« サンドラック、2010年3月期決算、増収増益、好調! | Main | ワインの重点商品、Chain Store Age 6/15、PI値検証! »

June 12, 2010

ネットスーパー、飛躍か?

   ここ最近、ネットスーパーが業界誌等で取り上げられる機会が多い。5/15号のチェーンストアエイジでは、「ネットスーパー、第2幕」と題し、主要国内15のネットスーパーが特集された。また、6/10には、インターネット調査の専門会社、(株)クロス・マーケティングが、消費者側からの視点として、「ネットスーパー利用実態調査2010」を公表した。そこで、ここでは、これら2つの特集、そして、調査結果をもとに、ネットスーパーについて、企業側と消費者側からの視点で、現況を見てみたい。

   まず、チェーンストアエイジ5/15号のネットスーパーの特集であるが、主要15社とは、イオンネットスーパー、楽楽マーケット、イトーヨーカドーネットスーパー、ネットスーパーオークワ、ネットスーパー紀ノ国屋青山即配便、コープネットスーパー、サミットネットスーパー、西友ネットスーパー、ダイエーネットスーパー、東急ストアネットスーパー、阪急キッチンエール、おまかせくん、マルエツネットスーパー、ユアーズネットスーパー、アピタネットスーパーの15社である。この15社の実情に加え、約30社の食品スーパーマーケットにアンケート調査を実施しており、興味深い内容である。

   アンケートの結果で興味深いものとしては、チェーンストアエイジ誌でも、見出しとして、「ニーズは確実に高まっている!」とし、回答のあった32社中、31社が今後ネットスーパーへの需要は高まると回答しており、食品スーパーマーケット側はネットスーパーへの期待が大きいといえよう。ただ、別の質問では、回答のあった35社中、25社がネットスーパー事業を展開していないと答えており、まだまだ、ネットスーパーへの参入企業は少ないといえよう。今回の主要国内15社のネットスーパーを見ても、首都圏での展開が多いのが特徴であり、地方での展開はわずかであり、まだまだ、都市部でのビジネスモデルであるといえる。

   この15社のネットスーパーのサービス形態であるが、サミットネットスーパーと阪急キッチンエール意外、すべて店舗出荷型である。しかも、楽楽マーケットの運営主体ネッツ・パートナーズが支援しているのがマルエツネットスーパー、ネットスーパー紀ノ国屋青山即配便、東急ストアネットスーパー、今回の15社には入っていないが、ネット関西スーパー、シミズヤネットスーパなどであり、運営をゆだねているケースも多い。また、ヤマト運輸がサポートしている食品スーパーマーケットも数多く、ユアーズネットスーパーをはじめ、この15社には入っていないが、いちいネットスーパー、伊勢丹ネットデパ地下、福井さんちの楽楽マーケット、しずてつストアネットスーパー、ボンマルシェネットスーパー、ネットスーパーマルイ宅配便等がある。

   こう見ると、食品スーパーマーケットは今後、確実にネットスーパーに独自、提携を含め、続々と参入する可能性が極めて高いといえよう。ただ、課題も明確であり、この特集では、配送料の無料化、生鮮食品の鮮度の保持、地デジの普及の影響等が上がっている。また事業性であるが、回答のあった8社中、黒字は3社であり、数年かかったとのことである。その他は3社が赤字、2社が収益トントンとのことで、ビジネスとしては、現段階ではまだまだ厳しいといえよう。

   さて、もう一方の(株)クロス・マーケティングの消費者アンケートであるが、全国の20~69歳の男女945名を対象にした、実際のスーパー店舗で取り扱っている食品や日用品などを、インターネット上で注文し自宅まで配達するサービスを行うネットスーパーの利用に関する調査である。対象企業は、イトーヨーカドー、イオン、西友、イズミヤ、ダイエー、スーパーサンシ、紀ノ国屋、東急ストア、マルエツ、関西スーパー、サミット、オークワ、アピタ、阪急キッチンエール、あーすワン、オレンジライフ、フレスタであり、チェーンストアエイジの15社と重なる食品スーパーマーケットが多いのが特徴である。したがって、これらは補いあう関係にあるといえよう。

   いくつか特徴的な集計結果を見ると、利用経験のあるネットスーパーでは、1位:イトーヨーカドー43.1%、2位:イオン42.2%、3位:西友10.6%であり、イトーヨーカ堂、イオンが圧倒的であるといえる。購入アイテムでは1位:調味料・油50.0%、2位:ドリンク47.2%、3位:日用品・生活雑貨46.9%、4位:野菜45.0%、5位:お米42.8%であり、意外に野菜、米が高いといえよう。また、ネットスーパーの特徴としては、「ネットスーパー利用者のうち、約6割は2009年より利用開始」、「ネットスーパーは、一度利用すると継続利用する傾向が強い」、「ネットスーパー利用者は、スーパー実店舗と同様のサービスを求めている」などの特徴があるという。

   こう見ると、今後、ネットスーパーの需要は明らかに高いといえ、それに応える形で食品スーパーマーケットの参入も増加しているが、ビジネスとしてはまだまだ確立しているとはいえず、課題が多いのが実態といえよう。また、出荷形態の大半が店舗出荷型であるが、今後、センター出荷型のサミット、阪急がどこまでシェアを上げてくるか、興味深いところである。今回の2つの結果を見ると、しばらくは、ネットスーパー分野は各社模索が続くものといえよう。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

« サンドラック、2010年3月期決算、増収増益、好調! | Main | ワインの重点商品、Chain Store Age 6/15、PI値検証! »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference ネットスーパー、飛躍か?:

« サンドラック、2010年3月期決算、増収増益、好調! | Main | ワインの重点商品、Chain Store Age 6/15、PI値検証! »