オオゼキ、雪が谷店を見る!
オオゼキ雪が谷店を見る機会があった。熱い日差しの中、後から考えれば、雪が谷大塚駅で降りれば良かったものを、田園調布駅で降り、他の店をみたりしながらのほぼ徒歩での視察であったので、なかなかオオゼキ雪が谷店にたどりつかなかった。踏切を渡り、ようやくのこと、到着し、店内に入って見ると、一転、クーラーも効いており、さらに、生鮮什器の冷気もあり、冷んやりしていて、助かった。それにしても、店頭周辺の自転車の駐輪が多かったのには驚いた。このオオゼキ雪が谷店はオオゼキの中では売上高がちょうど10番目ぐらいの規模、約20億円強であり、客数は1日平均4,000人の店であり、この自転車の駐輪の多さにも納得である。当然、店内もお客様は多かったが、店頭からの青果の品揃えはさすがといえ、特にスイカ、1/6カットが20個は陳列され、清涼感満点の売り場ができあがっており、さすがであった。
1/6カットスイカ20個は、PI値に換算すると、20個/4,000人=0.50%であるので、今日は恐らくPI値が1%はいくと思われ、あと20個はその後、追加されることになろう。このスイカが象徴されるように、オオゼキ雪が谷店は店頭をいっぱいに使い、青果の展開を行っており、強力な青果売場ができあがっていた。今期からオオゼキはMBO(経営陣のM&A)により、上場廃止となったので、今期決算書は公表されないので、2009年2月期の決算データをもとに見てみると、青果の売上構成比は21.9%と、通常の食品スーパーマーケットの約2倍であり、まさに、雪が谷店の青果の強さが象徴しているように、極めて青果部門の強い食品スーパーマーケットである。
その背景には、オオゼキ特有の個店対応、仕入れの強さが光っているといえよう。特に、青果に関しては店舗独自の仕入れが実践されており、同様に店舗独自のマーチャンダイジングが青果主任と店長を中心にできあがっていることが大きいといえよう。一般に食品スーパーマーケットの青果部門は青果のバイヤーが一括仕入れを行い、物流センターに商品を納め、そこから各店に仕訳けされ、バイヤーないしはSV(スーパーバイザー)の指示のもとにマーチャンダイジングが実践され、売場の70%から80%は本部がつくりあげることが多い。オオゼキは、全く逆で、本部よりも店舗が主体の仕入れとマーチャンダイジングが実践され、本部の役割は極めて小さく、店長、主任に大部分の権限が委譲されているのが特徴である。
ただ、よく考えて見ると、オオゼキのドミナント地区、東京には淀橋、北足立、板橋、豊島、足立、葛西、築地、世田谷、多摩ニュータウン、大田と10ケ所の中央卸売市場があり、ここを青果の物流センターと考えれば、独自のセンターを敢えてもつ必要はない。近くの中央卸売市場を拠点に、あとは市場間を何らかの形で、商品の融通を行う仕組みを作れば、店舗独自の仕入れをした方がコスト的にも、マーチャンダイジングの観点からもこと青果に関しては強力な売場を作り上げることが可能といえよう。オオゼキはまさに、これを実践しているといえ、結果、青果の売上構成比が20%を超えるのも頷ける話である。
ちなみに、オオゼキ雪が谷店の青果売場を過ぎると、これまたすごい鮮魚売場となり、築地直送の商品で溢れかえっており、壮観であった。そして、精肉、惣菜売場となるが、オオゼキの強さの秘訣は、この強力な青果以外の部門では、この生鮮、惣菜の強さではない。日配である。特に、壁面で強化された豆腐、納豆、こんにゃく、漬物、麺類、そして、練り製品等の和日配、さらに、牛乳、ヨーグルト、デザート、飲料、パン等の洋日配の強さであり、この構成比が青果とほぼ同じ20%近い数字である点である。実際、豆腐、漬物等はオオゼキ独自の商品が随所にあり、さすがである。
もちろん、よくいわれるオオゼキの強さ、グロサリーの品揃えも圧倒され、これも商品構成比から見ると、青果、日配よりも若干下がるが、やはり20%弱となる。この3つの部門、青果、日配、グロサリーが強力なエンジンとなって、150坪強のオオゼキ雪が谷店の近隣の顧客を毎日約4000人近く、引き付ける魅力ある売場ができ上がっているといえる。そして、もうひとつ隠れたオオゼキ雪が谷の魅力であるが、青木店長自慢のチェッカーのフレンドリーな対応であろう。顧客との対話はもちろん、お客さまからのおすそわけも多いという。さらにもう1点あげると、店長が密かに強化している雑貨である。東京の食品スーパーマーケットでは意外であるが、雑貨が良く売れる。この雑貨を店頭をうまく使いながら強化していることである。
このように、期せずして、オオゼキ雪が谷店を見る機会があり、入って見ると意外な発見がたくさんあり、改めて、オオゼキの強さの秘訣が実際の商品、売場を見てわかった。ちなみに、この店舗の坪売上であるが、約1,500万円である。びっくりであるが、それでもオオゼキの中では売上高同様10番目ぐらいであり、トップクラスは2,000万円を超え、平均でも優に1,000万円を超える。この立地とマネジメント、マーチャンダイジング、そして、チェッカーの対応を見ると、納得してしまうので、これまたびっくりである。
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