マックスバリュ北海道、2011年1月度、厳しい決算!
マックバリュー北海道が6/11、2011年1月期の決算を公表した。結果は、営業収益182.69億円(-1.8%)、営業利益-3.44億円、経常利益-3.45億円、当期純利益-3.51億円となり、昨年同様、すべての段階で赤字となる極めて厳しい決算となった。自己資本比率も24.2%(昨年23.2%)と、約75%を負債に依存する構造であり、財務的にも厳しい局面が続いているといえよう。マックスバリュ北海道自身も、「当社の属するスーパーマーケット業界では、お客さまの節約志向は引き続き高く、販売単価は下落しており、業種・業態を越えた競争が進行しております。・・」との認識であり、極めて厳しい経営環境であったといえよう。
そこで、マックスバリュ北海道が赤字決算となった要因、特に、営業利益について、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、77.18%(昨年76.84%)となり、0.34ポイント上昇しており、原価の上昇がみられる。先のコメントにもあったように、販売単価の下落が大きかったといえよう。これについて、マックスバリュ北海道も、「一点単価が低下傾向にあるものの、お客さま一人当たりの買上点数の改善が進み、・・」とコメントしており、価格の下落が進んでいるとのことである。したがって、これが原価の上昇要因の大きな一因になっているといえよう。結果、売上総利益は、22.82%(昨年23.16%)となり、粗利が減少した。
一方、経費の方であるが、26.68%(昨年27.12%)となり、経費は0.44ポイント改善している。ただ、粗利よりもはるかに高い経費であり、完全に逆ザヤとなっている。したがって、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-3.86%(昨年-3.97%)となり、昨年よりは、経費が下がった分、上昇しているが、依然として、マイナス幅が大きく、厳しい営業構造であるといえよう。そして、これに、物流収入、不動産収入等のその他営業利益がのるが、その数字は1.94%(昨年1.93%)であり、結果、営業利益は-1.92%(昨年-2.05%)と、気持ち改善してはいるが、マイナスであり、しかも、約2.00%のマイナスであり、厳しい結果となった。
これを受けて、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローは-10.36億円(昨年-20.23億円)と、数字は改善しているとはいえ、依然として、マイナスであり、厳しいキャッシュである。本来、営業キャッシュフローは減価償却費も大きく、マイナスになることは少ないが、マックスバリュ北海道は、特に、昨年も今年も仕入れ債務の大きな減少が起こっている。その金額は-14.77億円(昨年-22.20億円)と巨額な数字となり、これが営業キャッシュフローを大きく下げている要因といえよう。
そして、投資キャッシュフローであるが、1.92億円(昨年-3.26億円)と正反対の結果となった。本来、投資キャッシュフローは文字通り、投資へのキャッシュフロー、食品スーパーマーケットであれば、新店開発への投資がほとんどであり、マイナスになるのが一般的である。そこで、今期、投資キャッシュフローがなぜプラスになったかであるが、昨年もそうであったが、建設協力金を2.00億円(昨年1.86億円)回収しており、これが財務に大きく貢献したといえよう。結果、フリーキャッシュフローは-8.44億円(昨年-23.49億円)となり、昨年よりはマイナス幅が大きく削減されたが、依然として、マイナスが大きいといえる。
したがって、財務キャッシュフローで、この赤字分をどうするかが課題となるが、今期は-7.25億円(昨年16.47億円)と明暗が分かれた。その中身を見ると、今期は長期借入金の返済-7.25億円のみであり、これ以外の項目が0であることが大きい。昨年も同様に長期借入金の返済を-7.19億円行っているが、それ以上に、長短借入金を24.02億円借り入れており、その差が大きかったといえる。また、昨年は配当を0.35億円実施しているが、今年はわずか7千円であり、配当の原資が獲得できなかったことが大きいといえよう。結果、トータルキャッシュフローは-15.69億円(昨年-7.02億円となり、昨年もマイナスではあったが、今年は、さらに、マイナス幅が広がり、結果、昨年もそうだが、今年も現金を大きく取り崩すこととなり、キャッシュが大きく減少している。
このように、2011年1月期のマックスバリュ北海道の決算は極めて厳しい結果となり、財務状況も同様に厳しい状況になったといえる。特に、営業段階では経費比率は若干改善したが、原価の改善が見られず、結果、厳しい経営状況に置かれたといえよう。食品スーパーマーケットの利益はまずは経費比率をいかに低く抑えられるかにあるが、残念ながらマックスバリュ北海道は昨年よりは改善したとはいえ、26.68%と高めの経費比率である。したがって、この数字を前提に利益を出してゆくにはかなり、付加価値の高い商品戦略が必要となる。しかも、マックスバリュ北海道のある北海道商圏はアークスがプライスリーダーとなっており、ディスカウント路線が鮮明である。
今後、マックスバリュ北海道がこの厳しい競争環境の中、利益を出してゆくには、この経費比率の改善が避けられない経営課題といえよう。次の中間決算に向け、そして、今期、マックスバリュ北海道がどこまで経費比率を引き下げ、利益改善を図れるか、まさに正念場といえよう。
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