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June 26, 2010

オークワ、2011年2月期、第1四半期決算を見る!

   オークワが6/25、2011年2月期、第1四半期決算を公表した。結果は、営業収益682.82億円(-3.4%)、営業利益8.30億円(-31.5%)、経常利益9.25億円(-26.5%)、当期純利益3.25億円(223.5%)となり、当期純利益は増益となったが、営業、経常段階では減収減益となる厳しい決算となった。オークワ自身も、「小売業界におきましても、業態を超えた企業間競争の激化による客数減、及び消費者の生活防衛意識の高まりによる客単価の下落が続き、非常に厳しい経営環境が続きました。・・」と、コメントしており、厳しい経営環境であったことが伺える。

   また、特に、既存店については、「・・、主力の「レギュラー」業態とディスカウントタイプの「プライスカット」業態は、外部環境の悪化により、販売は低迷いたしました。この結果、全業態ベースの既存店売上高は前年同期比94.1%となりました。・・」とのことで、既存店が伸び悩んだということである。オークワは、この2業態に加え、「スーパーセンター」業態と高質スーパーの「メッサ」業態があるが、この2業態は比較的順調であったとのことである。

   一方、減益になった要因であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、75.27%(昨年75.27%)と、昨年と同じ数字となった。これは、小数点以下第3位まで見ると違いがあるが、四捨五入すると、小数点以下第2位まで同じ数字となったためである。したがって、原価は厳しい価格競争の中、上昇を抑えており、健闘しているといえよう。結果、売上総利益は、24.73%(昨年24.73%)と昨年と同じ数字となった。

   これに対して、経費の方であるが、27.18%(昨年26.69%)と、0.49ポイント上昇しており、経費の上昇がみられる。結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-2.45%(昨年-1.96%)とマイナス幅がさらに広がった形である。これは、オークワの売上総利益が比較的低いことに加え、今期は既存店の数字が下がり、固定費が相対的に上がり、経費比率が上昇したためであるといえよう。

   オークワは様々な業態を開発することによって、顧客の全需要に対応すべく、客数アップを図ってきたといえる。ただ、その結果、粗利の低い業態、「プライスカット」、「スーパーセンター」、粗利の高い業態、「メッサ」、中間の「レギュラー」と、原価政策が分かれることになる。また、経費面でも、経費の低い業態、「プライスカット」、「スーパーセンター」、経費の比較的高い業態、「メッサ」、「レギュラー」に分かれることになる。したがって、これらのバランスを取りながら、原価と経費を両極端で調整するという、難しい舵とりが求められる。今期は、その結果、経費バランスを崩してしまい、減益に追い込まれてしまったといえよう。

   そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.71%(昨年3.74%)加わり、結果、営業利益は1.26%(昨年1.78%)という厳しい結果となった。それにしても、その他営業収入がかなり大きな比率を占めており、オークワにとっては利益の重要な要素となっているといえよう。ちなみに、不動産収入と物流収入等のその他営業収入であるが、11.66億円、12.75億円であり、ほぼ同じ比率である。店舗数が増え、物流網が増し、センター供給が増加してくると、物流収入の重みが増してくることになるといえる。

   一方、財務の方であるが、自己資本比率は56.5%(前決算時56.4%)と、営業面の動きとは違い、安定した数字を維持している。これは、負債の主要項目である有利子負債が今期235.35億円(総資産比率17.48%)、昨年234.61億円(総資産比率17.36%)と変化が無いことに加え、資産面でも、新規出店関連の資産、土地、建物、敷金保証金等の割合が61.25%(前決算時60.64%)の増加に留まり、大きく増加しなかったためである。結果、自己資本で新規出店をどれだけ賄っているか、すなわち、出店余力は-4.80%(前決算時-4.24%)と、若干の増加で抑えられたことが大きいといえよう。

   したがって、これだけ多様な業態、特に、スーパーセンター等大型業態を積極的に展開しているにも関わらず、負債に極力頼ることのない新規出店が可能な安定した財務基盤であるといえよう。通常、このような多岐にわたる業態を擁し、特に大型店が中心になると負債が膨らみ、自己資本ではなく、負債に依存する財務体質になってしまう場合がある。オークワを見る限り、そのような状況は見られないが、減収減益となったことが気になるところである。

   このように、2011年2月期、第1四半期のオークワの決算を見ると、減収、営業、経常利益が減益となり、厳しい決算となった。そして、その要因を見ると、明らかに、経費比率の上昇がみられる。ただ、これは、経費の絶対額が上昇したことではなく、むしろ、経費の絶対額は178.96億円(昨年181.87億円)と減少しており、売上高が658.41億円(昨年681.49億円)と減少したことが大きいといえる。それだけ売上高のダウンは経費比率に直結するといえ、今後、いかに、経費を引き下げる以上に、売上を引き上げるかも課題といえよう。次の中間、そして、今期、オークワがどのように売上、その根幹のマーチャンダイジングの改善をはかるか、注目である。

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