オーケーストア新店、川越店を見る!
オーケーストア、店舗No.59、最新店舗、川越店を見る機会があった。オープンが4/9であるので、まだ約2ケ月目のまさに、新店である。ホームセンター島忠ホームズの中の一角にオープンしたNSC(近隣型SC)であり、店舗面積は700坪強、オーケーとしては大型タイプの店舗である。平日のお昼すぎであったが、駐車場はほぼ埋まり、店内もお客様が数多く見られた。
埼玉県の川越はヤオコーの本社があり、オーケー川越店のすぐ近く、直線距離で数kmのところに、ヤオコーの基幹店舗、ヤオコー川越南古谷店があり、さらに逆側、数kmのところには、ヤオコー川越山田店があり、いずれも直競合といえよう。川越にはヤオコーのもう一店舗、川越新宿店があるが、これは、川越駅を超え、反対側であり、直競合にはなっていない。ただ、ヤオコー本社を取り巻くトライアングルに配置された各店舗をにらむ位置にオーケーがクサビを打った出店であり、明らかにヤオコーを強く意識した新規出店である。これにより、川越はいきなり、日本でも有数の激戦地区となったといえよう。川越にはヤオコーの本社に加え、地方百貨店の雄、丸広百貨店の本店もあり、丸広百貨店の食品売場との競合も発生しているといえる。
恐らく、今後、数ケ月後には川越商圏の食品の物価が確実に下がることになるのではないかと思う。実際、オーケーの店内に置いてある商品情報(ちらし)を見ると、「ナショナルブランド商品については、地域一番の安値を保証しています。当店の通常売価が、競合店の価格(特売品、目玉商品も含む)より高い場合、私たちは値下げし、「競合店に対して値下げしました」の表示をつけて販売しています。」とうたっており、さらに、「ナショナルブランド商品について、地域一番の安値を保証しているのはオーケーだけです。だから、オーケーで買って損をすることはないのです。」と付け加えている。オーケー川越店の競合店は明らかにヤオコーであり、ヤオコーを強く意識しての宣戦布告ともとれる言葉である。
さらに、この商品情報では、「オーケーのお茶」というコーナーがあり、そこでは、「百貨店の商品と飲み比べて商品を選定し、お得になるように売価を設定しています。万一値打ちが無かったら、代金は返却します。」、さらに、「百貨店で、100g1,500円(税込1,575円)で売っている商品と飲み比べて、商品を選定しました。」というコメントを入れており、オーケー静岡産やぶ北煎茶100g900円をお試し価格825円で訴求している。これ以外にも百貨店を強く意識したお茶の訴求があるが、明らかに、この百貨店は丸広百貨店であろう。
オーケーがこれだけ、自信、確信をもって価格にこだわれる理由はどこにあるかであるが、それは、オーケーの経費比率にある。オーケーの経費比率は現在15%を切っており、これは、食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の中では断トツのトップであり、ウォルマートよりも遥かに低い経費比率である。これに対して、ヤオコーの経費比率は28%強であり、約2倍の差がある。この数字を見る限り、オーケーがヤオコーに対して価格競争に挑むことはあっても、ヤオコーがオーケーに対して価格対抗することは理論的には成立しない数字であり、価格競争ではオーケーの圧勝とならざるをえない。
したがって、オーケーは価格競争では圧倒的に優位にたてる状況にあり、競合店、川越の場合はヤオコー、そして、丸広百貨店に対して極限の価格競争に挑むことが可能である。特に、このオーケー川越店はオーケーの中でも700坪強という大型店であり、実際のレイアウトを見ても、雑貨、グロサリーを圧倒的に強化した店舗であり、川越商圏においては、あらゆる商品が最安値となっているといえよう。いわば、食品に関しては、川越のブラックホールのような状況となっているといえ、価格面で見る限り、圧倒的なプライスリーダーといえよう。
もちろんオーケーにも死角はある。価格訴求だけでは顧客の支持を得られにくい生鮮、惣菜、日配等については、ヤオコーの方が一日の長があるといえよう。また、グロサリー、日配等の品揃えにおいて、価格訴求にこだわるあまり、No.1、あるいはNo.2メーカーがカットされるなど、顧客のニーズを充分に組みとれないカテゴリーもある。ここを川越の消費者がどう評価するか、その答えは、もう数ケ月見る必要があろう。
このように、川越というヤオコー、丸広百貨店の本拠地に突如、オーケーという強力な大型ディスカウント食品スーパーマーケットが出現したことは、単なる食品スーパーマーケットどうしの競争に終わらず、川越商圏全体へ大きな波紋を投げかけることになろう。今後、数ケ月かけ、この波紋がどのように広がってゆくのか先を読むのは難しい面があるが、現時点では明らかに、川越商圏であらゆる食品の価格が最も安い大型食品スーパーマーケットが出現したことは事実である。恐らく、川越全体の物価水準を引き下げることになる可能性が高いといえ、オーケー川越店の動向から当面、目が離せない状況になったといえよう。
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