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July 16, 2010

価格とPI値を考えて見る!

   価格はマーチャンダイジングの改善にとって極めて重要な要素である。一般にマーチャンダイジングを評価する指標は売上高を客数と金額PI値(客単価)に分解し、この金額PI値を評価指標とすることが多い。そして、金額PI値はさらに、PI値と平均単価(価格)に分解できるので、結果、マーチャンダイジングを評価する場合は、金額PI値=PI値×平均単価で評価することになる。もちろん、マーチャンダイジングの評価を利益まで踏み込む場合は、さらに、原価、経費等をこれに加えることになる。ここでは、マーチャンダイジングを通常のPOS分析で得られる数値をもとに、マーチャンダイジングを考えてみることにし、利益までは踏み込まず、金額PI値までとする。

   ちなみに、金額PI値=PI値×平均単価であるが、PI値=買上点数/客数、これに平均単価を掛けると、(買上点数×平均単価)/客数となるので、金額PI値(客単価)は、売上高/客数となり、客数1人当たりの売上高となる。したがって、双方はイコールとなり、成り立っていることがわかる。

   さて、価格とPI値であるが、この関係は金額PI値=PI値×平均単価との関係で見ることがポイントである。一般に価格は仕入れた瞬間に決まる数字といえ、企業としてはあらかじめ欲しい値入れがあり、仕入れが原価となる。したがって、この原価にどれだけ値入れを入れるかにより、価格が決定する。通常の食品スーパーマーケットの粗利率を見るとほぼ25%前後であるので、売価の75%前後で仕入れが行われているといえる。したがって、仕入れ価格が決まれば、それに、25%前後の値入れを行い売価が決定することになる。

   ただ、当然のことであるが、この価格では、商品が売れる場合もあれば、売れない場合もあり、そこがマーチャンダイジングの難しさである。そこで、そこから売れる価格を探ってゆくことになるが、これが中々難しい。先に見たように、価格、すなわち、平均単価と売上高の関係は、売上高=客数×金額PI値(客単価)=客数×PI値×平均単価で決まるので、平均単価、すなわち、価格次第でPI値がアップしたり、ダウンしたり、さらには、客数まで変化する場合があるからである。

   その意味で価格決定は仕入れからのみ決まるわけではなく、PI値、そして、客数との関係をしっかりにらみながら決めることがポイントである。特に、商品1品1品に関しては客数との関係よりも、PI値との関係が最も重要であり、PI値を横目でみながら価格を決定しないとPI値が伸びず、商品が在庫の山となってしまいかねない。したがって、価格の決定には、仕入れ以上にPI値が重要な要素となり、このPI値をいかに把握するかが価格決定の最大のテーマといえよう。

   そこで、PI値がアップする、言い換えれば商品が動きはじめる価格とはどのように見つけるか、ここがマーチャンダイジング上の最大のテーマである。金額PI値=PI値×平均単価となるので、価格はPI値と密接な関係があり、グラフにすると、y(価格)=1/x(PI値)の曲線上を動くことになる。たとえば、ある商品のPI値が10%、平均単価が100円の場合は、掛けた金額PI値は10%×100円=10円となる。この場合の曲線はy=10×1/xとなり、変形するとx(10%)y(100円)=金額PI値(10円)となる。したがって、この商品の場合は100円以下となると、PI値が急激にアップし、商品が動きはじめる。もちろん、仕入れ原価があるので、100円の価格をどこまで下げられるかは、おのずから限界があるが、100円が現時点での均衡価格といえよう。

   商品とPI値にはその関係を示す曲線の形が必ずしも一緒ではないが、この100円のような均衡点がどこかに存在し、それより、高ければ、PI値は動かず、低ければPI値が動きだすという場合が往々にしてある。これが値頃である。したがって、この値頃をつかめれば、その価格に可能な限り、近い値入れをすれば、商品は動き始めてゆくものである。問題はどうその値頃を見つけるかである。

   通常、値頃を見つける方法はいくつか方法がある。試行錯誤により、少しづつ価格について時間をかけて動かし、PI値の動向を見極めることである。これが最もオーソドックスな方法であり、確実な方法である。もうひとつは、競合店調査を行い、周辺の競合店の価格をすべて調べることである。これにより、自店の価格がどのような位置にあるかがわかり、その地域の値頃を知ることができる。そして、もうひとつは、何らかの方法でPOSデータを取得し、自社のPOSデータと比較し、価格のズレを知ることである。これは、重点商品はもちろん、品揃え商品の値頃まで明確になり、まさに、全商品の値頃を把握することが可能となる。

   このように、価格とPI値は実に密接な関係があり、値頃を外れた商品のPI値は全くといって良いほど動かなくなり、在庫となる。これを打開する方法は、何らかの方法により、商品1品1品の値頃を把握することであり、それなくして、マーチャンダイジングの活性化はありえない。価格はまさに、金額PI値=PI値×平均単価の数式からもわかるように、PI値を決定づける重要な要素であり、価格を決めることが、まさにマーチャンダイジングのスタートといえる。その意味で、まずは、商品固有の値頃をしっかりつかむところからマーチャンダイジングの活性化に取り組んで欲しいところだ。

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