調味料、食品スーパーマーケットの実態は?
食品スーパーマーケットにとって調味料は重要な商品群であり、特に、グロサリーの中では中核商品といえる。そこで、ここでは、食品スーパーマーケットにとっての調味料の実態を最新のPOS分析結果をもとに見てみたい。まず、調味料をどう分類するかであるが、そもそも食品スーパーマーケットの商品分類は各社まちまちであり、共通の商品分類があるようで、ないのが実態である。そこで、ここでは、総務省統計局が公表している家計調査データと、経済産業省所管の財団法人、財団法人流通システム開発センターが公表しているJICFSコード(JAN Item Code File Service)をもとに調味料のPOSデータを見てみたい。
まず、家計調査データであるが、家計調査データでは、大分類に油脂・調味料があり、ここで調味料全般を集計している。調味料に油脂まで含めるかどうかは議論が分かれると思うが、ここでは油脂も広く調味料として捉えてみる。では、その実態はどうかであるが、食用油7.57円、マーガリン2.53円、食塩1.27円、しょう油5.40円、みそ7.23円、砂糖3.37円、酢3.23円、ソース2.27円、ケチャップ1.67円、マヨネーズ・マヨネーズ風調味料3.67円、ドレッシング5.07円、ジャム3.63円、カレールウ4.53円、乾燥スープ6.43円、風味調味料5.17円、ふりかけ4.53円、つゆ・たれ9.23円、他の調味料26.67円という結果となる。
家計調査データは1世帯1ケ月当たりのデータを公表しているので、そのままでは食品スーパーマーケットのPOSデータとの比較が難しいので、ここでは、1世帯1日当たりに、独自に加工し、POSデータとの比較を可能にした。上記数字はほぼ、食品スーパーマーケットの客単価(金額PI値)に近い数字となっており、このまま、実務に直結できる数字であり、すぐに活用可能である。合計、他の調味料が26.67円と大きいので、合計が103.50円となるが、よく見ると、ジャム、マーガリン、ふりかけ、乾燥スープ等も入っている。そこで、これらの項目と、その他調味料を除くと、合計は55.13円となる。
一方、JICFS分類であるが、調味料関係をピックアップすると、醤油4.50円、砂糖2.50円、低カロリー甘味料0.65円、味噌6.00円、食塩1.10円、食酢1.70円、合わせ酢(和風)2.00円、みりん風調味料0.90円、料理用日本酒1.20円、風味調味料2.00円液体だし0.05円、単一・複合調味料0.50円、ソース1.90円、ケチャップ1.50円、焼き肉のたれ 3.30円、その他のたれ1.20円、マヨネーズ3.50円、ドレッシング5.00円、香辛料(からし・わさび以外)4.20円、からし・わさび 1.50円、つゆ5.35円、中華調味料1.20円、その他調味料0.30円、ゴマ油1.60円、サラダ油・天ぷら油3.70円、オリーブ1.10円、香味油0.02円となる。合計58.47円となる。これも独自に加工し、食品スーパーマーケットのPOSデータとの連動をはかれるようにしているので、そのまま活用可能である。
JICFSデータは原則1,000人当たりの売上金額であり、通常はカバー率を加味し、導入店舗のみの金額PI値が公表される。かつ、取扱店舗数百店舗のPOSデータの集計となるので、調味料の数だけでもしょうゆ約200品、砂糖約200品、味噌約400品、食塩約170品、ソース約180品、焼き肉のたれ約200品、つゆ約450品など膨大な数になり、調味料全体では約4,500品ぐらいになる。したがって、この数字を単純合計すると莫大な数字となり、意味をなさない。そのため、実務に活用するには総客数で割った金額PI総店を使うか、想定品揃えを設定し、合計するかになるが、いずれにせよ、工夫が必要である。ここでは、想定店舗を推計して、独自に数字を算出している。なお、財団法人流通システム開発センターのPOSデータはniftyで市販もされているので、誰でも、入手可能である。
双方を比べてみると、良く似た数字となっていることがわかる。たとえば、マヨネーズ・マヨネーズ風調味料3.67円(JICFS3.50円)、ドレッシング5.07円(5.00円)などであり、多少の差はあるが、極めて近い数字となる。これは、消費者側から見たデータも食品スーパーマーケット側から見たデータももとは同じであるので、近い数字になるといえ、したがって、双方、どちらからでもマーチャンダイジング戦略の構築が可能であるといえ、今後、大いに活用して欲しいところである。
こう見ると、食品スーパーマーケットにおける調味料は約60円ぐらいの客単価(金額PI値)であることがわかる。一般に食品スーパーマーケット全体の客単価は1,500円から2,000円ぐらいであるので、調味料の売上構成比は3から4%となる。また、この内、生鮮食品が惣菜を含め約50%あるので、グロサリー(日配を含む)の中では、7%前後となるのが調味料の実態といえよう。
このように、調味料は食品スーパーマーケットにとっては、一定の存在感がある商品群であり、全体売上の3%から4%、グロサリーの中では7%前後の割合となるのが実態といえよう。また、品揃えは豊富であり、ナショナルブランドだけでなく、地域ブランドが数多くあり、食品スーパーマーケット各社が独自の品揃えを競っているといえる。食品スーパーマーケットとしては、今後、調味料の品揃えをどう再構築するか、マーチャンダイジングの力量が問われるところである。
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