マックスバリュ中部、2011年1月、第1四半期、減収増益!
いよいよ、食品スーパーマーケット業界の注目の第1四半期決算の公表が始まった。先陣を切るのは、1月期決算企業であり、6/9、マックスバリュ中部が2011年1月期の第1四半期決算を公表した。結果は、営業収益277.17億円(-1.1%)、営業利益3.41億円(388.3%)、経常利益4.31億円(381.0%)、当期純利益0.66億円(昨年は赤字)となり、減収とはなったが、昨年の厳しかった反動もあり、大幅な増益となった。特に、マックスバリュ中部自身も、「既存店売上高は、前年同期比98.7%(同客数102.7%、同客単価96.2%)となり、売上高荒利益率は24.8%(前年同期間24.5%)と、概ね計画通りとなりました。」とコメントしており、厳しい経営環境の中、ほぼ計画通りの数字に落ち着いたようである。
そこで、営業利益が大幅に上昇した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、75.23%(昨年75.54%)と0.21ポイント下がっており、原価の改善が進んだ。これに関して、マックスバリュ中部は、「イオンのグループ力を活かした商品調達やトップバリュ商品等の更なる販売拡大を図り、競争に打ち勝つ価格の実現に取り組んでおります。・・」とコメントしており、トップバリュの原価改善の寄与が大きかったのではないかと思われる。結果、売上総利益は24.77%(昨年24.46%)となった。
一方、経費の方であるが、26.23%(昨年26.88%)と、こちらも、0.65ポイント減少しており、経費の削減も進んだ。これに関しても、「低コスト構造の実現に向け、既存店舗の活性化により品揃えや販売方法、店舗オペーレーションの単純化・標準化及び設備の改善、イオングループITの導入等を進め、連結子会社デリカ食品株式会社と連携しながら業務の効率化と生産性の向上を図っております。・・」とのことで、経費も大きく改善することができた。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-1.46%(昨年-2.42%)と改善したが、依然として、マイナスであり、今後、もう一段と原価、経費の削減が必要といえよう。それでも、原価、経費、ダブルでの利益改善が進んだことにより、昨年と比べ、約1.0%と大きく改善したことは大きいといえよう。これに、その他営業収入として、不動産収入、物流収入等が乗り、営業利益となるが、その、その他営業収入は2.72%(昨年2.68%)と、こちらも改善し、結果、営業利益は、1.26%(昨年0.26%)と、大きく改善した。ただ、まだ、1%台であるといえ、今後、今回のトリプルでの利益改善をどこまで推し進められるかが、次の中間決算までの当面の課題といえよう。
この好調な決算を受けて、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローは2.69億円(昨年3.04億円)と、減少した。これは、当期純利益は昨年の0.66億円から2.64億円と大幅に上昇したが、たな卸資産等の増加があり、相殺されたためである。ついで、投資キャッシュフローであるが、-0.28億円(昨年-15.33億円)と、今期は大幅に削減し、投資を思い切り控えていることがわかる。その要因は新店関連への投資を昨年の-13.43億円から今期は-0.66億円と、控えたことによる。したがって、第1四半期時点ではキャッシュを投資に回すことなく、財務改善に振り向ける決断をしたといえよう。結果、フリーキャッシュフローは2.41億円(昨年-12.29億円)と、昨年の逆流から順流のキャッシュフローとなった。
そして、財務キャッシュフローであるが、0.96億円(昨年2.91億円)と、プラスとなった。これは、残念ながら、フリーキャッシュフローの範囲内で財務キャッシュフローを賄ったわけではなく、短期借入金を新たに5.00億円調達したためである。では、何が財務キャッシュフローを増大させたかであるが、配当金が-2.38億円(昨年-2.18億円)と最も大きく、株主への配当に投資を控え、借入をしてまで、最優先に実施したためである。ついで、長期借入金の返済-1.64億円(昨年-0.89億円)であり、この2項目が財務キャッシュフローの支出の大半を占めている。
結果、トータル3.37億円(昨年-9.37億円)となり、キャッシュは増加したが、有利子負債の増加が見られ、自己資本比率は33.5%(昨年33.6%)と依然として、厳しい状況にあり、財務の改善にまで、今期の好調な決算が及ばなかったといえる。それにしても、この第1四半期の利益改善がキャッシュフロー上では財務改善に反映されず、投資を控え、配当に最優先でキャッシュを回さざるをえず、マックスバリュ中部としては苦渋の経営決断であったといえよう。
このように、この第1四半期のマックスバリュ中部の決算は減収増益、しかも、昨年が厳しい決算結果であったこともあり、大幅な増益となった。特に、原価、経費、そして、その他営業収入とトリプルでの利益改善が図れており、理想的な利益改善になったといえよう。ただ、その利益改善が財務改善につながっているとはいえず、依然、自己資本比率は33.5%と、約70%を負債に依存する厳しい構造であり、今後、いかに財務の改善につなげていけるかが課題といえよう。次の中間決算、マックスバリュ中部がどこまで財務改善に踏み込むか、注目である。
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