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July 10, 2010

ダイエー、2010年2月期、第1四半期、減収増益!

   営業収益2,265.09億円(-7.7%)、営業利益11.04億円(昨年は0.03億円)、経常利益4.25億円(昨年は赤字)、当期純利益2.50億円(昨年は赤字)、これがダイエーの2010年2月期決算の結果である。この結果について、ダイエー自身は、「・・前連結会計年度に不採算店舗の閉鎖等を実施したこともあり、前年同期に比べ190億円減収の2,265億円(前年同期比7.7%減)となりました。・・」とのことで、営業収益のマイナスについては、不採算店の閉鎖等が大きかったようである。

   また、営業利益に関しては、様々な取組を行った結果、「・・販売費及び一般管理費の低減が実現し、前年同期に比べ11億円増益の11億円となりました。・・」とのことで、経費の削減により、増益となったとのことである。そこで、ここでは、営業利益が増益となった要因をさらに、原価、経費面から見てみたい。

   まずは、原価であるが、69.79%(昨年69.86%)となり、わずかではあるが、原価が下がっている。結果、売上総利益は30.21%(昨年30.14%)となり、改善した。それにしても、売上総利益が30%を超えるのは、セブン&アイH 26.25%、イオン28.03%と比べても、極めて高い数字である。一方、経費であるが、37.34%(昨年38.11%)と0.77ポイント減少しており、経費の削減が進んだ。ただ、経費比率37.34%もかなり高い数字であり、セブン&アイH 33.61%、イオン36.43%と比べても高い経費比率であるといえよう。

   結果、商品売買から得られる利益、すなわち、マーチャンダイジング力は、-7.13%(-7.97%)という結果となった。原価、経費双方の改善が進み、利益が改善したにも関わらず、依然として、マーチャンダイジング力は-7%台と厳しい状況にあるといえよう。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他収入が7.66%(昨年7.97%)のり、結果、営業利益は0.52%(0.00%)となり、増益となった。したがって、今期、ダイエーの収益が改善した要因は、原価、経費の改善、特に、経費の改善が大きいといえるが、依然として、経費比率は37.34%と高い数字であり、今後、一層、経費比率を引き下げる改革が必要といえよう。

   なお、この経費については、ダイエーでは、経営改革の最優先課題として位置付けており、この5月に策定した中期経営計画では、「・・コスト構造改革による損益分岐点の引き下げ」を掲げており、会社が負担する費用の実態を明確にし、より厳密に経費効率を管理する体制といたしました。・・」とのことであり、経費改善が経営計画において、重要な位置づけであることがわかる。

   これに対して、財務面であるが、まずは、自己資本比率は36.6%(昨年35.6%)と、若干、上昇したが、依然として35%強であり、負債に約75%負う財務状況にある。今後、いかに、この比率を逆転させるかが課題といえよう。そこで、まずは、負債の主要項目である有利子負債について見てみると、17.03%(前期決算時18.03%)と若干下がっており、有利子負債の削減が進みつつあるといえる。また、これ以外の負債では、引当金関連が大きいといえる。たとえば、退職給付引当金269.60億円、事業再構築引当金55.53億円、閉鎖損失等引当金173.77億円と、合計498.90億円と多額に及び、総資産対比では11.88%となる。この2項目、すなわち、有利子負債と引当金がダイエーの負債の約30%を占めており、今後、一層、こられ負債を削減してゆく必要があろう。

   結果、これらの負債が今後のダイエーの新規出店を厳しいものにしているといえる。実際、ダイエーの現在の今期の新規出店関連の資産、土地、建物、敷金保証金等の合計は62.37%(昨年61.43%)となる。ちょうど、自己資本比率と、先に見た有利子負債、引当金を足すと、出店にかかわる資産分となり、継続、安定的に新規出店をしてゆくには厳しい財務状況にあるといえよう。したがって、有利子負だけを見る限りでは、17.03%と、極端に高い方ではないが、これに引当金等を入れると、重い財務負担となり、この2点の改善が課題といえよう。

   したがって、ここから、出店余力、すなわち、自己資本比率でどこまで新規出店関連の資産を賄っているかを見ると、-25.78%(-25.87%)となり、出店余力は低いといえ、今後、ダイエーが継続、安定的に新規出店をはたしてゆくには、より、一層の改善が必須といえる。ちなみに、今期、ダイエーは、「新規出店につきましては、食品ディスカウントストアを展開する当社子会社の株式会社ビッグ・エー(以下「ビッグ・エー」)で1店舗実施いたしました。また、不採算店舗及び老朽化店舗の閉鎖といたしましては、当社で2店舗、ビッグ・エーで1店舗実施しております。」とのことであり、新規出店が厳しい状況にあるといえよう。

   このように、今期のダイエーの決算結果は減収、増益とはなったが、営業利益は0.52%とその数字はわずかである。マーチャンダイジング力も、経費比率が改善したとはいえ、依然として、-7.13%と厳しい状況にあり、キャッシュ生み出す力がまだまだ弱いといえよう。また、自己資本比率も36.6%と低めの数字であり、負債の圧縮を今後、急ぐ必要もあろう。したがって、今期策定した3ケ年の中期経営計画をいかに進めてゆくかが当面の課題とはいえるが、全体的には依然として厳しい経営状況にあるといえ、今後、さらに大胆な経営改革に踏み込む必要もあろう。

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