食品スーパー2010、財務3表連環分析、リリース!
昨年も好評をいただいた財務3表連環分析の最新版、「食品スーパー2010、財務3表連環分析」をようやくリリースした。ご希望の方は食品スーパーマーケット最新情報のブログからお申し込みできますので、そちらからお願いします。直近の5月期決算の食品スーパーマーケットも網羅し、全部で53社の食品スーパーマーケットとなった。これに、今期上場廃止となったオオゼキ、相鉄ローゼンの昨年度の数字を参考に加え、全部で55社である。総店舗数5,254店舗、売上高は7兆8,588.86億円であるので、食品スーパーマーケットの大半を網羅したといえよう。また、参考に、セブン&アイH、イオンも加えているので、GMSと食品スーパーマーケットの財務構造の違いを比較できるようにしている。
基本的に前回同様、P/L(損益計算書)、CF(キャッシュフロー)、B/S(貸借対照表)の主要項目はすべて1行にまとめているので、55社の財務3表を一目で比較できるように工夫している。また、今期は、若干追加項目も入れ、より、財務内容がわかるように改善した。特に、経費項目の人件費項目を新たに加え、各食品スーパーマーケットの人件費がどのくらいの金額となっているか、その売上比率はどのくらいなのかを算出しているので、経費比率だけでなく、人件費比率も55社で比較可能となっている。また、今期は純資産の中身を掘り下げ、資本金と利益剰余金を新たに加え、それぞれの純資産比率を算出した。これにより、純資産における資本金と利益剰余金の貢献度がわかり、特に、利益剰余金の純資産への重要性を明確にした。
これ以外にも様々な改善点を細かく加えているが、原則、昨年の内容を踏襲しており、財務3表の連環度合いをわかりやすくExcelの1枚のシートにまとめ切れたと思う。通常の財務3表は決算短信の中では、B/S、P/L、CFという順序で公表されるが、財務3表連環分析では、スタートがキャッシュの獲得、すなわち、マーチャンダイジング力からはじまるので、まずは、P/Lを先にもってきている。
そして、そのキャッシュをどう配分するかが経営そのものであるので、次に、キャッシュの配分、CF、キャッシュフローをもってきている。特に、キャッシュフローの中では、キャッシュの根幹である当期純利益、減価償却費の金額を明確にしている。また、投資キャッシュフローでは、食品スーパーマーケットの最大の投資は新規出店であるので、新規出店にかかわる投資を明確にしている。この新規出店への配分が次の成長を決定づけるといえ、これを見るだけでも、その食品スーパーマーケットの将来の経営戦略が垣間見えるといえよう。
そして、この2つのキャッシュフローを足したフリーキャッシュフローを算出している。これは決算短信にはない指標であるが、フリーキャッシュフローがプラスになるか、マイナスになるかで、企業経営そのものの方向性を左右するので、ここでは、フリーキャッシュフローを明確にしている。最後に、財務キャッシュフローであるが、ここにも経営戦略が如実に表れるので、特に、配当へのキャッシュの配分、負債、特に有利子負債への配分を明確にしている。
財務3表連環分析では、このようにキャッシュフローを経営戦略を反映した指標ととらえ、P/Lの次に位置づけており、P/Lで獲得したキャッシュの流れがどのように経営配分しているかをわかるように工夫している。そして、最後がB/Sであるが、ここでは、純資産比率(自己資本比率)を最重点指標としてとらえ、先に述べたように純資産の中身を明確にすると同時に、その裏腹の負債、特に、有利子負債については短期、長期に分け、負債の現状を明確にしている。
また、食品スーパーマーケットの最大の資産、出店関連の資産、土地、建物、敷金・保証金等については、それぞれの金額を明確にし、かつ、1店舗当たりの数字も算出し、各食品スーパーマーケットがどのような出店戦略をとっているかを明らかにしている。この出店にかかわる資産と純資産とを比べてみると、食品スーパーマーケットの出店余力が分かるので、その指標も算出している。
したがって、食品スーパーマーケットの経営の一連の流れ、キャッシュをマーチャンダイジングによって獲得し、その獲得したキャッシュを新規出店、配当、負債の削減にどう配分し、結果、財務が現在どのような状況にあるかを数字を左から右に追ってゆけばわかるようにまとめた。かつ、縦に見れば、全55社の経営戦略の違いが明確になるようにたった1枚のExcelシートにすべての財務3表の主要指標をまとめた。これが、今回の最新版、「食品スーパー2010、財務3表連環分析」である。
この中身については、これから本ブログでも取り上げてゆく予定である。また、詳細な内容は、まぐまぐプレミアム版で、今週から連載がスタートしたので、そちらを参考にしていただければと思う。2010年度は2009年度と比べ、厳しい決算結果となっており、食品スーパーマーケット業界は受難の時代に入ったといえる。この厳しい経営環境の中からどの食品スーパーマーケットが抜け出すのか、2010年度版をじっくり分析し、独自の結論を出してゆきたいと思う。
食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
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