新製品週間ランキング、6/4、PI値と平均単価!
恒例の日経MJ新製品週間ランキングが6/4、公表された。今週は異常値の新製品が登場した。家庭用品、マックスファクター、SK-Ⅱフェイシャルトリートメントエッセンス250mlである。金額PI値は何と1,800円(1人当たり1.80円)となった。新製品で金額PI値が1,000円を超える商品は稀であり、特に、今週の1,800円は異常値といえる。通常、新製品では金額PI値が500円を超えればAランク、300円でBランク、200円でCランクと判断できるので、1,800円は通常ではありえない数字である。
では、なぜ、ここでまで金額PI値が跳ね上がったかであるが、その最大の要因は平均単価にある。SK-Ⅱは15,050円という、高額商品であり、通常の食品スーパーマーケットでは200円ぐらいが平均単価であるので、中々、手が届かない価格である。だだ、これだけ、平均単価が上がると、PI値が低くとも金額PI値は大きく上昇することがあり、今週は1,800円まで跳ね上がったといえる。一般に金額PI値(客単価)=PI値×平均単価であるので、金額PI値はPI値が上がるか、平均単価があがるか、あるいは双方が上がれば、上昇することになる。
通常、食品スーパーマーケットでは、先に言及したように、平均単価は200円ぐらいであるので、金額PI値アップを目指す場合は、平均単価を引き上げるより、PI値を引き上げる方が効果が出る商品が圧倒的に多いといえる。したがって、平均単価アップ政策は軽視されがちとなる場合が多い。ところが衣料品、化粧品、家電、宝石等は食品と違い平均単価が10倍、100倍の商品が圧倒的に多く、逆に、PI値は限りなく0に近い商品が多く、PI値は中々あげることが難しいといえる。そこで、プライスラインを明確にし、PI値よりも価格を引き上げる政策、すなわち、平均単価アップ政策を重視することになる。
金額PI値アップの決め手がPI値から、平均単価に移ってゆくことなるのが通常である。食品では馴染みが薄い政策であり、あまり、意識されないマーチャンダイジング戦略である。ただ、実は、食品でも、衣料品、化粧品等と比べると微妙な数字であるが、PI値よりも平均単価アップ政策が有効な商品が存在するのも事実である。今回の新製品週間ランキングでも、家庭用品はもちろん、飲料、冷凍食品でも同様な商品が存在しており、意外に、平均単価アップ政策が有効な新商品が見られる。
実は、昨今のデフレ環境の中では、食品スーパーマーケット同士に加え、業態を超えた価格競争が激しさを増し、マーチャンダイジング政策も数量重視、すなわち、PI値アップ戦略がとられることが多い。もちろん、PI値が平均単価の下落を上回る伸び率を示せば、金額PI値は上がるが、往々にして、下回ることが多く、金額PI値が伸び悩むケースが多い。これを克服するには、PI値アップ戦略に加え、同時に、平均単価アップ戦略をとる必要があり、その鍵を握るのが、今週、新製品No.1の金額PI値となったSK-Ⅱや、そこまで平均単価が高くはないが、飲料、冷凍食品、特に、アイスクリーム等の平均単価の高い商品である。
ちなみに、SK-Ⅱであるが、先に見たように平均単価は15,050円、金額PI値は1,800円であるので、PI値を逆算すると、(1,800円÷1,000人)/15,050円=0.012%となる。この0.012%はどのくらいのボリュームかというと、1,000人当たりで0.12個であり、平均的な食品スーパーマーケットの1日の客数は約2,000人であるので、1日0.24個となる。したがって、1個売れるのは、その4倍、4日となり、4日に1個売れる商品ということになる。それでも、平均単価が15,050円ともなると、金額PI値が1,800円となり、今週の全新製品週間ランキングでは断トツのトップとなる。
では、このSK-Ⅱ以外の商品でここまで金額PI値が高くならなくとも、金額PI値に大きく貢献できる平均単価の高い新製品はないかを見てみたい。飲料では、その典型的な新製品が上位にランクインしている。今週、No.3、No.4となったキリンビバレッジの生茶である。No.3には2Lが金額PI値322円で入り、No.4には500mlペットボトルが317円で入っている。わずかな差であるが、ほぼ同じボリュームの金額PI値といって良い。その平均単価であるが、2Lが144円、500mlが88円であるので、PI値を逆算すると、0.22%、0.36%であり、2Lの方がPI値は約4割低いが、金額PI値は高い数字となる。ここがポイントであり、この容量に加え、さらに、同じ500mlでも付加価値の高い平均単価の高い商品の強化が金額PI値アップのポイントになるということである。
このように、現在、まさにデフレの真っただ中にあるが、このような平均単価が下がる環境にあるがゆえに、あえて、平均単価アップに挑戦することもマーチャンダイジング政策としては重要なテーマである。平均単価アップ商品は食品の中でも先に見たように、2Lのペットボトルや同じ500mlでも付加価値の高い商品などがあり、これ以外にも食品、菓子にも確実に存在する。また、生鮮食品は原則、PI値アップよりも、平均単価アップが決め手となる商品が多いのも特徴である。今週の新製品週間ランキングを参考に、是非、平均単価アップ戦略による金額PI値の改善にトライして欲しい。
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