食品スーパー売上速報、2010年6月度、100.1%!
7/27、(社)日本セルフサービス協会(JSSA)から2010年6月度の食品スーパーマーケットの売上速報が公表された。この売上速報は、JSSAによれば「2010年5月より、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、日本スーパーマーケット協会(JSA)と当協会(JSSA)は共同で「スーパーマーケット統計調査」を発表しています。」とのことで、AJS 58社、JSA 60社、JSSA 165社(うち重複企業15社)の計268社、合計売上金額では年間ベースで9兆2,961億円((株)帝国データバンク COSMOSデータベース)であり、まさに、日本の食品スーパーマーケットの現状を表している統計数字といえよう。なお、この268社はこの6月度の売上速報の回答企業数であり、正式加盟社数は、AJS 58社、JSA103社、JSSA 455社の計571社であり、総店舗数は14,493店舗、総売上高は14兆1,645億円となり、ほぼ日本中の主要食品スーパーマーケットをカバーしているといえよう。
さて、その結果であるが、この6月度は、7,530.38億円(100.1%)であり、5月度確定が7,630.41億円(97.5%)であるので、5月度よりは回復したとはいえ、依然として厳しい状況が続いているといえよう。残念ながら、既存店の数字は公表されていないが、新店を含めた全体の売上高が100.1%であるので、既存店は100%を切っていると思われ、95%前後と推定される。ちなみに、首都圏の主要食品スーパーマーケットのこの6月度の売上速報を見ると、マルエツ96.3 %(既存店 95.3%)、いなげや93.8%(93.1%)、マルヤ104.8 %、ヤオコー104.5%(98.9%)、エコス 93.0%(94.8%)、 Olympic 97.7%(97.1%)、カスミ 100.3%という状況であり、既存店が苦戦しているのが実態である。
JSSAの公表数字は、この売上高だけでなく、食品スーパーマーケットの各商品群ごとの売上高、商品構成比、そして、前年同月比も公表している。これはこれまで、この規模では中々把握できなかった食品スーパーマーケットの貴重な統計データである。特に、生鮮3品、惣菜の4部門がそれぞれ分けて集計されており、まさに食品スーパーマーケットたるゆえんの象徴的な部門であるので、この数字が公表されることは食品スーパーマーケット業界にとって極めて意義のあることであるといえよう。
そこで、それぞれの数字であるが、青果985.86億円、売上構成比13.1%、前年同月比101.0%、水産669.37億円、売上構成比8.9%、前年同月比99.2%、畜産722.84億円、売上構成比9.6%、前年同月比98.6%、惣菜672.06億円、売上構成比8.9%、前年同月比101.6%である。特に、生鮮3品合計では、2,378.08億円、売上構成比31.6%、前年同月比99.8%である。こう見ると、食品スーパーマーケットにとって、青果は実に重要な商品群であり、生鮮3品、惣菜の中でも最も売上構成比が高いのが特徴である。ちなみに、この3団体の全加盟企業の総売上高が14兆1,645億円であるので、青果の売上金額はこの6月度の売上公表企業の構成比の数字が13.1%であるので、1兆8,555.49億円と推計できる。
参考に、同じ青果ビジネスという観点から考えてみると、その代表格の八百屋の動向を見てみると、2007年度の商業統計の野菜・果実小売業の項目を見ると、事業所数は23,950件、商品販売額は9,975.70億円であり、約1兆円である。したがって、この時点で、こと、青果ビジネスに関しては食品スーパーマーケットが完全に主導権をもっているといえる。 また、現在、PI研では、精力的に調査を実施しているが、農産物直売所の数字を見ると、全国には、約13,000件を超える農産物直売所が存在しており、八百屋同様、1兆円近い市場規模になりつつある。こう見ると、こと青果ビジネスは3つ巴の市場シェアを握る激しい競争が繰り広げられているといえる。これまで安定的に市場を拡大してきた食品スーパーマーケット、ここ数年急激にシェアを上げて来た農産物直売所、そして、最も劣勢にたたされ、市場シェアを急激に下げた八百屋という構図であることがわかる。当然、今後は、食品スーパーマーケットと農産物直売所との間で、八百屋のシェアを奪う激しい競争が予想されよう。
さて、話をもとに戻し、JSSAのもうひとつの統計、スーパーマーケット景況感調査(7月調査)を見てみたい。これは、三協会会員企業の中核店を対象に売上動向、収益率動向、客単価動向、地域経済情勢の4項目について、3ヶ月前と比較した現状、及び今後2~3ヶ月の見通しについて、「良い」から「悪い」までの判断を5段階で調査し、その結果を景況感指数(DI:DiffusionIndex)が50以上なら景気の現状や見通しが改善したとみる企業が多く、50以下なら厳しい見方が多いと判断し、まとめたものである。
結果は、売上DI47.1(5月45.3)、収益率DI45.5(5月43.5)、客単価DI40.1(5月40.6)、景気判断DI43.9(5月41.3)という状況である。いずれも50を切っており、特に客単価は40台と厳しい判断であるといえよう。ちなみに、地域別に見た場合、7月度は関東、中国・四国の売上DIが51.0、51.2と50を上回っており、けっして、すべてが悲観的な判断ではないともいえる。
このように、6月度の食品スーパーマーケットの売上高は100.1%と伸び悩んでいるといえ、5月度の97.5%よりは回復したとはいえ、依然として、厳しい状況が続いているといえよう。また、景況感も一部を除き、全体としては、各DIが50を割っており、当面見通しも厳しいと判断できよう。したがって、食品スーパーマーケット業界としては厳しい経営環境が続くと予想され、今後、その中で、いかに、利益を確保できるかが当面の課題といえよう。
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