消費者物価指数(CPI)、2010年4月度、-1.2%%!
総務省統計局から、5/28、消費者物価指数(CPI)、2010年4月度が公表された。結果は、前年同月比-1.2%となり、依然として、デフレ傾向が鮮明である。ただ、4月度から高校授業料無償化がはじまり、その影響も少なからずあり、ややデフレ傾向は緩和されたが、それでもマイナスが継続しており、やはり、消費は厳しい局面が続いているといえよう。本ブログでも取り上げたが、この4月から食品スーパーマーケット業界の3団体(AJS 58社、JSA 60社、JSSA 162社)、計264店舗が共同で売上速報の公表をはじめたが、それを見ても、この4月度は昨対-1.3%であり、ほぼ消費者物価指数の-1.2%に近い数字であり、厳しい状況にあるといえよう。
消費者物価指数は、大きく3つに分けて総合指数が公表される。「(1) 総合指数は平成17年を100として99.6となり,前月と同水準。前年同月比は1.2%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は99.2となり,前月比は0.3%の下落。前年同月比は1.5%の下落となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.3となり,前月比は0.4%の下落。前年同月比は1.6%の下落となった。」であり、すべて総合指数である。(1)は文字通り総合指数、(2)が相場変動の激しい生鮮食品を除く総合指数、そして、(3)が国際相場の影響を受けやすいエネルギーをさらに除いた総合指数である。数字を見ると、いずれも、前年同月比、-1.2%、-1.5%、-1.6%であり、厳しい状況である、また、平成17度比で見ても、99.6、99.2、97.3であるので、いずれもダウン、この4月度は明らかに物価が下落しているといえ、デフレ傾向が鮮明であるといえよう。
ここで、高校授業料無償化の影響であるが、まず、消費者物価指数に影響を与える品目であるが、「公立高校授業料」及び「私立高校授業料」の2品目である。それぞれ、前年同月比-98.5%、-25.1%と大きく減少しており、結果、生鮮を除く総合指数への寄与度はそれぞれ、0.41、0.13となり、合計-0.54の影響があったという。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数では-0.78であるというので、かなりのインパクトであるといえよう。
さて、この4月度、気になる動きであるが、この高校授業料無償化の影響もあるといえるが、前年同月比の過去5年間の流れに異変が起きていることである。これまでのグラフの流れでは、時間とともに半円形の上下に動く、sinカーブで消費者物価指数が推移していたが、この3月度頃から、これまでの流れでは物価が上昇する局面に入るはずであるところが、横ばい、そして、この4月度は、逆に下がりはじめたことである。これまでにない動きであり、5月以降、どのように動いてゆくのかが読めない状況である。予測不能の領域に入ったといえ、消費者物価指数は混迷の時期に突入したといえよう。
そこで、この4月度の消費者物価指数を押し下げた要因となった項目を見てみたい。まず、中分類で見て、前月比の下落幅の大きかった項目であるが、授業料等-17.4%、生鮮果物-3.5%、交通-1.3%、電気代-1.2%、室内装備品-0.9%である。やはり、高校授業料が大きくこの4月度から下落していることがわかる。次に、前年同月比で見て、下落幅の大きかった項目であるが、教養娯楽用耐久財-18.8%、授業料等-17.4%、電気代-9.4%、家庭用耐久財-9.2%、ガス代-5.4%である。そして、総合指数の前年同月比に対して、寄与度の大きかった項目であるが、授業料等(寄与度0.48)、電気代(寄与度0.30)、ガス代(寄与度0.11)、教養娯楽用耐久財(寄与度0.10)、家庭用耐久財(寄与度0.08)という状況である。やはり、高校授業料無償化の影響は大きく、この4月度の消費者物価指数を明らかに押し下げる要因となったといえよう。
では、食品スーパーマーケット関連の商品の物価指数は前年同月比でどうかをみてみたい。まず、食料全体は-0.7%であり、下落している。大分類であるが、穀類-3.5%、魚介類-2.8%、肉類-2.7%、乳卵類-1.7%、野菜・海藻7.6%、果物 -0.4%、油脂・調味料-2.9%、菓子類-0.5%、調理食品-2.3%、飲料-2.1%、酒類-1.4%という状況である。これを見ると、野菜・海藻以外、すべてマイナスであり、食料品が物価の下落を牽引していることがわかる。なお、野菜・海草の異常値は4月度の天候不順があったため、出荷が遅れ相場が大きく上昇したためである。いくつか上昇率の大きいものを見てみると、ねぎ39.9%、レタス25.9%、たまねぎ27.5%、れんこん24.6%、かぼちゃ15.0%、きゅうり16.8%、なす17.4%、ばれいしょ12.8%、だいこん16.7%等である。
このように、この4月度の消費者物価指数は高校授業料無償化という大きな動きがあり、これまでデフレで推移していた物価をさらに押し下げ、デフレに拍車をかける方向になったといえよう。したがって、当面、この傾向は続くと思われ、消費者物価指数はマイナスが続くものと思われる。今後、高校授業料無償化以外の項目がどう動くかにもよるが、この4月度を見ても依然として厳しい状況であり、少なくとも今期前半はデフレ傾向の中、消費が動いてゆくことになろう。次回、5月、そして、現在の6月度の消費者物価指数がどのような動きとなるのか、注意深く見てゆく必要があろう。
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