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July 13, 2010

サンエー、2011年2月期、第1四半期決算、増収減益!

   沖縄のサンエーが7/12、2011年2月期、第1四半期決算を公表した。結果は売上高329.17億円(2.27%)、営業利益22.34億円(-3.16%)、経常利益23.17億円(-0.99%)、当期純利益13.76億円(-1.15%)となり、増収とはなったが、営業、経常、当期ともに減益となる厳しい決算となった。サンエー自身も、「・・個人消費が低迷する中、他業態を巻き込んだ競争の激化や低価格販売による競争により商品単価が下落するなど、依然として厳しい状況が続いております。・・」と、現状認識をしており、厳しい消費環境であったことが伺われる。

   そこで、営業利益が減益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、69.72%(昨年69.39%)と0.33ポイント上昇した。まさに、競争激化による価格競争により、価格が下がり、原価に影響が出たものといえよう。結果、売上総利益は30.28%(昨年30.61%)と減少した。それにしても、売上総利益が30%を超えるという、食品スーパーマーケットとしては極限の数字ともいえ、依然として高い売上総利益を維持している。サンエーがこれだけ高い売上総利益を維持できるのは、食品スーパーマーケットに加え、衣料品、外食、ホテルなど売上総利益の高い業種、業態をもっているためであり、これが、サンエーの強さのひとつといえる。

   一方、経費の方であるが、26.55%(昨年26.59%)と、0.04ポイント減少しており、経費の削減がわずかではあるが進んだ。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、すなわち、マーチャンダイジング力は3.72%(昨年4.02%)となり、プラスとはなったが、原価の上昇により、下がっており、これが、減益の要因のひとつである。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.07%(昨年3.15%)のり、結果、営業利益は6.79%(昨年7.17%)と減益となった。

   サンエーは通常の食品スーパーマーケットと比べ、先にあげた売上総利益の高い業種、業態をもっていることに加え、食品スーパーマーケットとしても、SM、SSM、NSC、SC等様々なタイプを擁しており、特に、SM、SSMは物流収入、NSC、SCは不動産収入等が加わり、その他営業収入を通常の食品スーパーマーケットよりも多く獲得できる業態ミックスをはかっているのが特徴である。今期も、若干、その他営業収入が下がったとはいえ、3%を超える高い数字であり、これがサンエーの高収益の源泉のひとつである。

   したがって、今期、サンエーが減益となった要因は、経費はわずかに減少したが、原価が上昇、さらに、その他営業収入が減少し、結果、営業利益がマイナスとなる厳しい状況となったことが要因であり、今後、さらに経費を削減するか、原価、その他営業収入を改善するか、収益改善の方向を明確にする必要があろう。ただ、依然として、営業利益率は7%弱という、極めて高い数字であり、食品スーパーマーケットとしては限界に近い数字といえる。

   さて、財務面であるが、今期は、自己資本比率が69.1%(昨年64.3%)と、大きく上昇し、財務の健全化が進んでいる。自己資本比率69.1%は食品スーパーマーケット業界の中でも極めて高い数字であり、これも営業利益率同様、限界に近い数字である。特に、今期は、「・・前連結会計年度末が金融機関の休業日であったことにより、仕入債務等62億83百万円の支払が当第1四半期連結会計期間に繰越され「現金及び預金」が減少したことによるものであります。・・」とのことで、金融機関との決済日の関係があったことが資産の減少につながったとのことである。一方、純資産面でも、「・・利益剰余金が8億8百万円増加した、・・」とのことで、純資産が増加したという。したがって、自己資本比率の分母、総資産が減少し、分子、純資産が増加したので、ダブルで改善し、自己資本比率を大きく引き上げたといえよう。

   また、約30%の負債面であるが、その主要項目である有利子負債の合計は28.26億円であり、これは総資産808.95億円のわずか3.49%であり、財務的な負担はほとんどない状況である。これ以外では、買掛金が76.58億円であり、総資産の9.46%であり、負債の中で財務を圧迫する項目はなく、極めて健全な財務状況であるといえよう。したがって、キャッシュを新規出店、成長戦略に思い切って使える財務状況にあるといえ、今後、サンエーがいかに、成長戦略にキャッシュを振り向けてゆくかが経営課題といえよう。

   ちなみに、今期の投資キャッシュフローの中の新規出店関連であるが、営業キャッシュフローが先に上げた金融機関の休日との関係で-33.47億円の仕入債務の減少が発生し、営業キャッシュフローが-43.68億円となり、ほとんど投資ができない状況であった。ただ、次の中間決算時には正常にもどるといえ、今後、豊富なキャッシュをどう投資に配分するかが経営課題といえよう。

   このように、サンエーの2011年2月期の第1四半期決算は残念ながら原価の上昇、その他営業収入の減少により、営業利益が減収となり、厳しい決算となった。ただ、営業利益率は依然として7%弱という極めて高い水準にある。また、自己資本比率も今期は70%弱という高い水準となり、極めて安定した財務状況となった。今後、この高い営業利益、そして、安定した財務状況をいかに成長戦略に繋げられるかが課題であるといえ、次回、中間決算でサンエーがどのような成長戦略を打ち出すか注目である。

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