コンビニ売上速報、2010年5月、-1.1%!
社団法人 日本フランチャイズチェーン協会が6/21、2010年5月期の売上速報を公表した。結果は全体が-1.1%、既存店が-3.2%となり、全体は11ケ月連続、既存店は12ケ月連続のマイナスとなった。このコンビニの売上速報は、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの10社の集計であり、ほぼ、日本のコンビニ全体を網羅しており、信頼度の高い数字といえよう。
協会自身も、「上・中旬は晴れの日が多く、下旬は曇りや雨の日が多かった。北日本から西日本にかけては強い寒気が南下し気温は平年を大きく下回ったものの、天候による目立った影響は無かった。・・」とコメントしており、天気等の影響ではなく、コンビニを取りまく経済環境にあると示唆しているといえる。
そこで、さらに、売上げダウンの要因を客数、客単価で見てみたい。まずは客数であるが、全体は117,362.9万人となり、昨年対比では1.1%増となった。これは店舗数が42,879店舗(1店舗当たりに換算すると882人/日)となり、昨年と比べ1.7%増加したことが大きい。ちなみに、既存店の客数は109,519.6万人であり、昨年対比では、-1.0%と厳しい状況となった。したがって、新店効果により全体の客数は1.1%と増加したが、既存店は-1.0%と依然として、厳しい客数であるといえよう。
一方、客単価の方であるが、全体は564.2円となり、昨年対比は-2.2%となった。既存店も558.2円となり、昨年対比は-2.3%と、さらに厳しい数字であり、客数よりも客単価の落ち込みが大きかったといえよう。しかも、昨年対比でのダウンは全体、既存店ともに18ケ月連続のマイナスとのことで、深刻な状況であるといえよう。
一般に小売業の売上高はこのように客数と客単価で決まり、客数は商圏により、客単価はマーチャンダイジングにより決まる要素が大きい。今回のコンビニの売上速報を見る限り、全体、既存店とにも売上高ダウンの影響は、客単価の影響が大きいといえ、したがって、マーチャンダイジングの問題が18ケ月間という中長期に渡って起こっているといえよう。
では、商品別に見た場合、落ち込みの大きいところはどこであろうか。今回の統計では、商品を4つの分類に分けて集計しているが、それを見ると、最も売上げが落ち込んだところは、売上構成比が29.9%ある加工食品であり、-2.7%であった。ちなみに、加工食品とは、菓子類(生菓子を除く)、ソフトドリンク(乳飲料を除く)、アルコール飲料(日本酒、ウイスキー、ワイン等)、調味料(味噌、しょう油、うま味調味料、ソース等)、嗜好品(コーヒー、お茶等)、食塩、砂糖、食用油、米穀、乾物、各種の缶・瓶詰類、冷凍食品、アイスクリーム、レトルト食品、インスタント食品、焼きのり等である。なお、たばこは非食品に入っているで、いわゆるtaspoの反動ではないことがわかる。ここ最近ではデフレ環境の影響であるともいえるが、これを含め、コンビニ同士、食品スーパーマーケット、ドラックストア等の競争環境の厳しさが反映されたものといえよう。
次に落ち込みの大きかった部門は売上構成比34.1%の日配食品であり、-0.9%であった。この日配食品は、米飯類(寿司、弁当、おにぎり等)、パン、 調理パン、惣菜、漬物、野菜、青果、水物(豆腐等)、調理麺、卵、加工肉(ハム、ウインナー、ベーコン等)、牛乳、乳飲料、乳製品(バター、チーズ等)、練物(ちくわ、かまぼこ等)、生菓子(ケーキなどの和洋菓子)、サラダ、デザート類(プリン、ゼリー、ヨーグルト等)等であり、ここがまさにコンビニの中核商品である。
これ以外では売上構成比31.5%の非食品が-0.3%と若干売上が下がっているが、ほぼ横ばいといえよう。具体的な商品としては、雑誌、書籍、新聞、衣料品、袋物類、文房具、ブラシ、玩具、雑貨、たばこ、ペットフード、乾電池、テープ、CD、電球・蛍光灯、電卓、燃料、人形、サングラス、履物、園芸用品、ゲームソフト、花火、洗剤、化粧品、医薬品、医薬部外品栄養ドリンク、陶磁器・ガラス器、金物、紙製品、フィルム、切手、はがき、収入印紙、装身具等である。
そして、もうひとつ、サービスであるが、売上構成品はわずか4.5%であるが、この部門は唯一伸びている部門であり、2.0%の上昇である。ちなみに、コンビニのサービスとは、コピー、ファクシミリ、宅配便、商品券、ギフト券、乗車券、各種チケット、テレフォンカード、宝くじ、D.P.E、レンタル、航空券、宿泊券、クリーニング等である。
このように、2010年5月期のコンビニの売上速報は依然として厳しい状況であり、まるまる1年マイナスが続いており、現在、コンビニは極めて深刻な状況にあるといえよう。特に、客数よりも客単価の落ち込み、商品では加工食品、日配の落ち込みが大きいといえ、いずれもコンビニの中核商品であるだけに、厳しい結果であるといえよう。デフレ環境は当面続くものといえ、コンビニの数字がいつ上向くか予想がたたない状況であり、しばらくは厳しい局面が続くものといえよう。
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