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July 04, 2010

Chain Store Age、2010/07/01、PBとブランドを寄稿!

   Chain Store Age、2010年07/01号で、PBとブランドの関係についてのコラムを寄稿した。このコラムは、第2特集、人口動態マーチャンダイジングの「少人数世帯をねらえ!」の中の「少人数、有力メーカーの世帯対策」におけるポッカコーポレーションの事例のコーナーに掲載されたものである。テーマは、「ブランド併売が少人数世帯増加時代のMD戦略の決め手!」というタイトルであり、裏付けデータもID-POS分析の事例を活用した内容である。ちなみに、このChain Store Age、2010年07/01号の第1特集は「決算2010ランキング」であり、これはこれで読みごたえがあり、後日、改めて取り上げたい。また、現在、PI研でも独自に財務3表連環分析2010を集計しているが、集計でき次第、本ブログでも様々な角度から取り上げてゆく予定であるので、もう少しお待ちください。

   さて、コラムの内容であるが、ポイントはこの図表につきる。ここ最近、様々な食品スーパーマーケットでID-POS分析に携わる機会が増えており、実際、いろいろな商品を分析すると、これまで見えなかった世界が見えてくることが多い。今回の場合もそうであるが、このケースの場合は、重点商品が3つある。商品A、PB、そして、商品Bである。ID-POS分析ではじめに検討してみたい分析としては、いろいろあると思われるが、ある一定期間において、顧客IDの購入実態がどのようになっているかであろう。

   これを見ることによって、今回のケースの場合は3つの重点商品、すなわち、商品A、PB、商品Bの関係が明らかになる。特に、今回のケースは商品群にPBを導入しており、しかも、この期間では、PB=1,400人+2,500人+100人+50人=4,050人、商品A=1,400人+2,000人+50人+100人=3,550人、商品B=100人+50人+50人+500人=700人となり、PBが最大の顧客を獲得していることがわかる。

   そして、商品AとPBとの併売者は1,400人+100人=1,500人となり、かなりの人数が重なっている。この1,500人は同時購買もしていると思われるが、ここでは、それも含め、商品Aを購入した顧客がある期間内にPBを1回でも購入した経験の方が1,500人いたということである。実際のID-POS分析では、さらに、同時購入の人数をとったり、ここではIDであるが、レシートを数えたりし、ID-POS分析をより深く落としてゆくことになるが、ここでは、ごく単純な分析に留めている。

   ちなみに、ID関係のID-POS分析の指標がID客数PI値であり、レシート関係のID-POS分析の指標が単純な客数PI値である。また、この客数PI値はレシートの分析であるので、少し苦労するが、通常のPOS分析でも算出可能であり、海外、国内でもこれを併売分析としている場合もある。したがって、レシートの併売であれば通常のPOS分析で可能であるが、ここでは、純粋にIDのみに絞って、顧客の人数を算出しており、これは通常のPOSでは分析不可能であり、ID-POS分析特有の分析となる。

   また、この2つの関係はID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値となっており、この金額PI値をさらに分解すると、金額PI値=客数PI値×特定商品の金額PI値となり、IDの世界とは別の世界、レシート内の分析の中でぐるぐる回ることになる。したがって、今回の単純な図表であるが、これはIDの世界での話であり、ID-POS分析でなければできない顧客の本当のニーズに迫った分析である。

   話をもとにもどすと、結論としては、ブランド併売がこのケースの場合は実に重要な役割を担っており、PBは明らかに、商品Aとの連動が高く、商品Bとの連動は少ないといえよう。単純計算をすると、商品Aの商品Bへの連動率は、この期間内では、1,500人/3,550人=42.2%であり、PBの商品Aへの連動率は1,500人/4,050人=37.0%となり、商品AとPBは互いに強く引っ張られているといえよう。正確を期すには、リフト値、どちらがどちらを支えているかを算出するなど、様々な検算が必要であるが、単純に見るとこのような結果となる。

   同様に、商品Bと商品Aの関係であるが、150人/700人=21.4%であり、逆に商品Aから商品Bを見ると、150人/3,550人=4.2%となる。こう見ると、商品Aと商品Bとの連動は極めて薄いといえ、PBと商品Bもさほど高いとはいえない。商品Bは極めて独自性が強い商品であるといえ、PBの安さにさほど影響を受けず、独自の世界感をつくっているといえよう。コラムでも触れたが、商品をAとPBに絞り込めば、当然、商品Bの顧客を逃すことになり、品揃えが弱くなることになる。実は、今回は言及しなかったが、少量パックも商品Bのような場合が数多く見つかっており、今回のテーマ、小人数のマーチャンダイジングには、ブンランド併売と同様、少量パックも改めてID-POS分析をかけてみて欲しいところである。

   このように、このコラムでは、ID-POS分析を用いて、真の顧客の声はいかにあるかを検証してみたが、PB、商品A、商品Bの関係は実に複雑であり、品揃えの奥の深さを垣間見せてくれたように思う。ID-POS分析ではさらに、購入者の店舗貢献度、すなわち、ロイヤルカスター度に踏み込むことができるが、ID-POS分析を行うのであれば、これまでのPOS分析の延長ではなく、想像力を縦横無尽に働かせ顧客の真の声にもとづいたマーチャンダイジング分析を工夫して欲しいところだ。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
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