アオキスーパー、2011年2月、第1四半期、減収減益!
アオキスーパーが2011年2月期、第1四半期決算を6/25に公開した。結果は営業収益211.80億円(-5.5%)、営業利益 2.06億円(-63.8%)、経常利益 2.36億円(-59.4%)、当期純利益0.84億円(-73.4%)となり、減収減益、特に、利益はいずれの段階でも大きくマイナスとなる厳しい決算となった。アオキスーパー自身も、「低価格販売の実施や、店舗の改装を行い販売促進に努めましたが、物価下落や個人消費の低迷等により厳しい経営環境となり、・・」と、コメントしており、物価下落、個人消費の低迷が予想以上であったとのことである。
そこで、ここでは営業利益が-63.8%となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、84.54%(昨年84.07%)となり、0.47ポイントと大きく上昇している。結果、売上総利益は15.46%(昨年15.93%)と下がった。それにしても、売上総利益が15%台とはすごい数字であり、食品スーパーマーケットとしては、限界に近い数字であるといえよう。これだけ、売上総利益、いわゆる、粗利が低いと、利益を出すには、それ以上の経費比率を目指すか、別途、利益を確保する必要がある。アオキスーパーは後者を選択しており、経費を引き下げ、利益を出すのではなく、経費は利益とほぼトントンにし、別途利益を確保し、営業利益を引き上げてゆく戦略を採用している。
では、アオキスーパーの経費はどのくらいかを見てみたい。17.74%(昨年16.54%)であり、残念ながら、今期は1.20ポイントと原価以上に上昇した。したがって、原価、経費双方から利益を圧迫したことになり、今期はかなり厳しい収益構造になったといえよう。それにしても、原価と経費が完全に逆ザヤとなり、しかも、その差が今期は大きく開いており、極めて厳しい収益構造であるがことがわかる。経費比率17.74%も十分に低い数字であるが、粗利が15.46%と極限まで下げているため、経費比率の低さを利益に直結できていない状況であり、今後、この経費比率の低さをどう収益改善につなげるかが最大の経営課題となろう。
結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-2.29%(昨年-0.60%)となり、昨年もマイナスではあったが、今期は、先に見たように、原価、経費双方が上昇したため、そのマイナス幅が大きく広がったといえよう。したがって、このマイナスをプラスにもってゆくには、その他の営業収入が鍵を握っているといえ、これがアオキスーパーにとっては、利益の源泉といえる。その数字であるが、3.29%(昨年3.23%)と、かなり高い数字であり、しかも、昨年の数字を上回っており、まさに、アオキスーパーの利益を大きく底上げしているといえよう。
では、このその他の営業収入とは何かであるが、この第1四半期決算では、その中身は公表されていない。そこで、前期の本決算短信を見てみると、その他の営業収入は大きく2つに分かれている。ひとつは不動産賃貸収入であり、いわゆるテナント料である。そして、もうひとつは、物流収入等のその他営業収入である。その金額と売上対比であるが、不動産賃貸収入8.73億円(1.00%)、その他の収入19.71億円(2.27%)であり、その他の収入がアオキスーパーの利益の屋台骨を支えているといえる。さらに、その中身を見てみると、残念ながら、公開していないが、一般的には物流収入が大半を占めるといえる。アオキスーパーも例外ではなく、物流収入の占める割合は高いと推測できよう。
したがって、営業利益は1.00%(昨年2.63%)となり、大幅な利益のダウンになったといえる。こう見ると、アオキスーパーの今期の営業利益が大幅に減少した要因は、原価の上昇に加え、経費の上昇がそれ以上に大きく、ダブルで収益を大きく圧迫した形であり、特に、経費比率の上昇が大きかったといえよう。ただ、それでも経費比率は17.74%であり、通常の食品スーパーマーケットとしては十分に低い数字である。
アオキスーパーとしては、今後利益を確保してゆくには、もちろん、この経費比率を昨年並みにもどすことも重要な戦略であるが、その他の要素、特に、原価の引き下げ、できれば、経費比率、17.74%以下まで下られれば収益が大きく改善してゆくことになろう。ただ、それはアオキスーパーにとっては企業戦略の転換ともいえ、価格訴求型食品スーパーマーケットから、付加価値追求型食品スーパーマーケットへの転換となり、容易にかえることは難しいといえよう。
このように、アーキスーパーの第1四半期決算は減収減益、特に、利益がすべての段階で極めて厳しい結果となった。しかも、その要因は、原価上昇、経費大幅上昇という、ダブルで収益を圧迫する構図であり、厳しい結果であるといえよう。今後、アオキスーパーが高収益を目指すためには、これまでのアオキスーパーがとってきた経営戦略、原価大、経費小の路線を再度追求するか、それとも原価小、経費小へ切り替えるか、あるいは、原価小、経費大を目指すか、決断が必要といえよう。アオキスーパーが、今後どのような経営戦略を採用するか、その動向に注目である。
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