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July 08, 2010

セブン&アイH、イオンの第1四半期決算を比較する!

   2010年度の決算発表もほぼ終了し、7月に入り、2011年2月期の第1四半期の決算がピークを迎え始めた。そこで、ここでは、小売業界、売上高No.1、No.2のセブン&アイH、イオンの2011年度の第1四半期決算の結果を見てみたい。まずは、双方の概要であるが、7/1に公表されたセブン&アイHの結果は、営業収益1兆2,458.20億円(0.3%)、営業利益 524.36億円(-10.6%)、経常利益 526.61億円(-10.0%)、当期純利益 242.94億円(2.5%)となり、当期純利益は増益となったが、営業、経常段階では増収減益となる厳しい決算となった。一方、7/7に公表されたイオンであるが、営業収益1兆2,145.29億円(-2.5%)、営業利益 217.81億円(149.8%)、経常利益 247.23億円(146.7%)、当期純利益192.69億円(昨年は赤字)となり、減収増益の好決算となった。

   双方、対照的な決算となったが、これを率で比較して見ると、営業収益は双方ほとんど同じ数字であり、営業収益に対する営業利益率は(セブン&アイH:4.20%、イオン1.79%)、経常利益(4.22%、2.03%)、当期純利益(1.95%、1.58%)となり、減益とはなったが、セブン&アイHの収益率の高さが際立っているといえる。したがって、収益改善がはかられつつあるイオンがどこまでセブン&アイHの収益率に迫れるかが今後の課題といえよう。

   さらに、この営業収益、営業利益を売上高、原価、経費、そして、その他営業収入に落として見てみたい。ここでは、双方を比較してみるが、売上高は(セブン&アイH:1兆1,057.31億円、イオン:1兆767.87億円)と、ほぼ同額である。次に、原価率であるが(74.60%、73.97%)となり、結果、売上総利益は(25.40%、26.03%)となり、イオンの方が原価が低い。ここで気になる数字がある。昨年の原価率、および、売上総利益である。この2つを算出して見ると、昨年の原価率(73.12%、72.51%)、同じく昨年の売上総利益は(26.88%、27.49%)であり、どちらも、昨年よりも原価率が高く、結果、売上総利益が下がっていることである。

   今期は双方、原価対策として、PBに力を入れ、原価改善に大きく踏み込んだはずであるが、結果は、双方、原価が上昇し、結果、売上総利益が下がってしまった。この結果を素直に解釈する限り、PBの原価改善効果は明白ではなく、むしろ、価格競争が激化し、NBの価格が恐らくさらに下がり、原価が相対的に上昇したのではないかと思われる。今後、PB、NBのバランスをいかにとり、利益を改善してゆくかが、双方、課題といえよう。

   これに対して、経費の方であるが、(33.32%、36.79%)と、経費はセブン&アイHの方が約3ポイント弱低く、差がある。また、これも、昨年と比較してみると、昨年は(34.07%、38.28%)と、さらにその差が大きく、約4ポイント強である。ただ、どちらも、今期は経費の削減が進んでおり、セブン&アイHは0.75ポイント、イオンは1.49ポイント改善している。

   したがって、今期の決算は、セブン&アイHもイオンも経費は改善できたが、原価の上昇を招いてしまい、利益改善が原価ではなく、経費に注がれた結果となった。また、双方を比較すると、原価はイオンの方が低いが、経費はセブン&アイHが低いという対照的な結果となった。結果を見る限りでは、イオンは原価改善を通じて利益確保を狙い、セブン&アイHは経費改善により、利益確保を目指したといえよう。

   そして、この差、すなわち、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力であるが、(-7.92%、-10.76%)と、いずれも大きくマイナスとなった。ただ、セブン&アイHの方がマイナス幅が小さく、イオンは、何と-10%を超えるマイナスであり、厳しい数字である。ちなみに、昨年は、(-7.19%、-10.79%)であり、その差は今期同様大きな差であるといえよう。少し、気になるのはセブン&アイHのマーチャンダイジング力が今期はだいぶマイナス幅が広がったことであり、これが、減益となった要因であるといえよう。

    これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が乗り、営業利益となるが、それぞれ見てみると、その他営業収入は(12.66%、12.79%)、結果、営業利益は(4.74%、2.03%)となった。また、昨年の数字は、その他営業収入(12.51%、11.58%)、結果、営業利益は(5.32%、0.79%)である。

   それにしても、食品スーパーマーケットではありあえない収益構造であり、これがGMS特有の収益構造であるといえよう。すなわち、マーチャンダイジング力では、原価よりも経費が大きくなり、大幅なマイナスとなるが、不動産収入等でそのマイナスをカバーし、営業利益を強引にプラスにもってゆく収益構造であるといえる。また、セブン&アイHとイオンとの違いであるが、原価にこだわるイオンに対して、セブン&アイHは経費にこだわっているといえ、利益捻出の方向性が違う。結果、営業利益を見ると、双方の差は売上規模、原価、不動産収入等ではなく、経費に差があり、その差が結果、営業利益の差となっているといえる。こう見ると、利益を出すためには、やはり、マーチャンダイジング力の強さ、しかも、その中でも経費管理の差が大きいといえよう。次の第2四半期、双方がどのような営業戦略を打ち出すか、気になるところである。

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