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June 23, 2010

週間ダイヤモンド、「コンビニ農業」を特集!

   最新の週間ダイヤモンド、6/26号で「コンビニ農業」の特集が組まれた。サブタイトルは、「年商4000万円を実現した新規就農システム」、「フランチャイズ方式と貸し農園で進む革命」、さらに、サブサブタイトルでは、「企業の農業参入加速、イトーヨーカ堂、住友化学、ワタミ、・・」、「あの人気講師が伝授!失敗しないベランダ農園」、「今からでも入園できる「貸し農園」リスト!」、「戸別保証制度は天下の愚策か!?民主vs自民vsみんなの党」である。約40ページの特集記事であるが、興味深い内容であり、一気に読んでしまった。

   さて、その中身であるが、Part1では、「フランチャイズ型で安定供給を実現」と題し、野菜クラブの農業フランチャイズの動向を取り上げている。すでに、青森、静岡、群馬、島根に生産拠点ができつつあり、モスフードサービスやスーパー、生協等への安定供給が始まっているという。特に、冒頭で塚本さんの独立の事例が紹介されているが、昨年は7ヘクタールの農地を借り、売上高は4500万円であったという。このPart1では農業生産法人の推移もグラフで示されているが、2008年度には10,000件を超え、年々その数が増えており、生産者の自主的な組織化が進んでいることがわかる。また、このPart1ではワタミ、いちかわライスビジネス、和郷園、西部開発農産、茨城白菜栽培組合なども紹介されている。

   Part2は「貸し農園が自給力を高める」と題し、いまはやりの貸し農園の特集である。貸し農園の種類としても、市民農園、滞在型市民農園、農業体験農園、民間の体験農園等様々であり、値段も月2,000円ぐらいからあり、手ごろな価格である。このPart2では、カリスマ農業者も登場し、冬季湛水・不耕起栽培の提唱者岩澤信夫氏、NHK「やさいの時間」の講師、藤田智氏等が紹介されている。

   そして、Part3では、「農業を活性化する企業、競争力を奪う政争」と題し、食品スーパーマーケットと最も関係の深い小売業の農業参入の特集である。特に、小売業の2大企業、イオンとイトーヨーカ堂の事例が取り上げられており、興味深い内容である。イオンの記事の内容はグリーンアイについてであり、何と、すでに、4500農家との契約栽培が進んでおり、野菜55種類、果物20種類を扱い、店頭の農産物の15%を占めるまでになったという。ただ、さすがに、リーマンショック以降は消費者の低価格志向が強まり、販売量が伸び悩んだという。 

   一方、イトーヨーカ堂であるが、農業には2008年8月に参入し、翌、2009年12月期には黒字転換したという。今後、農業事業を拡大するとのことで、7月にはセブンファームを設立し、今後、全国10ケ所への展開を目指し、農業法人へ積極的に出資してゆくという。これだけ、早く、黒字化した理由は、千葉県のJA富里市と組んでスタートできたことが大きいという。ちなみに、イトーヨーカ堂が農業へ参入するきっかけは、食品リサイクル法の改正にあったという。したがって、当面の目標はリサイクル法に定められた食品リサイクル率45%を目指すとのことである。この2大、小売業以外でも、農業への参入はあとを絶たず、キューピー、カゴメ、キューサイ、JFEライフ、ドール、サイゼリア、ワタミ、メルシャン、阪急百貨店、モスフードサービス、マンズワイン、豊田通商等、年々増加傾向にあるという。

   このPart3では、この企業の農業参入特集以外にも、民主党の個別所得補償制度についても取り上げている。特に、興味深いのは、水田作付面積別の平均農業所得のグラフであり、これを見ると、20ヘクタールを超えると急激に所得が上昇し、何と年間1,200万円近い数字となる。このような状況の中、戸別所得補償制度が動きだすと、農地を集約化するメリットが薄れ、農業生産法人が借り受けている農地の貸し渋り、貸しはがしが起こり、農地の集約化にブレーキがかかり、農業の生産性が落ち込むのはないかという懸念が提示されている。

   そして、全体のまとめとして、民主党、自民党、みんなの党の政治家のコラムが特集され、約40ページ、3部に分けてまとめられた特集記事が終了することになる。全体のタイトル、「コンビニ農業」を超え、政治の世界まで踏み込んだ、スケールの大きな農業特集の記事であるといえ、農業生産者の最新の動向が特集されていて、実に、興味深い内容である。

   このように、最新の週間ダイヤモンドが「コンビニ農業」と題し、Part1、Part2、Part3の3つに分けて、農業生産者を真正面から取り上げた特集記事であり、内容的にも興味深いものが多い。食品スーパーマーケットとも関係の深い、小売業の農業参入の記事もあり、現時点では最先端の農業生産者の現況といえよう。これを読む限りでは、農業がいま大きく変わろうとし、生産者自らが創意工夫、組織化に踏み切り、自らの力で所得の向上をはかっているといえ、新たな農業革命が起こるのではないかと思える。今後、ますます、農業は日本の中で新たな重要な産業となるのではないかと思える特集記事であるといえよう。

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