ネットスーパー、飛躍か?
ここ最近、ネットスーパーが業界誌等で取り上げられる機会が多い。5/15号のチェーンストアエイジでは、「ネットスーパー、第2幕」と題し、主要国内15のネットスーパーが特集された。また、6/10には、インターネット調査の専門会社、(株)クロス・マーケティングが、消費者側からの視点として、「ネットスーパー利用実態調査2010」を公表した。そこで、ここでは、これら2つの特集、そして、調査結果をもとに、ネットスーパーについて、企業側と消費者側からの視点で、現況を見てみたい。
まず、チェーンストアエイジ5/15号のネットスーパーの特集であるが、主要15社とは、イオンネットスーパー、楽楽マーケット、イトーヨーカドーネットスーパー、ネットスーパーオークワ、ネットスーパー紀ノ国屋青山即配便、コープネットスーパー、サミットネットスーパー、西友ネットスーパー、ダイエーネットスーパー、東急ストアネットスーパー、阪急キッチンエール、おまかせくん、マルエツネットスーパー、ユアーズネットスーパー、アピタネットスーパーの15社である。この15社の実情に加え、約30社の食品スーパーマーケットにアンケート調査を実施しており、興味深い内容である。
アンケートの結果で興味深いものとしては、チェーンストアエイジ誌でも、見出しとして、「ニーズは確実に高まっている!」とし、回答のあった32社中、31社が今後ネットスーパーへの需要は高まると回答しており、食品スーパーマーケット側はネットスーパーへの期待が大きいといえよう。ただ、別の質問では、回答のあった35社中、25社がネットスーパー事業を展開していないと答えており、まだまだ、ネットスーパーへの参入企業は少ないといえよう。今回の主要国内15社のネットスーパーを見ても、首都圏での展開が多いのが特徴であり、地方での展開はわずかであり、まだまだ、都市部でのビジネスモデルであるといえる。
この15社のネットスーパーのサービス形態であるが、サミットネットスーパーと阪急キッチンエール意外、すべて店舗出荷型である。しかも、楽楽マーケットの運営主体ネッツ・パートナーズが支援しているのがマルエツネットスーパー、ネットスーパー紀ノ国屋青山即配便、東急ストアネットスーパー、今回の15社には入っていないが、ネット関西スーパー、シミズヤネットスーパなどであり、運営をゆだねているケースも多い。また、ヤマト運輸がサポートしている食品スーパーマーケットも数多く、ユアーズネットスーパーをはじめ、この15社には入っていないが、いちいネットスーパー、伊勢丹ネットデパ地下、福井さんちの楽楽マーケット、しずてつストアネットスーパー、ボンマルシェネットスーパー、ネットスーパーマルイ宅配便等がある。
こう見ると、食品スーパーマーケットは今後、確実にネットスーパーに独自、提携を含め、続々と参入する可能性が極めて高いといえよう。ただ、課題も明確であり、この特集では、配送料の無料化、生鮮食品の鮮度の保持、地デジの普及の影響等が上がっている。また事業性であるが、回答のあった8社中、黒字は3社であり、数年かかったとのことである。その他は3社が赤字、2社が収益トントンとのことで、ビジネスとしては、現段階ではまだまだ厳しいといえよう。
さて、もう一方の(株)クロス・マーケティングの消費者アンケートであるが、全国の20~69歳の男女945名を対象にした、実際のスーパー店舗で取り扱っている食品や日用品などを、インターネット上で注文し自宅まで配達するサービスを行うネットスーパーの利用に関する調査である。対象企業は、イトーヨーカドー、イオン、西友、イズミヤ、ダイエー、スーパーサンシ、紀ノ国屋、東急ストア、マルエツ、関西スーパー、サミット、オークワ、アピタ、阪急キッチンエール、あーすワン、オレンジライフ、フレスタであり、チェーンストアエイジの15社と重なる食品スーパーマーケットが多いのが特徴である。したがって、これらは補いあう関係にあるといえよう。
いくつか特徴的な集計結果を見ると、利用経験のあるネットスーパーでは、1位:イトーヨーカドー43.1%、2位:イオン42.2%、3位:西友10.6%であり、イトーヨーカ堂、イオンが圧倒的であるといえる。購入アイテムでは1位:調味料・油50.0%、2位:ドリンク47.2%、3位:日用品・生活雑貨46.9%、4位:野菜45.0%、5位:お米42.8%であり、意外に野菜、米が高いといえよう。また、ネットスーパーの特徴としては、「ネットスーパー利用者のうち、約6割は2009年より利用開始」、「ネットスーパーは、一度利用すると継続利用する傾向が強い」、「ネットスーパー利用者は、スーパー実店舗と同様のサービスを求めている」などの特徴があるという。
こう見ると、今後、ネットスーパーの需要は明らかに高いといえ、それに応える形で食品スーパーマーケットの参入も増加しているが、ビジネスとしてはまだまだ確立しているとはいえず、課題が多いのが実態といえよう。また、出荷形態の大半が店舗出荷型であるが、今後、センター出荷型のサミット、阪急がどこまでシェアを上げてくるか、興味深いところである。今回の2つの結果を見ると、しばらくは、ネットスーパー分野は各社模索が続くものといえよう。
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