マミーマート、2010年9月期中間決算、減収営業増益!
マミーマートが2010年9月期の中間決算を5/14、公表した。食品スーパーマーケットで9月期の決算は珍しく、上場企業ではPLANTとマルキョウの2社であり、マミーマートを入れ3社のみである。その結果であるが、売上高411.97億円(-0.9%)、営業利益8.59億円(3.1%)、経常利益 10.25億円(-1.2%)、当期純利益4.97億円(-29.0%)となり、減収、営業利益は増益となったが、経常、当期純利益は減益となる厳しい決算となった。特に、今期は、「減損会計について、経営の健全性の確保を図るために実施いたしました。・・」とのことで、当期純利益に影響が出たといえる。
マミーマート自身は、この中間決算について、「スーパーマーケット業界におきましては、このような厳しい経済情勢を受けた消費者の生活防衛を意識した節約志向が一層強まり、デフレ色が鮮明になる市場環境下で、低価格化の販売競争が激しさを増しており、さらに天候不順の影響を受けた青果物の高騰など収益環境は大変厳しいものとなりました。」とコメントしており、経営を取り巻く環境が厳しかったとのことである。
では、このような厳しい経営環境の中で、営業利益が増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、75.67%(昨年75.68%)となり、0.01ポイントとわずかではあるが、改善している。結果、売上総利益は24.33%(昨年24.32%)と、上昇した。特に、今期は、「お客様にとってご満足いただける品揃えと、よりリーズナブルな価格での商品展開、エブリデーロープライスを実現し、・・」とのことで、価格政策を強化しているが、結果、原価に影響を与えることなく、昨年とほぼ同じ原価率を維持した。
これに対して経費であるが、23.73%(昨年23.74%)と、こちらも、0.01ポイント改善しており、わずかではあるが、経費の改善も進んだ。結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、差し引き、0.60%(昨年0.58%)と、改善した。ただ、0.60%と、プラスにはなったが、まだまだ、わずかであり、今後、いかに原価、経費を改善して、マーチャンダイジング力を引き上げてゆくことが課題といえよう。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.49%(昨年1.43%)のり、結果、営業利益は2.09%(昨年2.01%)と増益となった。こう見ると、原価、経費、その他営業収入と、トリプルで営業利益を押し上げており、この中間決算は、厳しい経営環境の中、理想的な利益改善の方向で経営が進んだといえよう。
営業面がこのようにプラスに働いた要因のひとつとして、この中間期にマミーマートが意識して取り組んだ課題のひとつに、PI値No.1部門の青果のマーチャンダイジング強化をあげることができよう。マミーマートは、「お客様のご来店や購買頻度の促進及び競合各社の低価格強化への対応として、前期に継続して高頻度品である青果の市場当日仕入を推進いたしました。青果PI値3,000(お客様1,000人当りの買上点数)を目標数値として市場当日仕入の構成を上げ、お客様のご来店動機の柱として価格訴求を行いました。・・」とのことである。
青果は日配と並び、食品スーパーマーケットの根幹商品であり、しかも、PI値が圧倒的に高い部門である。通常、青果のPI値は200%(2,000)から250%(2,500)であり、今回、マミーマートが目標とした3,000(300%)は青果専門店に迫る数字でもあり、極めて高い目標数字といえる。したがって、この目標値を目指し、青果を強化したことはまさに、強い青果売場の構築、ひいては、店舗全体のPI値アップにつながり、売上改善だけでなく、利益改善にもつながる効果が期待できる。この中間決算の数字を見る限りでは、営業利益に強く改善効果が表れているといえ、今後、売上高へも波及してゆくのではないかと思われる。
一方、財務面であるが、自己資本比率が49.8%(昨年52.7%)と、若干下がったところが気になるところである。これは、純資産は171.57億円(昨年2.4%:167.51億円)と増加しているが、総資産が344.01億円(昨年8.3%:317.45億円)とそれ以上に増加したためである。その要因は、投資キャッシュフローを見ると、有形固定資産の取得による支出が-30.54億円(昨年-19.99億円)と増加した一方、財務キャッシュフローでは短期借入金が26.91億円(昨年 5.36億円)と大きく増加し、結果、有利子負債が61.05億円(昨年36.53億円)となり、総資産の17.75%(昨年11.51%)となり、資産の増加を負債により補ったことが大きいといえる。
このように、この中間期におけるマミーマートの決算結果は減収営業増益となるやや厳しい結果となったが、原価、経費、その他営業収入と、トリプルで営業利益の改善が進んでおり、営業面に関しては改善が見られる。これは青果を最強化部門と位置づけ、PI値3,000(300%)を目標に取り組んでいる成果 ともいえよう。今後、さらに、売上面に波及してくれば、増収の確保も可能といえる。やや気になるのは、新店への投資を有利子負債で補ったため、自己資本比率が下がった点であるが、マーチャンダイジング力が改善してくれば、自己資本の範囲内でも投資は十分に可能になるといえ、後半に向けての課題といえよう。後半も経営環境は引き続き、厳しいと思われるが、現在続けている青果の強化が売上改善、特に、増収に結び付くかどうか注目である。
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