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June 08, 2010

マックスバリュ東北の利益構造を見る!

   マックスバリュ東北は、食品スーパーマーケットの中でも、自己資本比率が8.2%(昨年7.1%)と、厳しい数字であり、経営基盤の確立が急務といえる状況にある。そこで、マックスバリュ東北の自己資本比率、ここでは、純資産比率の低い要因を様々な角度から分析し、何が問題なのかを明らかにしてみたい。

   まず、純資産比率(自己資本比率)とは何かであるが、これは、B/S上の純資産を総資産(=負債+純資産)で割って得られる財務指標の1つである。これを見ることによって、経営基盤が純資産で支えられているのか、それとも、負債に依存しているのかがわかり、今後の経営戦略を決定づける重要な指標といえる。当然、純資産比率が低ければ、負債に依存した経営となり、負債の中でも有利子負債に依存している場合には、キャッシュを優先的に有利子負債の返済に回さざるをえなくなり、本来、食品スーパーマーケットが取組むべき、成長戦略の根幹である新規出店、既存店の改装、物流体制の確立、マーチャンダイジングの強化、情報システムへの投資等へキャッシュの配分ができず、自然、経営が均衡縮小となり、厳しい状況となる。

   また、それ以前に、本来、経営活動から生まれる利益は、株式会社である以上、株主への配分、すなわち、配当が最優先であるが、純資産比率が低いと、配当の原資が負債の圧縮、特に、有利子負債の返済に回さざるをえなくなり、株式会社の存立そのものが問われることともなりかねず、純資産比率は原則、可能な限り、高い水準で維持することが望ましいといえる。

   では、食品スーパーマーケットではどのくらいの水準が望ましいかであるが、現在、2010年度決算を集計中であるが、昨年度、2009年度の決算公開企業約50社の単純平均を見ると、約40%である。標準偏差が約20%弱であるので、プラスマイナス20%、純資産比率60%から20%の間に、約70%が入ることになるので、60%以上が高い、20%以下が低いといえる。これが食品スーパーマーケットの純資産比率の実態といえよう。

   そこで、マックスバリュ東北の純資産比率8.2%であるが、極めて低い状況にあり、厳しい経営状況にあることがわかる。では、その中身はどのような状況にあるかであるが、まずは、純資産の項目を見てみたい。純資産は、大きく2つに分かれる。ひとつは資本関連、そして、もうひとつは利益関連である。マックスバリュ東北の資本関連は資本金13.35億円、資本剰余金18.12億円であり、合計31.47億円である。したがって、純資産合計が23.39億円であるので、逆ザヤになり、比率をとると、134.5%となる。これは、純資産を構成するもうひとつの項目、利益関連がマイナスになっているからである。

   その数字を見ると、利益剰余金が-7.81億円であり、その中でも繰越利益剰余金が-15.54億円と大きく、利益が生み出せていないことが大きい。食品スーパーマーケットで純資産が高い要因はこの利益剰余金にあり、ここで大きな差が生じ、資本関連ではほとんど差がないのが実態である。ただ、資本の増強により、経営改革を断行した場合は、資本関連が大きく増加し、逆転することもあるが、通常の企業経営において、純資産比率をあげるには、この利益剰余金が大きな鍵を握っている。

   では、マックスバリュ東北の2010年2月期決算時の利益構造がどうなっているのかを見てみたい。まずは、原価であるが、76.52%(昨年76.84%)と、昨年よりも0.32ポイント改善している。結果、売上総利益は23.48%(昨年23.16%)と、粗利は改善した。これに対し、経費の方であるが、25.72%(昨年25.54%)と、0.18ポイント上昇している。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-2.24%(昨年-2.38%)となり、マイナスとなる。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.57%(昨年2.41%)のり、結果、営業利益が0.33%(昨年0.03%)と、わずかにプラスになったが、厳しい利益構造であるといえよう。

   したがって、利益剰余金を生み出すべき、根本のマーチャンダイジング力がマイナスであり、不動産収入等で補ってキャッシュをプラスにしており、厳しい利益構造であるといえよう。特に、経費比率が高めであり、さらに、昨年よりも上昇していることが影響を与えており、経費の圧縮、すなわち、経費を削減することだけでなく、坪当たりの売上げを既存店活性化により、引き上げ、相対的に経費を下げることも重要な経営課題といえよう。

   このように、マックスバリュ東北の純資産比率(自己資本比率)の低い要因は、本来、利益剰余金で大きくプラスにもってゆくべきところがマイナスとなっており、しかも、今期の決算を見ると、経費率が高く、売上総利益で相殺できず、結果、マーチャンダイジング力がマイナスとなり、キャッシュを生み出すパワーが弱いといえる。利益剰余金の源泉はこのマーチャンダイジング力にあるといえ、マックスバリュ東北としては、最優先でキャッシュを生み出すパワー、すなわち、マーチャンダイジング力をいかにプラスにもってゆくかが絶対的な課題といえよう。

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