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July 30, 2010

丸和、事業再生ADR開始、債権者会議始まる!

   親会社ユアーズと一体になった経営再建中の九州、福岡を中心にドミナト展開している食品スーパーマーケットの丸和が事業再生ADRの手続きに入り、7/15、第1 回債権者会議が開催された。事業再生ADRは聞きなれない言葉であるが、ここ最近、注目されつつある事業再生の新手法であり、会社更生法や民事再生法等の訴訟手続きなしに、法務省から認定を受けた中立的立場にある専門家、丸和の場合は、事業再生実務家協会(JATP)を通じて、紛争の解決を行い、事業の再生を目指す仕組みである。

   ADRはAlternative Dispute Resolutionの略であり、直訳すると代替紛争解決であり、裁判外での紛争解決の手続のことである。関係官庁は法務省、経済産業省、そして、国税庁等であり、特に、食品スーパーマーケットなどでは、取引先との関係を維持しつつ、事業の再生が可能であり、税制面でも優遇措置が取られているのが特徴である。ただし、丸和の場合は、さらに信用保証を強化するため、6/30に「事業再生ADR手続の正式申請及び受理ならびに事業再生計画案の概要に関するお知らせ」と同時に、「親会社との合併の方針に関するお知らせ」を公表しており、親会社ユアーズの全面支援のもとに事業再生ADRが進んでゆくことになる。

   7/15現在、先に見たように第1回債権者会議が開かれ、「本日の第1回債権者会議は成立し、全お取引金融機関からは借入元本の返済一時停止について同意(追認)を得ると共に、一時停止の期間を事業再生計画案の決議のための債権者会議の終了時まで延長することにつきましてご承認をいただきました。・・」という段階である。今後、9/15に第2回債権者会議(事業再生計画案の協議)、10/22に 第3 回債権者会議(事業再生計画案の決議)が予定されており、順調に会議が進めば、年内に事業再生計画が実行に移され、その後、来年5月に親会社ユアーズとの合併がなされ、丸和は上場廃止になる予定である。

   法務省によれば、一般に、事業再生ADRはいくつかの段階に分かれて進んでゆくことになる。まずは、事前の審査であり、その後手続き実施者の選任となる。丸和の場合は、この段階はクリアーし、手続き実施者として、法務省(ADR)認証第21号・経済産業省(事業再生)認定第1号を受けた事業再生実務家協会(JATP)が選任された。そして、正式に申し込みの後、ここから本格的な事業再生ADRがスタートする。

   最初の手続きは、債務者と協会と連名で、債権者に対して、債権回収や担保設定等の停止を要請し、承認を得ることであり、これが第1回債権者会議の目的である。丸和の場合は、親会社ユアーズも入り、丸和、ユアーズ、事業再生実務家協会(JATP)連名で、6/30に「一時停止の通知書(借入元本返済の一時停止等)」を送付しており、これが、7/15に各債権者に承認されたという段階である。丸和の事業再生ADRの現状はここまでであるが、その後は、第2回債権者会議が開かれ、計画の内容の説明、手続実施者による調査結果報告、質疑応答、意見交換等がなされる。丸和の場合は、9/15の予定である。そして、第3回目の債権者会議が開かれ、ここで、計画の決議がなされるが、その際、全債権者が同意するかどうかが最大のポイントである。丸和の場合は10/22の予定である。

   ここで大きく2つに分かれることになる。ひとつは全債権者が経営再建計画案に同意した場合であり、この場合は計画案決議が成立し、裁判所によらない私的整理が成立することになる。まさに、ADR、Alternative Dispute Resolution、裁判外での紛争解決である。一方、問題は、不同意の債権者が存在した場合である。この場合は計画案決議の不成立となり、裁判官による単独調停(民事調停法5条1項但書)に至ることになる。

   そして、調停次第では、私的整理の成立へ至る場合もあるが、調停が不調に終わった場合は、会社更生・民事再生手続への移行となる。したがって、この一連の事業再生ADRの流れを見ると、従来の会社更生・民事再生による会社の再建に入らずに、ギリギリの私的再建を法的根拠のもとに、専門家を交えて、試みる経営再建手法であるといえ、その意味で従来にない新しい経営再建手法といえよう。

   ちなみに、事業再生実務家協会(JATP)によれば、事業再生ADRのメリットを4つ上げている。「商取引を円滑に続けられること− 通常の私的整理と同様に、本業をそのまま継続しながら、金融機関等との話し合いで解決策を探れる。」、「信頼できること− 法的整理を担う実務家と同レベルでの監督の下で進められる手続である。」、「意見がまとまらない場合にも対応できること− 意見がまとまらなければ、裁判所を利用した手続(特定調停や法的整理)に移行し、ADRの結果を尊重して頂くことも可能。」、「原則として、債権放棄による損失の無税償却が認められること。」であり、法的整理と指摘整理の両手続の「メリット」を融合(デメリットを克服)したものであるという。

   このように、丸和はまさに、この事業再生ADRの第1段階、第1回債権者会議にて、債権回収や担保設定等の停止を要請し、承認を得たが、今後、事業の再建計画、その承認と年内いっぱい続くことになる。問題は10/22に予定されている第3回債権者会議であり、ここで計画案が債権者全員の同意が得られるかどうかが重要なポイントとなる。次回9/15、第2回債権者会議において、丸和が今後どのような再建計画案を策定するか注目である。

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