ドミー、2010年5月期、本決算、増収減益!
ドミーが、2010年5月期の決算を7/15に公表した。これで、食品スーパーマーケット業界の上場企業の2010年度決算はほぼ終了したといえる。食品スーパーマーケットの上場企業は現在50社強であるが、その決算期は様々である。最も多いのが2月期であり、31社あり、約60%を占める。ついで、3月期が11社であり、約20%となる。そして、4月期が1社、5月期が3社となる。これ以外では9月期が4社、1月期が3社となる。したがって、9月期の4社の2010年度は年末近くの公表であるので、実質、このドミーの決算発表で、2010年度の決算は終了となる。
さて、そのドミーの結果であるが、営業収益は329.33億円(0.5%)とわずかに増収となったが、営業利益3.79億円(-9.3%)、経常利益 3.13億円(-8.9%)と、営業、経常段階では減益となる厳しい決算となった。ただ、当期純利益は1.28億円(67.5%)と増益とはなったが、営業収益比は0.38%であり、昨対比では大幅な増益であるが、対営業収益比では厳しい数字であり、実質、当期純利益も厳しい数字であるといえよう。これについて、ドミー自身は、「厳しい経営環境の中、価格競争に伴う売上総利益の減少をカバー出来ず、営業利益及び経常利益は減少いたしました、・・」とのことで、利益が特に厳しい状況であったとのことである。
そこで、ドミーの営業利益がマイナスとなった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、74.73%(昨年74.44%)と0.29ポイント上昇している。ドミーのコメントにもあったように、価格競争が激しかったことが伺える数字である。結果、売上総利益は25.27%(昨年25.56%)と下がっており、粗利面では厳しい状況であったことがわかる。一方、経費面であるが、27.11%(昨年27.40%)と、0.29ポイント下がっており、原価とは対照的な結果となった。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.84%(昨年-1.84%)と、同じ数字となったが、依然として、マイナスであり、厳しい数字である。特に、ドミーの経費比率が高めであることがマーチャンダイジング力をマイナスにしている要因といえよう。
このドミーの経費比率、27.11%は、昨年よりは下がったとはいえ、食品スーパーマーケット業界の中ではかなり高めの数字であり、2010年度の決算公開企業約50社の中では、ちょうど、15番目となる。特に、ドミーの場合は人件費率が売上対比12.8%とかなり高い数字であり、これが全体の経費比率を引き上げている要因といえよう。これも、決算公開企業約50社の平均を見ると、約9%であるので、12.8%はかなり高めの人件費比率であることがわかる。ちなみに、人件費比率で最も高い数字は売上対比で14.6%の平和堂、14.3%のヤオコー、そして、14.2%のヤマナカであり、この3社が14%台の食品スーパーマーケットである。ドミーは、ここまでは高くないが、かなり経営を圧迫する比率であるといえ、今後、経費改善のためにも、いかに、人件費比率を引き下げられるかが課題といえよう。
そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.03%(昨年3.14%)のり、結果、マーチャンダイジング力のマイナスをカバーし、営業利益は1.19%(昨年1.32%)と、プラスにはなったが、昨年よりも減少し、減益となった。こう見ると、原価の上昇を粗利の削減でカバーしたが、その他営業収益が伸び悩み、結果、営業減益となり、営業利益の確保が思うようにできなかったといえよう。
では、この厳しい決算結果を受けて、ドミーの財務面はどのような状況にあったのかを見てみたい。まずは、自己資本比率であるが、17.6%(昨年17.5%)と、依然として厳しい数字が続いており、営業面だけでなく、財務面でも厳しい状況にあるといえよう。結果、負債に80%以上依存する経営状況にあるといえ、負債が重くのしかかっているといえよう。その負債の中身であるが、有利子負債が総資本の51.44%(昨年52.03%)という状況であり、金額にして、95.81億円(昨年98.50億円)と、約100億円に及ぶ。これは2010年度の決算公開企業約50社の中でも、5番目に重い財務構造であるといえ、有利子負債の圧縮が急務の状況にあるといえる。
したがって、出店構造を見ると、出店にかかわる資産、土地、建物、敷金保証金等の総資産対比が61.22%(昨年61.97%)であるので、自己資本では到底カバーできる状況になく、差し引き、出店余力は-43.64%(-44.45%)と大幅なマイナスであり、有利子負債の大半が充てられている出店構造であるといえよう。この状況では、今後、ドミーが安定的、継続的に新規出店をしてゆくことは難しい状況にあるといえ、財務の改善が大きな経営課題であるといえよう。
このように、ドミーの2010年5月期の決算は、増収とはなったが、営業、経常段階では厳しい数字になった。特に、もともと経費比率が高い中、原価が大きく上昇したことがその要因であるといえよう。また、ドミーの財務状況も、自己資本比率がわずか17.6%と厳しい状況にあり、今後、いかに、負債の圧縮、特に、51.44%に及ぶ有利子負債の圧縮が急務といえる。まずは、一層の経費改善、そして、原価の改善により、キャッシュを生み出す力、すなわち、マーチャンダイジング力を強化することが最優先課題といえよう。今後、ドミーがこの厳しい決算結果を踏まえ、どのような経営改革に踏み出すか、その動向に注目である。
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