消費者物価指数(CPI)、2010年5月度、-0.9%!
総務省統計局が6/25、2010年5月度の消費者物価指数(CPI)を公表した。消費者物価指数は総合指数が3つあるが、それぞれの結果は、「(1) 総合指数は平成17年を100として99.7となり、前月比は0.1%の上昇。前年同月比は0.9%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は99.3となり、前月比は0.1%の上昇。前年同月比は1.2%の下落となった。(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.3となり、前月と同水準。前年同月比は1.6%の下落となった。」とのことで、いずれの段階でも、前年同月比は下落しており、依然として、デフレ環境が続いているといえよう。
実際、前年同月比の過去3年間の月別グラフを見ると、この5月度は、前月度とほぼ同じ横ばいであり、一向に上昇気配が見られない。これまでの数年間の消費者物価指数を見ると、約1年ごとに上昇、下落を繰り返しており、特に、この2年間は上に凸、下に凸、まさにsinカーブを描いていた。これに従えば、この1月頃から、消費者物価が0%に近づいても良いような流れであったが、2月、3月と横ばいになり、4月からは、戻るどころか、逆に、マイナス幅が拡大し、そして、この5月はそのまま横ばいとなるなど、明らかに変則的な動きとなった。
ただ、ひとつ考慮しなければならないこともある。それは、この4月度からはじまった高校授業料無償化の影響である。消費者物価指数では、「公立高校授業料」及び「私立高校授業料」の2項目が含まれるが、それぞれの前年同月比は-98.5%、-25.1%となり、その寄与度は-0.39、-0.10、合計-0.49となった。したがって、総合指標-0.9の内、その半分はこの高校授業料無料化の影響ともいえる。厳密には、ガソリン、生鮮食品等が0.56ポイント伸びており、単純に差を見ることはできないが、下げ圧力が強いことは確かである。こう見ると、高校授業料無償化は物価の下落に大きく寄与しているといえ、これもひとつの物価安定策ともいえよう。
ちなみに、この高校授業料無償化以外の寄与度を見ると、マイナスとなったのは都市ガス代-0.07、電気代-0.12、生鮮食品を除く食料-0.39、その他-0.54であり、プラスになったのは、先にも言及したが、ガソリン0.40、生鮮食品0.16、灯油0.14である。これに、高校授業料無償化が加わり、総合指数が-0.9%となっており、以上がこの5月度の消費者物価指数の実態である。
さて、では、食品関係の詳細な消費者物価はどのような状況であったかを見てみたい。先に見たように総合指数は-0.9であるが、食料も同じ-0.9である。ただ、この中には外食も含まれており、外食は-0.2であり、外食を除く食料、すなわち食品の方が深刻であるといえよう。そこで、大分類の結果を見ると、穀類-2.9、魚介類-2.1、肉類-2.9、乳卵類-1.5、野菜・海藻5.7、果物-0.3、油脂・調味料-1.5、菓子類-1.8、調理食品-2.2、飲料-1.9、酒類-1.3である。野菜・海藻は相場高の関係もあり、大幅に消費者物価が上昇したが、それ以外はすべて下落、特に、穀類、肉類の下げが大きいといえよう。
さらに、その詳細を見ると、まずは、物価上昇がみられた野菜・海藻であるが、れんこん31.7、ピーマン29.2、たまねぎ26.2、ばれいしょ24.5、レタス 22.0が20%以上、上昇した項目であり、さといも18.4、なす17.0、ねぎ16.5、ほうれんそう12.6、だいこん12.6、きゅうり12.4、ながいも11.8、かぼちゃ11.8、かんしょ10.4が10%以上上昇した項目である。
次に、物価の下落が見られた項目であるが、ビスケット-12.6、食用油-12.3が10%以上下落した項目であり、スパゲッティ-9.3、グレープフルーツ-8.8 、ミネラルウォーター-8.4、たらこ-8.3、チーズ-7.4、ししゃも-7.3、液体調味料-7.1、小麦粉-6.9、たこ-6.3、中華合わせ調味料-6.3、バナナ-6.0、うなぎかば焼き-5.9、ごぼう-5.8、丸干しいわし-5.6、ソーセージ-5.6、納豆-5.4、煮干し-5.0、魚介缶詰-5.0、混ぜごはんのもと-5.0が5%以上下落した項目である。
また、食品以外で物価下落が大きかった項目であるが、公立高校授業料-98.5、パソコン(ノート型) -35.2、DVDレコーダー-34.5、カメラ-32.3、パソコン(デスクトップ型) (48)-28.8、テレビ(薄型) TV sets (LCD)-27.5、ステレオセット-27.3、私立高校授業料-25.1、電気洗濯機(洗濯乾燥機)-23.3、ビデオカメラ-23.1、電子レンジ-20.3、家庭用ゲーム機(据置型)-20.0、ビデオソフトレンタル料 -20.0が20%以上下落した項目である。
このように2010年5月度の消費者物価指数は高校授業料無償化の影響もあり、依然として厳しい数字であり、総合指数が前年同月比-0.9となり、ここ数ケ月横ばいが続いている。デフレ環境は依然として厳しい状況にあるといえ、当面、続きそうである。したがって、食品スーパーマーケットとしてはデフレが続くことを前提にしばらくは経営戦略を検討する必要があろう。この5月は-0.9と、奇しくも総合と同じ数字となったが、先に見たように野菜の大幅な上昇を加味しての数字であるので、実質、もっと低い状況にあると見た方が良いといえよう。食品スーパーマーケットとしてはデフレ環境が長びく可能性が高まったといえ、再度、品揃えと売価の確認が必要といえよう。来月、6月度の数字がどのような結果となるか気になるところである。
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