほぼ昨年の数字を維持した。結果、売上総利益は25.43%(昨年25.53%)となった。一方、経費の方であるが、21.95%(21.99%)と、0.04ポイント下がっており、経費もほぼ昨年の数字を維持している。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、3.48%(昨年3.54%)とわずかなマイナスに留まった。ユニバースは、その他営業週収入が0であるので、マーチャンダイジング力=営業利益となり、これに、売上げの102.8%があいまって、結果は増益となった。

   この数字を見る限り、全体では増収増益とはなったが、既存店が客数、平均単価のダウンにより、売上げが伸び悩み、利益面では、原価の若干の上昇が見られ、やや苦戦気味の数字であるといえよう。北東北No.1のユニバースでも、このデフレによる消費環境の厳しさが、経営数値に反映されたといえ、それだけ、現在、食品スーパーマーケット業界は厳しい経営環境にあるといえよう。

   では、キャッシュフローはどのような状況であったかを見てみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、36.01億円(昨年31.95億円)と増加しており、キャッシュが増加している。これは、増益になったことから当期純利益が増加したことに加え、新店も堅調であり、減価償却費も増加したことが大きいといえる。次に、投資活動によるキャッシュフローであるが、-28.86億円(昨年-25.70億円)と昨年と比べ増加している。これは、有形固定資産の取得による支出が-29.11億円(昨年-13.77億円)と大きく増加したためであり、今期は積極的な新店への投資を行っている。結果、合計のフリーキャッシュフローは7.15億円(昨年6.25億円)とプラスとなり、しかも、昨年よりも増加した。

   そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、-0.56億円(昨年-22.67億円)と、昨年とは異なり、今期は大きな動きがなかった。若干気になるのは、昨年は長期借入金を-19.86億円返済しているのに対し、今期は18.00億円借入、-15.29億円返済し、差し引き2.71億円増加していることである。結果、トータルのキャッシュフローは6.58億円(昨年-16.49億円)とプラスになり、現金が54.75億円から61.33億円へと増加したが、有利子負債トータルは35.42億円(昨年32.71億円)へと若干の増加が見られる。総資産は381.17億円であるので、総資産対比では9.29%と財務を圧迫するほどではないが、フリーキャッシュフロー7.15億円の大半を内部留保に振り向けた形であり、今期は有利子負債の削減よりも、現金の確保に重点を置いたキャッシュフローであるといえる。結果、キャッシュ効率、投下資本(純資産+有利子負債)当たりの営業キャッシュフローは13.18%(昨年12.56%)と上昇しており、キャッシュの流れは昨年よりも改善しているといえよう。

   このようにユニバースの2010年4月期の決算は増収増益とはなったが、消費環境は依然としてデフレにより、厳しい状況にあり、既存店は昨対を割り込み、客数、平均単価のダウンが見られる。ただ、財務は安定しており、キャッシュフローも順流、現金も増加し、キャッシュ効率も上昇している。今後、この安定した財務基盤をもとに、北東北において、新規出店を行い、どこまでドミナントを固められるかが、課題といえよう。新年度、ユニバースがどのような出店戦略を打ち出すか注目である。

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