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June 03, 2010

家計調査データ、2010年4月度、食品97.9%!

   総務省統計局が5/28、2010年4月度の家計調査データを公表した。デフレが進行する中、結果が気になるところであるが、外食を除く食品は97.9%と厳しい結果となった。全体も97.9%という数字であり、消費は伸び悩んでおり、依然として、デフレの影響が大きいといえよう。ちなみに、消費者物価指数(CPI)でも高校授業料の無償化が影響を与えたが、家計調査データでも、21.4%の減少となり、この分の消費が大きく減少している。特に、私立高校よりも、国公立高校の方が減少しており、4月度は私立、国公立で大きな差が出ている。

   全体の大分類を見てみると、食品97.9%、外食100.1%、住居112.0%、光熱・水道98.9%、家具・家事用品97.5%、被服及び履物86.2%、保健医療110.4%、交通・通信100.3%、教育86.3%、教養娯楽95.3%、諸雑費98.6%という状況である。住居、保健医療が突出した伸びであり、被服及び履物が厳しい数字である。また、教育は、先に見たように高校授業料無償化が影響を与えており、大きく下がっている。ただ、教育の中で、補習教育は107.0%、専修学校は150.4%と伸びており、教育費のシフトが起こっているともいえよう。

   では、外食を除く食品の状況はどうかであるが、伸びた部門は、野菜・海藻101.5%、調理食品(惣菜)100.7%のみであり、しかも微増である。それ以外の部門は、穀類95.7%、魚介類97.2%、肉類96.3%、乳卵類97.8%、果物95.8%、油脂・調味料96.3%、菓子類97.6%、飲料96.4%、酒類96.0%という状況であり、まさに、デフレの影響が鮮明であるといえよう。野菜・海藻に関しては、4月度は天候不順が続き、入荷が不安定で相場が上昇したことが大きいといえ、これは、消費者物価指数(CPI)でも、明らかな物価上昇が見られる。

   実際、野菜の消費が伸びた項目であるが、たまねぎ12.23円(129.2%)、消費世帯のみ14.81円(125.5%)、消費世帯の割合82.6%(103.0%)、ねぎ7.30(123.0%)、消費世帯のみ11.12円(120.7%)、消費世帯の割合65.6%(101.9%)、だいこん5.07円(112.6%)、消費世帯のみ8.60円(111.6%)、消費世帯の割合58.9%(100.9%)、かぼちゃ3.93円(115.7%)、消費世帯のみ8.50円(113.3%)、消費世帯の割合46.3%(102.1%)など、消費世帯の割合は増えず、消費世帯のみの消費が増加しているのが多いのが特徴である。したがって、数量よりも、価格上昇による消費世帯のみの消費が大きく増加したと推測され、相場変動による価格の上昇が消費を押し上げたといえよう。

   野菜で伸びた項目は大部分がこのような状況であるが、消費世帯を増やして消費を押し上げた項目もある。はくさい2.77円(120.3%)、消費世帯のみ7.52円(97.2%)、消費世帯の割合36.8%(123.8%)であり、消費世帯のみの消費は増加しておらず、消費世帯が大きく増加し、消費を押し上げていることがわかる。ただ、このような野菜は極めて少なく、大部分は消費世帯のみの消費が大きく増加した項目である。

   家計調査データは、このように消費を2つに分けて見ることもでき、消費世帯のみの消費が増えたのか、それとも、消費世帯の割合が増加したのかが判断でき、消費実態をより深く落とすこともできる。ちなみに、被服及び履物であるが、377.77円(86.2%)、消費世帯のみ455.14円(88.7%)、消費世帯の割合83.0%(97.2%)という状況であり、衣料品を購入する世帯が減少したのではなく、購入世帯のみの消費が減少したことが原因といえ、野菜と反対、デフレによる価格の下落が影響を与えているといえよう。

   では、野菜以外で、伸びた項目と下がった項目の典型的なものを見てみたい。まず、伸びた項目であるが、あさり5.43円(111.6%)、かき(貝)0.50円(115.4%)、魚介のつくだ煮3.07円(116.5%)、豆類1.87円(160.0%)、こんぶ2.57円(111.6%)、みかん1.87円(136.6%)、オレンジ3.93円(112.4%)、チョコレート菓子3.37円(116.1%)、ワイン6.73円(110.4%)、発泡酒・ビール風アルコール飲料23.07円(128.9%)等である。

   逆に、消費が伸び悩んだ項目は、あじ3.87円(85.3%)、いか6.53円(88.7%)、魚介の漬物7.50円(88.2%)、粉ミルク1.70円(75.0%)、れんこん1.93円(89.2%)、さやまめ5.63円(86.7%)、きゅうり9.70円(89.3%)、なす4.43円(82.6%)、干ししいたけ1.37円(87.2%)、梅干し2.97円(82.4%)、グレープフルーツ2.73円(78.1%)、ぶどう0.43円(86.7%)、すいか0.63円(48.7%)、メロン1.03円(64.6%)、バナナ14.03円(77.7%)、食用油7.57円(83.2%)、まんじゅう4.63円(84.2%)、アイスクリーム・シャーベット15.47円(81.5%)というところであり、以上が90%を割り込んだ項目である。

   このように、2010年4月度の家計調査データを見る限り、デフレが明らかに消費に影響を与えており、こと食品においては深刻な状況といえよう。ここ数日で公表された、この4月度の消費者物価指数、食品スーパーマーケットの売上速報を見ても芳しい数字は見られず、厳しい数字となっている状況である。問題は5月、そして、現在の6月に入り、今後の動向であるが、消費者物価指数の推移を見る限り、デフレは継続する可能性が高いといえよう。したがって、食品の消費は当面、少なくとも前期は厳しい数字が予想される。食品スーパーマーケット業界としては、デフレを前提にマーチャンダイジング戦略を組む必要があるといえ、たまたま野菜では価格が引き上がった形であるが、結果、消費額は伸びている。デフレの時は、このように数量よりも価格にこだわった、特に、付加価値の高い商品の選定、開発が最大のマーチャンダイジングのテーマとなろう。 

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