マルミヤストア、2010年5月期本決算、増収減益!
九州、大分県を中心に51店舗の食品スーパーマーケットを展開するマルミヤストアが7/15、2010年5月期の本決算を公表した。結果は、売上高303.18億円(1.7%)、営業利益 3.28億円(-32.9%)、経常利益 4.19億円(-28.2%)、当期純利益 1.86億円(-41.4%)となり、増収減益、特に利益はいずれの段階でも2桁のマイナスとなる厳しい決算となった。マルミヤストア自身も、「・・極めて厳しい雇用環境、所得環境を背景とした消費者の生活防衛意識の強まりや、業態を越えた企業間競争の激化による販売単価の下落など、厳しい経営環境で推移いたしました。・・」とコメントしており、マルミヤストアを取り巻く経営環境が極めて厳しい経営環境であったことが伺われる。
そこで、マルミヤストアが減益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、80.57%(昨年80.07%)と0.50ポイント上昇しており、原価の上昇が見られる。これに対して、マルミヤストアは、「・・商品・価格面におきましては、低価格ニーズへの対応商品であるPB商品の見直し、NB商品の価格の引き下げ、商品構成の見直しによるお客様目線での商品・価格の提供に努めてまいりました。・・」とコメントしており、価格面を重視し、低価格戦略をとったとのことである。実際、原価が0.50ポイント上がっていることからも、特に、「NB商品の価格の引き下げ」が響いたものといえよう。結果、売上総利益は19.43%(昨年19.93%)と減少した。
それにしても、売上総利益、すなわち、粗利が19.43%は、食品スーパーマーケットとしては、かなり低い数字であり、マルミヤストアがディスカウント戦略を強く志向していることがこの数字からも伺える。ちなみに、今期、2010年度の決算公開企業約50社の中で、この19.43%はNo.3となる低さであり、食品スーパーマーケットの中でも極めて低い粗利である。No.1はトライアルカンパニーの16.1%、No.2はアオキスーパーの16.1%であり、No.4がオーケーの20.1%であるので、マルミヤストアは、食品スーパーマーケット業界では屈指の粗利率の低さといえよう。
一方、経費の方であるが、18.80%(昨年18.76%)と、ほぼ昨年並みの数字を確保したが、0.04ポイントと若干上昇している。経費に関して、マルミヤストアは、「経費面におきましては安定した利益確保のため全社的に経費の見直しを行い、ローコスト運営に本社、店舗が一体となって取り組み、販売費及び管理費のなかで主要項目について経費削減に努めてまいりました。」とコメントしており、原価が上昇する中、経費削減を重視した経営を心掛けたとのことである。ただ、原価、経費ともに、上昇したため、今期は利益をダブルで圧迫した構図となり、厳しい利益構造となったといえよう。
したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.64%(昨年1.17%)と、プラスにはなったが半減しており、厳しい結果となった。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が0.45%(昨年0.47%)のり、結果、営業利益は1.08%(昨年1.64%)となり、減益決算となった。こう見ると、今期のマルミヤストアの利益は原価、経費が上昇したことに加え、その他営業収入も減少し、トリプルでの利益圧迫が起こり、結果、営業利益が2桁減という厳しい結果となったといえよう。特に、原価が恐らく予想以上に上がったことが大きかったといえよう。ディスカウントを強く志向する経営構造の中で、原価が上がることは特に、利益に直結することであり、今後、いかに、このぎりぎりの収益構造の中で、原価を改善できるかが最優先の経営課題となったといえよう。
では、財務面はどうかを見てみたい。今期のマルミヤストアの自己資本比率であるが、49.0%(昨年49.2%)と安定した数字を確保している。これは今期の決算公開企業約50社の平均が約40%であるので、高い数字であるといえよう。ただ、それ以上にマルミヤストアの最大の特徴は出店にかかわる資産、土地、建物、敷金保証金等の合計が50.88億円(昨年50.87億円)であり、これは、現在、マルミヤストアの店舗数が51店舗であるので、1店舗当たり1.00億円と極めて低い数字であることである。もちろん、これは、ショップ九九の0.11億円という異常値を抜けば、決算公開企業約50社の中ではトップであり、極めて少ない資産で新規出店が可能であり、これがマルミヤストアの強さの源泉であるといえる。したがって、差し引き、自己資本比率と出店関連の資産の比率の差、出店余力を見ると、-1.71%(昨年-3.04%)と、ほぼトントンであり、決算公開企業約50社の中でも出店余力は高いといえる。今後、有利子負債18.49億円(昨年18.96億円)、総資産の18.41%(昨年19.48%)を改善できれば、さらに自己資本比率は増し、出店余力は高まるといえる。
このように、2010年5月期のマルミヤストアの本決算は増収減益、特に、利益が2桁のマイナスとなる厳しい決算となったが、その要因は原価の上昇が大きかったといえ、今後、いかに、原価の改善をはかるかが課題といえよう。ただ、財務面では安定した自己資本比率を確保しており、しかも、マルミヤストア最大の強さ、出店に関する1店舗当たりの資産は決算公開企業約50社の中では随一の低さであり、出店余力もトップクラスである。したがって、成長余力は高いといえ、課題は原価改善によるキャッシュの確保に絞られたといえよう。今後、マルミヤストアがどのように原価改善を図ってゆくか注目である。
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