参議院議員通常選挙2010、埼玉県を分析して見る!
7/11に行われた参議院議員通常選挙2010が終わった。結果は民主党が44議席(改選前54議席)と自民党の51議席(改選前38議席)を下回り、民主党の惨敗に終わった。結果、参議院全体では、与党が110議席、野党が132議席となり、与党が過半数割れする事態となり、衆議院と参議院では与野党逆転のねじれ現象が生じ、与党の政権運営が厳しい局面を迎えることとなった。
そこで、ここでは、埼玉県選挙区に絞り、有権者がどのような投票行動をしたかを埼玉県選出議員選挙と比例代表選出議員選挙の結果をもとに分析してみたい。まず、埼玉県選挙区の有権者数は5,814,689人であり、今回の投票者は3,246,247人、率にして55.83%である。したがって、この約300万人の有権者がどのような投票行動したかが、ポイントとなる。
まず、当選者であるが、埼玉県は3人区であるので、関口まさかず氏(自由民主党)、655,028票(20.6%)、西田まこと氏(公明党)、594,678票(18.7%)、大野もとひろ氏(民主党)、557,398票(17.5%)の3氏である。以下、惜しくも落選した方であるが、島田ちやこ氏(民主党)、544,381票(17.1%)、小林つかさ氏(みんなの党)、416,663票(13.1%)、伊藤岳氏(日本共産党)、207,957票(6.5%)であり、以下、5%以下の投票率の方が4名、合計10名が立候補しており、激戦地区であったといえる。
本来、民主党としては、大野氏、島田氏の2名ともに当選を目指していたが、結果は、接戦のすえ、大野氏が3位に滑り込み、島田氏がわずかに次点となり、1名の当選となってしまったことが誤算といえよう。このようなことが、今回の参議院選挙では3人区はもちろん、1人区、2人区、そして、東京の5人区でも起こり、自由民主党がどちらかというと手堅く候補者を絞ったのに対し、民主党は候補者を絞り切れず、敢えて、2人目、3人目の候補者を立ててこの選挙戦を戦ったことが敗因のひとつといえよう。
埼玉選挙区を見ても、当選した民主党の大野氏と落選した島田氏の得票数はほんのわずか、13,017票(0.4%)であり、いわゆる2氏の票割は神業のごとく、見事に2分されており、どちらが当選しても、双方が当選してもおかしくない得票数であったといえる。ところが結果は2氏が3位争いとなり、1名のみの当選という結果となった。
では、その要因は何であろうか。この得票数(率)を見ると、2つの点が浮かび上がる。ひとつは2位となった西田まこと氏(公明党)の得票数であり、もうひとつは4位となった小林つかさ氏(みんなの党)の得票数である。特に、小林つかさ氏(みんなの党)は新党での立候補であり、埼玉県の今回の投票者3,246,247人にとっては、これまでの政党にない新たな政党であり、当然、自由民主党、公明党、民主党等へこれまで投票していた方が投票したことになり、過去の数字からは読めない票数となる。この票がどの党から流れるかにより、過去の延長では全く読めない結果となり、事実、今回は、埼玉県でも大きな波乱が起こったといえよう。
そこで、比例代表選出議員選挙結果と比較してみたい。主要政党の比例の投票数(率)と、先に上げた選出議員選挙の投票数(率)の比較である。自由民主党(比例653,497票:20.6%、選出議員655,028票:20.6%)、公明党(比例448,292票:14.1%、選出議員594,678票:18.7%)、民主党(比例992,725票:31.3%、選出議員1,101,779票:34.6%)、みんなの党(比例494,219票:15.6%、選出議員416,663票:13.1%)、・・という結果である。
この結果を見ると、自由民主党は見事に比例と選出議員が一致しており、自由民主党のコアな支持者が選出議員にそのまま投票したと推測できる。公明党は公明党の支持者以上に選出議員が圧倒的に多く、その差146,385票を他の政党、無党派層から獲得したと推測できる。仮に、政党支持者のみの投票数では今回の当選ライン55万票に届かなかったといえよう。民主党であるが、公明党同様、民主党支持者以上に選出議員の投票数が多いが、これがいわゆる無党派層の投票といえよう。そして、今回の波乱要因、みんなの党であるが、比例が選出議員よりも圧倒的に多く、他の政党からかなり票が流れたといえよう。また、選出議員も約40万票と、無党派層のかなりの方が強く支持していると推測できる。当選ラインの55万票にはとどかないものの、当選ラインに近い投票数である。
こう見ると、埼玉県選挙区はまさに無党派層の動向が大きな鍵を握っていたといえ、その無党派層を民主党とみんなの党が激しく奪い合い、みんなの党がこれまでの民主党に流れていたかなりの票を獲得したため、民主党の獲得票数が激減し、民主党にとっては極めて苦しい選挙戦になったといえよう。ちなみに、前回の参議院選挙の投票率は56.35%と今回の55.83%とほぼ同じであるが、民主党は2名立候補し、2名当選し、結果は(比例1,260,437票:39.94%、選出議員1,410,580票:44.4%)であり、これを見ても、みんなの党へかなりの票が流れたものと推測される。
このように、今回、民主党が惨敗した要因を埼玉選挙区で見てみると、みんなの党が台風の目となり、これまでの有権者の投票行動を大きく変え、特に、民主党へ投票していたかなりの有権者、おそらく無党派層がみんなの党へ移ったために、民主党が本来獲得できた基礎票が底割れし、2名当選できる絶対数を割り、1名当選がぎりぎりとなったということであろう。恐らく、今回の参議院選挙はこの埼玉県のような現象が全国、特に無党派層の多い都市部ではいたるところで起き、民主党惨敗の結果を招いたのではないかと推測されよう。
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